魔法国
朝日が出始めた頃。
「あ!」
「セイ様!!!」
「見えてきましたよ!」
「あれ?」
「寝ていらっしゃる?」
男はセイに駆け寄って行き肩を揺らして起こそうとした。
セイは小さく唸りながら体を起こし目を擦りながら起きた。
そして男に引っ張られるまま壁のない甲板へとセイは出され外の冷たい風に当たり寝ぼけていた目は冴えた。
セイの目に広がるのはどこまでも続く海ではなく海の向こうには確かに陸があり建物があった。
「や、やっとか〜〜〜〜」
やっとですセイ様二人は同じ方向を見てそう言った。
二人が見た方向は先程セイが居た場所の近くにいた褐色の肌の美女に送られた視線だった。
「本当に大変だった」
「ずっとずっとずっとずっとずっとずっと!」
オレクは起きては海に飛び込もうとしたり発狂したりオレクに対応するだけでも精神的に削られるのに、ただ船に乗って海を漂う日々はそれだけでも十分精神をすり減らした。
「や、ヤバい」
セイは頭を抱えた。
それは人が頭痛で頭を抱える時と同じだった。
「まだ寝ていたいかも」
「頭が痛いのですか?」
「ああ、少しな」
「俺、もうちょっと寝てくるから着く直前になったらまた起こしに来てくれないか?」
「はいわかりました!」




