キョウ達
「あちらに行きたいんですか?」
「うーーー」
さらに強く引っ張られキョウは痛がりながら赤ん坊の気が済むように従った。
「この子裸のままじゃ風引いちゃうわよ!」
「そうですね」
「ですがとりあえず私の毛を離させないと何も出来ません」
「無理矢理引っ張るか?」
「そ、それはやめていただきたい」
「ハゲがある梟執事になってしまうのは避けたいのです」
「いやでも、案外少し引っ張れば素直に離れるかもしれないじゃない
ファウはそういうと赤ん坊に軽く手を掛け力を入れず引っ張った。
赤ん坊は離れないという意思表示なのか毛の根っこのあたりまで手を潜らせ目一杯引っ張った。
根っこの方を引っ張ったからか何本か、何十本かは定かでは無いが毛が抜ける音と痛みをキョウは感じた。
「痛たたたたたた」
まるでキョウが「た」を連呼するごとに毛が抜けるかのようにぶちぶちと抜け赤ん坊をキョウから引き離すことができた。
キョウは立ち止まりまるで横顔にサッカーボールをぶつけられたかのように膝を着き手で抑えていた。
「い、痛い」
「あぁーーー」
「なんかごめん」
キョウは手で毛を抜かれた場所を抑えるのをやめ上着のスーツを脱ぐとそれで赤ん坊を包んだ。
「すみませんファウがその子を抱えてあげてください」
「ええわかったわ」




