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二十八 歴史の中の存在

 例によってぐったりしたので、いったん家に帰ることにする。というか、もう今日は出掛けたくない。行く先々で、十五代目を待ち構える人々がいるかと思うと、気が重くなる。

 ……でも、あれがあったなぁ。ヒデさんの件が。


「光安。疲れてるってことで許して」

「ああ。神さまは大変だな」

「そういう台詞は、せめて皮肉混じりに言ってほしいわ」


 二体目の分身――もちろん一体目は地球にいる――を作って、まずは昼食の買い出しを頼む。まぁ分身だって、今日の疲労を共有しているけれど、能力で取り去ったから問題はない。

 本体も同じく取り去ればいいだろうって?

 私は必要のないことはしない。だいいち、この疲労は光安と曜子と三人で得た、ある種の成果だ。取り去ってしまえば、今日の半日が嘘になってしまう気がする。

 この宇宙では神さまを名乗らされているけれど、私は人類の一員でいたい。そのうち、揃って人類の道を踏み外しそうな気もする…のは、考えないようにしよう。


「お姉ちゃん。教科書に書いてあるよ」

「何が?」

「お姉ちゃんが」

「はぁ??」


 居間で本体の脚を伸ばしていると、曜子がわけの分からないことを言い出した。

 何を言ってるの…と思いながら、彼女が持っていた教科書を受け取って、愕然とする。

 日本でいうところの、社会の教科書。

 そこには神さまの項目があり、十五代目の名前が――――――。


「先生にシールをもらって、びっくりした」

「さすがに書き替える技術はないのね」


 三週間前に代替わりしたばかり。年度途中の中途半端な交代だから、教科書に反映されるのは来年度になる。

 というか、私にとっては大した問題でもないのに、この星の人類の認識は違う。

 暢夫氏も、さっきの小笹氏も、決して崇め奉ってはいないけど、こんな小娘相手にVIP対応。そのうち、街を歩くのに変装が必要になるかも知れない。

 うむ………。

 生身釈迦如来の件はどうしたって? そんなもの、薫に会った時点で破棄したに決まってるでしょ。


「シゲさんも、きっと苦労したのね」

「金の成る木か」

「それは私のことでもあるよね?」

「オブラートにくるむ必要があるのか?」


 可愛い彼女がぐったりしているのに、この彼氏はテーブルに肘をついて眠そうな顔。

 少しだけむかついたので、後ろから羽交い締めにしてやる。二次元でおなじみのアレもしてやるぞー。


「うりうり」

「す、少しは恥じらいというものをだな」

「彼女が彼氏に恥じらうなんて、時代錯誤もいいとこよ」

「いや、その、あー、……重い」

「じゃあ参りましたと言え」

「参りました」

「お兄ちゃん、素直…」


 正直、妹の前でやる痴態ではない。しかし、曜子は兄者の頭の中にいたのだから、私たちがこういう関係だということを知っている。それに、たぶん兄者がお姉ちゃんと仲良しだと、この妹は喜ぶ…はず。

 とりあえず、私の気は済んだ。無駄に大きな胸を彼氏の頭に乗せて、ぐりぐりしてやった。重いという失礼な発言も、今だけは許してやろう。というか、実際に重いから…。


「まぁなんだ、少しはこの星のことを勉強しろよ、神さまなんだし」


 ようやく解放された――捕まえてた本人が言うのもおかしいけど――光安は、何度か首を回して、肩をグリグリさせながらつぶやく。骨がコリコリ鳴る。オッサンくさいなぁ…と思うが、それより問題は…。


「半分同意するけど、なぜ他人事なの?」

「いや、他人事だろう。俺は神さまじゃ…………、ないぞ?」

「お兄ちゃんも一緒に勉強しようよ!」

「え、あぁ、そ、そうだな、うん」


 どうも、うちの彼氏は状況が分かってない気がするなぁ。

 異世界を往復するような人生が突然始まったと考えるなら、仕方がない気もするけど、でも。


「光安、はっきり言うけどアンタは当事者。十五代目の神さまは、最初からアンタも込みだから」

「んな無茶苦茶な話があるか」

「ここにある」

「お姉ちゃん、格好いい!」


 本当は、もちろん分かっているだろう。

 十四代目の接触を受けた時、すぐに連絡をして、そして二人で窓口に詰めた。それは彼氏だから、ではない。

 もちろん、私は彼氏に隠し事はしない主義――光安以前に誰かがいたわけではないぞ――なので、神さまになるという事実を話すのは当然だ。しかし、そう、そうだ。か、可愛い彼女を、たった一人で異世界に放置する彼氏がいるだろうか、いやない。ああ、なんかこの心のつぶやきが嫌だ。


