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姫様 VS 姫様


 「では、殿下たちはどうぞ中へ。騎士団の方々はこちらへ」


 ロザリンドとの話が一段落するのを待っていた砦の兵士に促され、騎士団と別れて一行は砦の中へと進んだ。

 門を入り、控えの間を抜けて右側の居館へと案内される。

 どうやら砦内部は、右側がエンデミオンの領域、左がカナンの領域と分けられているらしい。

 砦というだけあって、王宮や離宮のような華やかさはないものの、石造りのしっかりした居館の中は思いのほか広くて明るく、居心地がよさそうだった。


 「皆様は2階をお使いください。騎士団は1階の詰め所におりますので、何かあれば」

 念のため一行の居室を確かめたエリアルドが礼をして去っていく。

 居館の2階には一人用の寝室が二つと、二人用のが二つ、四人用の少し簡易な寝室が二つあった。


 「では、フェリシア殿に一人用の寝室を一つ、エルフの方々に二人用の寝室を使っていただくとして、レティはエナ殿と一緒でよろしいですよね。あとは適当に…」

 「嫌!」

 部屋を割り振ろうとしたオルグに、フェリシアがさっそくワガママを申し立てた。


 「わたくしも、エナと一緒がいい!!」

 「は?」

 「エナ姉さまはわたくしと一緒ですのよ!」

 キッと柳眉を逆立てたレティが依那の右腕に抱き着く。

 「アンタいつも一緒なんだからいいじゃない!エナはわたくしと寝るの!」

 負けずにフェリシアが依那の左手にしがみつく。

 「エナ姉さまは嫌がってますわ!」

 「そんなことないもん!」


 「えと……あの?…ふたりとも?」

 焦る依那を挟んで、二人の姫様は睨み合う。

 バチバチと火花が散るのが聞こえそうだ。

 なんだっけこれ、カバ対ワニ?コブラ対マングース……じゃなくって!!


 「いい加減になさいませ!ワガママは慎むのではありませんの!?」

 「ワガママじゃないもん!エナと一緒がいいの!!」

 ぎゅうううっっと依那にしがみついて泣き出しそうなフェリシアに、依那は深いため息をついた。

 「……もう……あんた、いくつよフェリシア……」

 「………う……にひゃく…よんじゅう…いち……」

 依那はもう一つ、特大のため息をついた。


 エルフの240歳は人間の3歳なんだろうか。


 「オルグさん、フェリシアとレティと私と……あと、エルフのどちらかで、四人部屋入ります。もう一人のエルフの方に一人部屋使っていただいて」

 「エナ姉さま!」

 「えー、わたくし、エナと二人がいい~」

 「……フェリシア?」

 じろっと睨むと、フェリシアがびくっと身を竦める。


 「これ以上ワガママ言うと……」

 「はい!それでいいです!ワガママ言いません!」

 慌てて両手でお尻を庇い、フェリシアはおとなしくなった。


 「……まるで猛獣使いだな、嬢ちゃん…」

 感心したようなブルムの言葉に、オルグは笑いをこらえるのに必死だ。


 「あー……じゃあまとまったとこで。夕食はカナンとの夕食会になる。それまでは適当にくつろいどけ。解散!」


 アルのなんとも雑な合図で、一同はそれぞれの部屋へ引き取ることにした。

 


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