襲撃
この暗い空間は何だか心地いいな。
どれぐらい漂っているだろう。
この空間は不思議だ。
何処かへ行こうとしても体は動くが進んでいる気がせずだからといって狭い所に居るような窮屈感はなかった。
そして結構な頻度で見る青白い光の玉。
俺は分かってしまった。
俺も青白い光の玉だということに。
ただなぜだ?
何で俺はこんなに遅いんだ?
男は何度も何度も何度も何度も何度も自分を通り過ぎる青白い光の玉が見えなくなるほど遠のいていくのを見た。
男は自身が進んでいる暗い空間の向こうに赤い何かがあるのを見た。
それから男の体感で数週間か一ヶ月が経った頃。
「アハハハハハハハ」
「そうか」
「そんなことあるかよ」
近づいて暗い空間に灯る赤い光の出所を見た男は絶望した。
それは門だった。
それは禍々しい彫刻が彫られておりその彫刻は人の苦痛に歪む顔や絶望の顔で中には人の大きさの骸骨や普通の人よりも何十倍もデカい骸骨が付けられていた。
俺がこの奥に行くだけのことをしたのか?
いいや断じてないはずだ。
俺は人を道具だとは思ってはいたが断じて人並み以上に人を無下に扱ったことなどないはずだ。
なぜだ?
ん?
いや………
まさか…
いや、だけど…………




