表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/840

不吉


 「あの女、メギド公爵が連れてきたのね」

 ふん、とフェリシアは行儀悪く鼻を鳴らした。


 「…わたくし、アイツきらーい」

 下ろしたシャノワの髪をまた編みながらフェリシアは憮然と言う。

 「まあ……ほんの少し前のあなたに似てますものね」

 「レティ酷い!」

 レティの毒に唇を尖らせて、フェリシアは眉をひそめた。


 「……なんか、あの女……()()な感じがするの」

 「不吉?」

 好き、嫌いなら好みの問題だが、不吉というのは穏やかではない。


 「何か…悪意があるということでしょうか?」

 「わかんない…」

 上手く説明できないのか、フェリシアは難しい顔のまま首を傾げた。

 「なんというか……()()()()()()……?」

 「…生臭い……?」

 よけい訳が判らなくて、依那とレティは顔を見合わせた。


 「で……でも!」

 髪を編まれながらずっともじもじしていたシャノワが、意を決したように声を上げる。

 「ロザリンドは……きつい物言いもしますが……本当は、優しいのです。こんなみっともないわたくしの護衛を引き受けてくださって…体のことにも気を配ってくださいますし…わたくしの陰口を言った者を、こっそり諌めてくださって……」

 「シャノワ様…」

 依那が口を開きかけたその時、ドアに軽いノックの音がして、颯太がひょっこり顔を出した。


 「ごめん、あの……ねーちゃん、オレ、こっちにいてもいい?」

 「颯太?」

 「もちろんですわ。お入りください、ソータ様」

 戸口で逡巡する颯太を、レティが優しく室内に招き入れる。

 「どうしたの?軍議に出てるんじゃなかったっけ?」

 「うん……そうなんだけど……」

 颯太は部屋に入ってくると、ソファに腰かけてため息をついた。


 「なんか………()()()()になっちゃって。逃げ出してきちゃった…」

 「変な空気?」

 不穏な言葉に、全員が動きを止める。


 「…なんか…ちょっと部屋が暑いなぁ、とは思ってたんだけど……気がついたら、砦の人とか騎士団のみんなが…なんというか…ロザリンドさんに…メロメロ?になっちゃって…」

 「はぁ?」

 「メロメロ?」

 「う~~ん……」


 説明に困って、颯太は頭を掻いた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