「まぁいい。俺も興味はある」

「じゃあお兄ちゃん、読んで」

「…なんでこんな中途半端なとこを」

「昨日の授業でやったとこだしー」

「いや、読むなら最初からだろ」


 分身が買ってきた弁当を食べて、三人でお勉強を始める。

 なお、分身には引き続きお出掛けを頼む。ヒデさんの家だ。分身を連れて行くなんて失礼な話だとは思わないでほしい。地球の分身も含めて、どの私も完全な私なんだから。


「では青原さん、第一章を読んでください」

「はーい」

「俺じゃないのか」


 先生の真似をして、曜子に音読してもらう。

 まだ四日しか学校に通っていない曜子だから、授業を受けていない箇所。もちろん、曜子の頭に知識としては入っているから、何の問題もない。

 たった四日間の学校生活。少なくとも、授業で困ったことはないらしい。

 クラスや学校の約束事なら、先生も同級生も親切に教えてくれる。だから、彼女の人生の出だしは快調だ。私としても、ちょっと鼻が高い。だからって三人目はないけどね。



 この星の名前は地球…ではなく土球。相変わらず、似ているようで似ていない微妙なラインをついてくる。

 この星には、月よりやや小さい衛星が一つ、かなり小さい衛星が一つ。その大きな方が月食で隠れるから、土球は丸いのではないかと、古の哲学者は発想したそうな。なんだかどこかで聞いた話。

 でもまぁ、同じような星で同じような環境なら、生命も似たような経緯をたどり、そして知的生命体の思考パターンも似てしまう。地球でも、全く相互に干渉のない民族に、そっくりな神話が残っているのだから。


 話が逸れた。

 この土球で、三千年以上も前に、扶陽と呼ばれた地域があった。なんだか遠目には日本列島に似ているけど、よく見ると大雑把にバナナ形という以上の類似はない、島が並ぶ地域だ。

 その中でも地球の日本と一番違うのが、私たちが今いる飽海島だ。佐渡の北の海上に四国の半分ぐらいの島があるって感じだから、少なくとも土球と地球は別の星だと分かる。

 そう、地球と土球のどちらかがコピーという主張は否定される。現時点で、そんな主張をしている人間はいないけど。

 …とはいえ、コピーだった方が話が早いぐらい似ているのも事実。その辺の問題は、この世界の教科書には決して載っていない。誰も地球を知らないのだから当たり前だ。


 扶陽の人類が、国を形成したのは約三千年前。幾つかの小さな国の一つが、飽海島にも存在していた…と、発掘調査で判明しているらしい。

 文字のようなものもあった。それは扶陽だけではなく、周辺地域でもあちこちで発見されている。動物の骨などに刻まれていて、要するに甲骨文字。そして表意文字…だから、漢字と似てしまうのは仕方ない。いや、漢字が似ているのか、ここでは。

 さて、そうなると春秋戦国の世があったのか…と思ったら、あんまりなかったようだ。部族間の争いは確認されているが、それほど派手に戦争をした記録はなく、次第に三つ程度の勢力に収束していったという。


「なぜそうなった…とは書かれてないんだな」

「春秋の世がなかった世界で、他の可能性を考えるのは小説家の仕事じゃないかな」

「お姉ちゃん格好いい」

「曜子、今はそこは褒めなくていいんだ」

「というか、そこのお兄ちゃんも褒めなさいよ。むしろ」


 ならなかった理由を問う意味はない。そもそも異世界なんだし、人類の身体構造だって完全には一致してないのだから。

 ただ、もしも日本列島だと考えれば、ある程度の想像はつく。

 そう、狭くて人が少ないという条件で、あんな戦乱の世は続かない。そりゃ、日本にも戦国時代なんてものはあるけど、生産力が上がって人口もある程度増えたあの時期ですら、百年がいいところだ。弥生人に毛が生えた程度の人々が千年も戦争したら、最後は生き残った一人が勝利みたいな状況になりかねない。

 ともかく、飽海島の王制はいろいろ紆余曲折がありつつも、一応は千年前まで続いた。最後の二百年ぐらいは属国状態で、最終的には現在の首都に移住して統合。現在は、王族の子孫と名乗る家が幾つかある。

 なお、付与のシステムのおかげで産業革命みたいなものはなく、ゆるやかに工業化が進んでいる。工業化自体は、部分的には千年前まで遡るという。


「蒸気機関車は四百年前から走っていた…って、すごいな」

「へっへー、すごいでしょー」

「いや、お前が自慢することではないと思うが」

「曜子はこの国の子なんだから、どんどん自慢しなきゃ」

「そ、そういう考え方もあるか」


 さぁ、お待ちかねの付与の時間。こちらが期待したほどの情報量はないが、そもそも日本でいうところの小学生向けだから仕方ないだろう。それなのに、神さま一覧なんて表がある。全くのゴミ情報だと思う。十四代目の名がシゲオとある時点でインチキ同然だ。

