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魔王、村を襲う


 たくさんの都市国家が集まる、三日月形をした大陸。

 その大陸の、ある小山の上に、屋根から塀まで真っ黒な城がありました。


 黒い城の城主は、決まって強い力を持つ悪い魔法使いでした。

 悪い魔法使いは手下を引き連れ、ふもとの村を襲い、作物や金品を奪っていました。

 その魔法使いの極悪非道な行いに、ふもとの村人は城主をこう呼びました。


 『魔王』と。



 それは、ある日の夕方。

「今夜はふもとの村で、収穫を祝う祭がある。そこを襲って、作物を奪おう」

 ふと、思い立ったように言ったのは、黒い城の主・二十一代目魔王。

「了解です魔王様!」

 敬礼とともにそう言ったのは、緑の布を被り骸骨の顔をした、手下のエル。

「さっそく、村人を脅すための青の炎を準備してきます!」

「では、私は荷車を持ってきますね」

 優しい口調でそう言ったのは、もう一人の手下のホリー。

 ホリーはエルの色違いで、紫の布をかぶっています。

「一台でよろしいでしょうか?」

「あぁ、十分だ」

 魔王は不敵な笑いを浮かべ、

「月が上ったら、出発するとしよう」


 夜空に浮かぶ、少し欠けた黄色い月。

 その下を、三人は荷車を引いて歩きます。

 ランタンには、青く不気味に光る炎。

 そう、それは村人たちを恐怖させる、魔王のお出ましの合図――。


「魔王だ!」

 青い炎に気づいた誰かが、そう叫びます。

 火を囲んで楽しく騒いでいた村人たちは、その声に凍りつきました。

 まるで、さっきまでの明るさは嘘だったよう。

 歓声が悲鳴に変わり、真ん中にあった火はすぐに消され、怯えた村人たちは各々の家へと逃げていきます。

「……慣れたものだな」

「あっ! 魔王様、あそこに作物がまとまって置いてありますよ!」

 エルが指さした方を向くと、そこには今年収穫された作物がこんもりと。

「本当だ。早速頂戴しよう」

 魔王は一人、そちらへ歩み寄ります。

 と、そのとき。

「何してるんだね! あんた!」

 ガシッ

「……え?」

 魔王が振り返ると、自分の腕が大柄な女性に捕まれているのがわかりました。

 唖然とする魔王に、彼女は、

「こんな場所でもたもたしていたら、魔王に食われちまうよ! こっちに早くお逃げなさい!!」

 つばを撒き散らしながらそう怒鳴ると、彼の腕をがっちり掴んだまま走り出しました。

「え? ちょっ……ひ、人違いですうううぅぅう!!」

 そのまま猛スピードで引きずられ、魔王の姿は暗闇に消えました。


「「……魔王様……」」


 魔王がへとへとになって城へ帰ってきたのは、明け方のことだったそうです。


 これは、よく村人に間違えられる魔王様のお話。

登場人物紹介①


魔王

 なんかその辺にいそう。

 見た目は青年、黒髪で、赤色の瞳はいつも死んでいます。

 マントと話し方だけは一応魔王っぽい。

 四天王が強すぎて勇者がなかなか最上階まで来ないので、いつも暇。



□手下


魔王の側近その1:エル

 骸骨みたいな仮面をつけ、深緑のローブを被っています。

 魔法が使えて、そこそこテンションが高いのが特徴です。


魔王の側近その2:ホリー

 見た目はエルと同じですが、ローブが紫色をしています。

 落ち着いた性格で、主に魔王様のお世話をしています。

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