襲撃
「人を道具だと思っていたからか?」
「いや、いやいやいやいや」
「そんなバカな話があるか!」
「人を道具だと思うことはその個人の考え方なだけであって決して俺が地獄に行く理由にはならないはずだろ!」
男が門に近づくつれもんの異様さが際立ちを増していった。
先程までは遠く大きな彫刻しか見えていなかったが近くになりその門の骸骨以外の全てが動いていることがわかった。
人の顔の彫刻は今にも叫びそうな。
いや。
微かだがうめき声をあげている。
彫刻の彫られていない部分は脈打つように動いていた。
そして男が何を懺悔すればいいかも分からず闇雲に今までの行いを懺悔していると突然、体が動きを止めた。
そして暗闇の中から突然、大きな目玉が二つ現れた。
大きな目玉は男の全てを舐めるかのように見た後、赤く充血した。
男は震えが止まらなかった。
その震えは人ではないものを見たから?
確かにそれもあるだろう。
だが何よりもその瞳から怒りを感じたからにある。
人ではないものが自分に怒りを覚えている。
そう考えてしまうとこれからどうなるのかを考え震えが止まらなかった。
男は目を閉じ冷や汗と涙と鼻水をこれでもかっと出しながら謝罪の言葉を早口で大きな声で発した。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して。




