武神祭
大会を包んだ静寂を切り裂いたのはやはりこの男。
「し、勝者ミカヅチ選手!!!!!!」
「直ちにベル選手を救護室へ!」
長い静寂、だが観客達はやっと男の言葉を理解し大きな歓声を上げた。
大きな歓声が響き聞こえる特別観客席にて。
「ま、まさか」
「あの方が負けた?」
「ベルが負けた?」
「おい!」
「はい!」
「今すぐベル・ラクバードを騎士団長から副騎士団長もしくは一般兵へ降格させる準備をしろ!」
「それと現副団長サルバー・サウザードを一般兵へと降格させろ」
「かしこまりました」
「そのように対応いたします」
「頼んだぞ」
「はい!」
男は駆け足でその場から離れた。
予想外だ。
予想外だ。
ベルが負けていいとしたら勇者様だけだったのに。
まさかどこの誰とも知れんやつに負けるとはそれもこんな大衆の面前で。
クソクソクソ。
ベルにはまだ団長でいてもらいたかったというのに。
いや、そもそも今回騎士団長をこの大会に進めた私が愚かだった。
だがまさか負けるとは思わないだろ。
アイツが、アイツだぞ?
クソクソクソ。
長い廊下。
ああ忙しい忙しい。
これから騎士団全員への説明&説得。
3種類の書類の作成並びに。
アアアア!!!
もう考えたくないよ!!
急すぎるんだよ!




