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00:フウカの××な生活
フウカが口を開くと、忙しいと背中を向ける両親。
笑顔で両親に抱き着いても許される妹弟。
妹弟が泣けばフウカの所為、物を壊したのはいつもフウカ。
つまらない家にさよならしようと大学から一人暮らしを始めた。
幸いお金だけは振り込んでくれるので電話で感謝を伝えても、短い相槌と最後の『勉強だけ出来ても友人がいないとダメよ、いるの?』と言われる。
当然いると答えるが嘘だ。
口数少ない無趣味な人間と友人になりたい人がいるだろうか。
実家に帰れば執拗な妹弟の質問に決まって最後はこう言われる『つまんないの』。
フウカはつまらないまま過ごしてきたし、これからもそうなる予定。
大学二年の梅雨時期に体調を崩した。
当然誰の手も借りない。
病院へ行こうとアパートを出た。
帰りにプリンとゼリーとアイスは絶対買おうと、いつもより多めに財布を潤す。
少しだけ幸せになった気分だ。