アイシー・エルモア・サウザード
それを見たジョバンは人工勇者の完成に歓喜した。
だが人工勇者作成の成功での歓喜はすぐに収まり目の前の偽物のアイシーが成功し本物のアイシーが失敗したという事実で目の前の偽物のアイシーに噴水のように憎悪の気持ちが噴き上がってきた。
ジョバンは近くの銀の板に置いてあるメスを握りアイシーへと振り下ろした。
アイシーの皮膚に勢いよく振り下ろされたメスが皮膚に触れるとメスはガキンっというまるで鉄と鉄がぶつかり合ったかのような音が響きメスは皮膚を引き裂くこともできずにいた。
それからジョバンはメスが曲がるまでアイシーにメスを振り下ろしたが少しの傷も負わすことはできなかった。
ジョバンは皮肉にも理想通りの人工勇者を完成させていた。
あらゆる薬を長期間に渡り摂取させその薬の恩恵を少しずつ体に定着させることのできる薬を作り摂取させ作った薬で定着できる最大まで全ての薬を摂取させた後、手を加えた家宝であるSSランクの魔物の魔石を体に入れる事で魔石の元持ち主の魔物と同等の硬さの皮膚が生成され魔力ももはや元持ち主と同等だった。
そんなものにジョバン程度の奴が振り回したメスで傷つけることは到底無理な話だった。
ジョバンが近くにあるあらゆる道具や物を使って偽物のアイシーを殺そうとしている中、貴族達が国にアイシーとジョバンの事を報告した事で遣わされた騎士団達が乗り込んできたのだった。
 




