襲撃
男が次に目を開けると大きな目玉は居なくなっていてその代わりに門が開いていた。
中からは身を内側から火を噴き出し体を燃やしながら苦しみ、うめき縋るようにソレは男の方へと同じ状態の奴を踏み台にして掴もうとして来た。
「あ」
「ああぁ」
男はもうダメかと情けない声を出しどこまでも続く暗い空間の頭上を見てもはや何も考えず懺悔もせず許しも乞わずただその時を待った。
だが突然おかしな感覚に男は襲われた。
先程までは目を見開いて暗い空間を見ていたはずなのに突然男の目は閉じていない状態になっていた。
男は驚き、瞼を開くと先程のような暗い空間でもなければあの禍々しい門や門から出て来た苦しみに悶え苦しむ人のようなものもいないそこはどこまでも木が立ち並ぶ森の中、景色が輝いて見え神々しく男の目には見えていた。
男は何故だか先程までは死にたくないっと思っていたが今は逆に此処で死ねるならどれほど良いことかっと思っていた。
男は大地に寝そべると大の字になり今まで経験して来た黒い物が全て洗い流されるような気分と共に自分が人間に生まれてくるのは間違っていたのだと考えていた。
そんなことを考え始めた時、誰かなのか動物なのかは分からないが何かが近づいて来ているのに気づいた。




