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恋愛短編  作者: けい
2/2

恋患い

ヤンデレ練習作品になります。

連載にするか迷い中です。

義姉弟ものです。

「……ど、どうして騒がないの!?」


美鶴に馬乗りになった男が少し戸惑ったように言う。


そりゃあ、美鶴も最初に気付いた時は抵抗して叫ぼうとしていた。

犯人が美鶴の半年前に弟になった護で、その本人が苦しそうな表情をしているのに気付く前は。


「……護。どうしてこんなことしてるの? 私に話して」


事態に混乱しながらもつとめて冷静な声で真上の護に問いかける。




「…………もう苦しいんだ」


しばらく待つと観念したのか護はぽつりと呟いた。


「苦しい?」


「うん。美鶴に片思いしてるの辛い。しかも、今は義姉になっちゃって遠くから見てることしか出来なかった相手がすぐ近くにいて、でも、義姉だから気持ちを伝えられないのにこのままそばにいたら気持ちが抑えられなくなりそうなんだ。……だから美鶴が俺に襲われそうになれば離れられると思った」


護の独白を相槌を打ちながら聞く。

こんなに綺麗な義弟が美鶴に屈折した思いを抱いていたのにも驚いたが、離れる手段が夜這いして騒ぎを起こそうとするのもちょっとズレている。


美鶴は情緒不安定な護を宥めようと無意識にそっと右手で護の左手に触れた。美鶴が触ったと気付いてすぐさま護がびくりと肩を震わせるのに可愛らしいと思ってしまい戸惑う。



「……キスぐらいならしても良いわよ」


だからいつの間にかそんな事を口から滑らせてしまい自分にびっくりした。



「…………へっ?」


更に真っ赤になってあわあわしている護が可愛らしい。

彼は普段大勢の女性に囲まれている姿を良く目にするが初過ぎるだろう。



「嫌ならそろそろ離してくださいません?」


あわあわしてはいても両手で美鶴の両腕を押さえ込んだ押し倒した姿勢は変わらないので可愛いといっても身の危険は最初と変わらずに持っているのだ。

いい加減解放してほしい。


「じゃ、じゃあ……キスだけする」


そう言っていきなり顔を近付けると触れたかどうかわからないぐらい軽いキスをして勢いよく離れる。


顔を見れば両手で口元を抑えて真っ赤な表情の護の姿が。


美鶴は今の時間だけで顔の赤色の濃さを次々更新していく護を見た気がする。


そんな護は私と目が合うと慌てて部屋を飛び出して行った。


あれぐらいでキャパオーバーな人間がよく夜這いなんぞしたものだ。


あの様子だと今夜はもう来ないだろうが、万が一に備えて扉の前に自分が動かせる家具を移動させておく。


美鶴が動かせるぐらいの物なら護には障害物にならないかも知れないが物音は立つのでまあ良いだろう。


明日すぐにつけられる鍵を見に行かないとと思いながら美鶴は就寝した。


end

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