 蒸気機関は千年以上前に生まれ、世界中で活用された。しかしその技術水準は、なかなか向上しなかったようだ。向上しないというよりも、させる気のない支配者層と、する気のない一般層がいた。

 一つには、今に続く無気力社会。それなりに生活できる環境が与えられれば、進歩は鈍る。

 そして、身分制度だ。

 工業化は労働者を生み出し、身分制度を崩壊に導く。だから王族や貴族は「今まで通り」を続けさせるために、研究そのものを抑えつけてきた。

 そしてそれは、どうやら現在も似たような状況らしい。

 王は象徴化しお飾りになった。地球人類と同様に、身分制度は合理性を欠くものとして消えていった。誰でも政治家になれる制度もできた……けれど、旧王族や貴族の子孫が、事実上の世襲を続けていた。世襲が続くから――――。


「二十年前の大混乱は…、全然書かれてないのね」

「ああ、あの…」


 光安が何か言いかけて、口をつぐんだ。いや、つぐませたと言った方が正しい。その瞬間の私の表情は、天使が悪魔に豹変するぐらい変わっていたはず。

 危ないところだった。

 混乱をもたらした主が誰なのかを知っているのは、当人を除けば私と光安だけ。曜子も含めて、こちらの世界にはまだ早過ぎる情報だ。

 というか、曜子と若井は、光安の頭の中で聞いていたはずだが、覚えていないらしい。それぞれの意識が活性化する時間は限定的だったから、二人の記憶には残らなかったのだろうか。


「そんなに混乱したの? ちっとも分からないけどなー」

「鉄道もバスも、それどころか大半の輸送手段が廃業に追い込まれたのよ。何百万じゃ済まないぐらいの失業者が出たはずなのに」

「どうでもいい十五代目の情報より、そっちが大事だよなぁ」

「どうでもいいは余計」

「ぐ、ぐぇ」


 そろそろ飽きかけた頃に愚かな発言をする彼氏。ちょうどいいので光安の頭を押しつけてやる。何に…かは書かなくても分かるね読者の諸君。

 ………これこそ余計だった。海よりも深くはない反省。ああ古い。

 教科書に書かれていない理由は、まぁだいたい分かる。簡単だ。現在の政府に不都合な情報で、子どもに隠したい過去だからだ。

 大量の失業者たちは、世襲政府への不満を募らせ、恐らくは多少の血の入れ替わりがあっただろう。本当の危機が訪れた時に、度の過ぎた無能が居座る場はなかった。そんなことを教科書に書けば、子どもは知ってしまう。世襲は無能を政治家にしてしまうことに。

 ……………。

 何だか気が滅入る話だ。

 こんな教科書を作った側、要するに世襲側に呼ばれたのだ。私は。「今まで通り」の十五代目。

 そのうち、「今まで通り」が素晴らしいキャンペーンの広告塔になりかねないのかなぁ。

 一応、私はこの国の神さまではない。特定の一国のために活動することはできないと、国家間で明文化されてもいる。けれど、そんなものはいつでも空文にできるだろう。地球の常識を当てはめるならば、だ。


「曜子、あなたの世界もなかなか大変ね」

「そう? 楽しいけどなー」

「学校は楽しいか」

「うん。友だちもできたよー」


 ……まだ初等部に通い始めたばかりの曜子に、そんな話題を振るのも早いか。

 とりあえず、学校内に身分がどうとかいう問題はないらしい。

 私学だから、学費無償とはいっても、いろいろ出費がある。だから、それなりの層の子どもが入る学校ということになるけれど……。


「ただいまー」

「おかえり…って、お姉ちゃんが二人!」

「さっきもいただろ、曜子」


 ちょうどいいタイミングで、ヒデさんのところに出掛けた私が帰ってきた。大きな荷物を抱えて…というか、浮かせている。

 できるだけ、そういう非日常な能力は見せないでおきたいけれど、荷物の大きさと重さがアレだから仕方ない。曜子も、これが普段やっていけないことだと分かっているし、光安は今さらだ。


「お姉ちゃん、開けていい!?」

「いいけど、開けない方がいいと思うよ」

「えーー………………」


 はしゃいで箱を開けた曜子の声が、そのままフェードアウトしていく。

 そりゃそうだ。だって、中身はヒデさん家に転がっていた生首だ。

 邪魔だから引き取ってくれと言われて、その場ではもちろん渋ったけれど、思う所あってもらった品だ。相変わらず気味が悪い。玄関に置けば立派な魔除けになりそう。


「曜子、そっちも開けて」

「う……」

「生首は入ってないから」

「………って、今度はこれ!?」


 次の箱は、もちろん十四代目の傑作の数々。これは文字通りゴミ扱い。本人もいなくなったから捨てるとヒデさんに言われて、仕方なく持ってきた。要するに十五代目の責任というやつだ。

