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【森の哲学者】たそがれ!木林春夫 #お寺をお掃除しているの誰の巻

作者: 薫 サバタイス

木林春夫という伝説の男を知っていますか❓


たぶん誰も知らないと思います。


私もよく知りません。


はっきりしているのは、木林春夫が伝説の男だということだけ。


ですが「伝説」となっているからには、何かしら根拠となるエピソードがあるはずです。


これからお話しする出来事が、木林春夫をして、伝説の男たらしめたかどうかはわかりません。


判断は皆さんにおまかせします。


では、聞いてください。


【#お寺をお掃除しているの誰の巻】


ほとんどの人は、学校なり職場なりへ行くときに、同じ道を通るでしょう。


最近はテレワークが広まって、自宅で仕事をする人も増えました。


でも少し前までは、授業や仕事がある日は家を出て、毎回似た景色を見ながら通ったはず。


木林春夫さんも同じです。


月曜から金曜まで、リュックを背負って通勤していました。


早起きの苦手な木林春夫さんは、自宅から駅へ向かうときは早歩き。


遅刻しそうだったら、もちろん走ります。


周りの景色を楽しむ余裕なんて、まったくといっていいほどありません。


でも、帰りは違います。


夕方から夜にかけての時間帯。


西日は建物にさえぎられて、むしろ涼しいくらい。


木林春夫さんは、歩きながら道路脇の家々に目を向けます。


この家には、どんな人が住んでいるんだろう?


4人家族かな。


5人かな。


ご夫婦2人だけの暮らしかな。


そんなどうでもいいことを考えるのも、楽しみの一つ。


誰にせかされることもなく、自分のペースで帰っていきます。


数えきれないほど通った、その帰り道に小さなお寺がありました。


誰もいないお寺。


いつのぞいても、誰もいません。


でも、いつもキレイに掃除されています。


誰が掃除してるんだろう?


住職さんかな。


世話好きな近所の人かな。


ひょっとしたら、上の電線にとまっているカラスかな。


ふとした疑問。


答えは出ません。


いくら考えても、わかりませんでした。


でも、ある日の早朝のことです。


木林春夫さんは、仕事の都合で早朝の電車に乗るため、朝6時に自宅を出ました。


空気が透き通っているような朝。


テクテクテクテク。


お寺の前を通りかかりました。


そして、見かけたのです、お堂を掃除している人を。


住職さんでも、近所の人でも、カラスでもありませんでした。


プロの清掃業者の人でした。


強い風の出る業務用機械で、落ち葉やホコリを吹き飛ばしていました。


作業着の胸のところには、「〇〇株式会社」と書かれた名札。


木林春夫さんが口を開けて見ていると、業者の人にあいさつされました。


普段なら大きな声で、あいさつを返す木林春夫さん。


ですが、このときはペコリと会釈しただけで、急いで立ち去りました。


どうしたのでしょうか。


いつもの木林春夫さんらしくありませんね。


帰り道、再びお寺の前を通りました。


小さな境内に入り、賽銭箱にお金を入れ、手を合わせました。


前を何百回も通ったお寺なのに、お祈りしたのははじめてでした。


何か新しい友達ができたような気がしました。



   ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


教訓☞急にあいさつされて、びっくりしたんでしょうね。


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