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VS勇者狩り−108の意志−  作者: カルイススキ
一章
5/180

4話 レッダと鬼ごっこ1 ※

※後書きにキャラ絵追加致しました。(レッダ・ボイコット)


 レッダ・ボイコットの蹂躙が始まった。


 狂気じみた表情が薄暗い遺跡で壮絶に映える。


「っ――――――!」


 前列にいた女子生徒が突然斬られ血しぶきが飛ぶ、隣にいた男子生徒が突然の出来事に体を硬直させる。


「明日香ちゃ――――――ん!!」


 斬られた生徒に駆け寄る友人と思われる女子生徒――――、レッダが首を傾げ歓喜しながら容赦なく二人目を肉塊にすべく大剣を振り下ろす。


「ックフ、恐怖してる人間の顏って可愛いよね?」


 僅か2分の出来事で二人の死体がレッダの前に並ぶ。


「ああ~楽しい、私一番乗りして優越感を味わうのが好きなの、ホント召喚されてくれてありがとね!貴方達を誰にも汚させずに私が汚す。面倒くさい説明をしたかいがあったかな、だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()戦慄が増すでしょ?」


 生徒達がレッダの狂気にあてられ震えあがる。

 涙が頬を伝う者、ガタガタ体を震わす者、まだこれが現実ではないと視線が定まらない者、過呼吸を起こし始める者…

 現代日本で平和に生きてきた十代にとって突然戦火や天変地異に遭遇するのと同等に酷な事態だった。


「何してんの?早く一番後ろにある入り口から逃げろよ」


 抑揚のない無表情でレッダが吐き捨てる。


「一瞬で殺ったら駆除と一緒だろうがよ」


 レッダが大広間の後ろにある入り口に指をさす。


「100~99~98~97~速く逃げてくれるかな?56~55~44~33~」


 ニコッと微笑むとレッダのキルカウントが開始される。


「皆!全員走りなさい!!」


 伊見先生の怒号が放たれる。


 誰が最初だったか判らない、しかし生徒達が勢いよく入り口に向かって駆け出す。


「きゃ――――――!」

「わぁ――――――」

「ぁあああああ!!」


 一人取り残された大広間でレッダが呟く


「残り30人か…1時間持つかしら?」




 大広間を抜け出し、薄暗い回路の先は塀に囲まれたダンジョンが広がっていた。


 恐らく人が簡単に登れない高さにまで設置された塀が建築されていた。

 その気になったら登る事も考えられるが、今の彼らにその余裕はなかった…


 大迷路のように左右、正面、Uの字通路、行き止まり、元は通路だったと思われる倒壊跡…

 生徒達が蜘蛛の子を散らす様に走った結果全員がバラバラになっていた。


 全速力で走った女子生徒が行き止まりで絶望する。


「なんで…なんでさっきまで授業してて…

 今日はお母さんが外食にするって言ってて、早く帰って来なさい!って…

 わぁ~~~~…おかさ~~~ん!」


 通路を必死に走り、必死に出口を探す男子生徒


「どこだよ出口!こんな所で死んでたまるかっ!

 俺は生きたいんだ!殺されるのは嫌だ!

 嫌だぁ!」


 数人で固まり塀の死角となる場所に隠れる生徒達、それぞれ自分のステータスを確認し攻撃できないか模索する。


「このまま黙ってやられるなんて御免だ!」

「ここがゲームみたいな世界だってんなら絶対必勝法があるはずだ!」

「あんなのが勇者だなんてたまるかっ!あんなの狂気殺人犯だ!」

「こっ…ここ!…ここにスキルの項目にタッチすると術の使用の仕方が表示されるぞ!

 魔法が使えるかもしれない!」


 誰かがスキルの使い方に自力で気付く


「誰か試せ!」

「急げっ!!」


 通路の真ん中でガタガタ震えながら術の出し方に先に気づいた女子生徒が火の魔法をどうにか唱えようとする。


「火…火をと、ともっ…しっかりしろ!!

 …私は烈火の勇者だったんだから…大丈夫あんな奴!

 …うっ…明日香ちゃん、ノリちゃん…うう…絶対許さない…」


 自分を必死に鼓舞しながら震える両手を翳す。


「火を灯せ…我を導け…我の力となれ我は烈火の勇者――――――」


「こよりちゃん!!」


 正に両手の先から炎が出現しようとした刹那―――――

 後光大地が女子生徒、日向こより(ひむかい    )に庇うように突然タックルを嚙ます。


 こよりがいた場所に高速の疾風と斬撃が直撃する。

 石畳が有明月型に抉られる。


 こよりを庇いながらぜぇ、ぜぇと息をする大地、合流するように大地達に近寄る霧花、ヒノキ、全員が()()を仕掛けた敵がいる方を見詰める。

 大地達が走ってきた先とは反対の通路のはるか先から

 …まだ人の姿が確認できない境界からそれを放った者がいた。


 レッダが不思議そう首を傾げる。


「何でこの位置からの攻撃が判ったのかしら?」

挿絵(By みてみん)

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