襲撃
いや違う。
男は待ったつもりはなかった。
ただ男はそのキョウが放つ眩い光の神聖さに萎縮し身動きが動けなかっただけだった。
「よし!」
「終わった!」
「あーくん行ける?」
エネスの問いかけにエネスの旦那は親指を立て余裕と言いたげに頷いた。
エネスの旦那が頷くとすぐにエネスの旦那は消えた。
そして消えてすぐ部屋中に人の足のサイズの穴ができ敵がいる方の壁には大きめの穴ができた。
エネスの旦那は全員の視界に消えた時には部屋中を走り回りスピードを付け壁に拳を一突き当て大きな穴を開け敵のいる部屋に入ったのだった。
だがエネスの旦那は部屋を見てたじろいでしまった。
中は地獄と言っても間違いではなかった。
そこにはどう考えても敵の数と見合わない量の血肉が散乱していた。
そして虫の息ではあるが辛うじて生きている奴がいた。
「あ、あれは」
「何、が起きた?」
「分からない分からない分からない分からない」
「私が勝てるわけないじゃないか」
「ああ、ああ」
声でそれが誰なのかが分かった。
それは黒いフードを被った大きな男だった。
男は最後に小さなうめき声を上げるとぶくぶくと膨れ上がり破裂し血肉は散らばった。
その光景を見てここにある血肉は全てこの男のものだったのだとエネスの旦那は悟ったのだった。