 残りは、曜子が警戒して開けようとしないので、私二人で開ける。ただの野菜だった。


「俺はやることねぇなぁ」

「生首持ってって。二階に置くから」

「持てるか、こんなもん」


 冗談を言って、光安に野菜の整理を頼む。

 生首は不気味だが、それ以上に重いという問題があるので、普通の人間には運べない。まぁこの家だと、若井も曜子も運べてしまうけど。うん、普通の人間ってなんだろう。


「あ、ヒデさん消えたー」

「ゆう、せめて運ぶ真似ぐらいしろよ」

「ぶつけたら困るじゃない」


 生首ではなく、家の壁や柱が痛むのは困る。どうせ付与の力で修復されるけど、無駄な手間だから二階に移動させた。

 なお、曜子も瞬間移動の能力を使うことはできる。ただし、もしも使いたければ、必ず私に相談するようにと伝えてある。それだけの手間が必要……だから、要するに使うなという話。曜子はあくまで普通に生きてほしいから、ね。

 それなら能力を与えなきゃいいって? なんだかお姉さん、心配でねぇ。


「真面目に聞きたいが、アレをどうする」

「聞きたい?」

「というか、普通に迷惑だろ、大迷惑。なぁ曜子?」

「う、うん、まぁ…」


 ヒデさん生首の行き先は、二階の使っていない部屋。夢にまで見たマイホームとか言っても、どうせ使っていないのだから、曜子に実害はないと思う。しかし、どうやら妹は兄者に同意のようだ。

 まぁ自宅に開かずの間を作るようなものだし、喜ばれはしないか。でもね。


「曜子」

「は、はいっ」


 とりあえず、可愛い妹の頭をなでる。

 艶やかな黒髪。私と同じくらいの質感の髪。

 自分で言うのも何だけど、私は「宇宙の上位にある者」。だから、肉体のパーツそれぞれは、放っといても宇宙で最上になる。その私と同等なんだから、この宇宙では無敵だ。私はこの星に所属していないから、曜子は文字通りの世界一。

 うん、かわいい。かわいいなぁ…って、意識が飛びかけたぞ。


「今は事情を明かせないけど、生首はちゃんと使い道があるの。明日、薫と若井がいるところで話すわ」

「お、お姉ちゃんがそう言うなら、我慢する」


 たぶん、曜子の姿には私の理想が混じっている。その上で彼氏の妹なのだ。互いに魅了の気が効かない条件では、私の方が分が悪いのかも知れない。

 いや、構わないけど。

 曜子にだったら、いくらでも負けてあげる。というか、私が勝ったって何のメリットもないし。


「本気かよ、ゆう」

「そう、役に立たなかったら光安の新しい顔にすればいいし」

「あのなぁ」


 ……曜子は猫の真似をしながら、私のお腹の辺りでごそごそ動き回っている。うむ。どうやら私は勝ってしまったらしい。まぁ、残念ながら負けるはずはない。私は曜子の上位にあるのだから。

 それにしても光安は、自分の妹がこんな状態なのに、目に入らないかのように会話を続ける。不思議…なんだけど、今はその方がありがたいか。

 うん。

 現段階で、本当に生首が活用されるかは分からない。もしも私の予想が外れれば、そのまま開かずの間が完成してしまう。

 え? お前の家に引き取ればいいだろうって?

 誰がこんなもの、わざわざ地球に運ぶのよ。あ、こんなものって言った。ヒデさんなのに。


「自分の顔にしろよ。アレは神さま像じゃねぇか」

「あの顔で腕組んでもいいのね」

「ならお前の彼氏はヒデさんだな」

「ああ言えばこう言うわね」

「お兄ちゃんとお姉ちゃん、仲良しだねー」


 まぁいいや。細かいことは後回し。そんなに深刻に考えることでもないし。

 とはいえ、曜子はまだ何となく不安げ。今日の段階では、ただの木頭だと思うけどなぁ。


「どうしても嫌だったら、薫に頼んで泊まってもらう?」

「いや、それはダメだ」

「えー、なんで?」

「狼にエサをやってどうする」


 乏しい選択肢の中では、それなりに穏当なものを提案してみたが、あっさり却下された。

 まぁ正直、光安の言い分も一理あるのが怖い。能力的には、むしろ薫が曜子に襲われる心配をすべきなのだが、そんな元気があるなら薫に頼む必要もない、か。

 もう考えるのはよそう。

 今日はさっさと地球に戻って、明日の朝に仕切り直し。保存館で生じた疑惑は、関係者が揃った場所でじっくり確認したい。

 ……でもあれだった。

 大場氏には、保存館の首尾を伝えてやらなきゃいけないのか。騙し討ちの下手人に、そんなに親切にする必要もない気がするけれど、その下手人は若井の友人だし、そもそも若井も共犯だし……。


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