目次 次へ PR 1/843 プロローグ どうしてこんなことになっちゃったんだろう。 暗い森の中、必死で名を呼びながら彼女はそう心の中で繰り返した。 何度考えてもわからない。 何が起こったのか、どうしてこんなことになってしまったのか。 ……弟は、どこへ行ってしまったのか。 「颯太――――!」 突き出した木の根に躓いて転びそうになり、咄嗟に木の幹にすがって体を支える。 「…颯太…」 こみ上げる涙を肩の痛みのせいにして、彼女――沢井 依那は空を――木々の間からわずかに覗く月を見上げた。