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カラスのひとねむり

作者: しいたけ

 山のてっぺんに、カラスの巣が一つありました。

 母親カラスがせっせとせっせとご飯を運び、雛カラスがぴーちくぱーちく鳴いております。


 ご飯を終えた雛カラス達は、そのまま昼寝の時間になりました。ウトウトと、眠気と共に頭が低く低く、瞼は重く重く…………。


 雛カラスの巣の中には、それはそれは綺麗な物が沢山ありました。それは母親カラスが集めたものであります。


 一番大きな雛カラスは、自分のクチバシよりも大きな宝石の上に、足を置いて眠りました。雛カラスは知りません。それが国と国の争いの元凶となった宝石であることを…………。


 二番目に大きな雛カラスは、自分の目よりも大きなビー玉に抱き付いて眠りました。雛カラスは知りません。それは小さな女の子が無くした宝物であることを…………。


 三番目に大きな雛カラスは、自分の足よりも太い瓶に頭を乗せて眠りました。雛カラスは知りません。それは窓から捨てられた空き瓶であることを…………。


 一番小さな雛カラスは、自分の体より大きなガラスの靴の中で眠りました。雛カラスは知りません。王子を待ち続ける少女が居ることを。



 夕暮れになると、兵士が山の麓の道路を長く列を成して歩いておりました。

 新しい宝物を見付けた少女は、お気に入りの人形を抱えて、母親と手を繋ぎ歩いておりました。

 白馬に乗った王子は、汗だくで何かを探しております。


 しかしカラスは知りません。


 そろそろ母親カラスが帰ってくる時間です。

 お腹を空かせた雛カラス達は、我先にとご飯をねだることでしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 人間世界とは無関係なカラスの巣の平和。 ただのガラス瓶も国が争う程の宝石も同じようなものとして集められて、いつか忘れられて行くんでしょう、本当の価値はそんなものなのかも知れませんね。
2020/11/10 22:58 退会済み
管理
[一言] 雛カラスたちは知りません。 この世界におけるカラスはすでに絶滅危惧種であり、母親カラスだと思っているそれが雛を保護するために創られた鳥型のドローンであることを。 という勝手な世界観が脳内で…
[良い点] 何が作用して事態がどの規模で動き出すのか、色々と想像させられる作品でした。
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