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VS勇者狩り−108の意志−  作者: カルイススキ
一章
2/180

1話 平和な日常 ※

今回の文字数は2309前後です。(読了目安5分)


※後書きにキャラ絵あり(椎名ヒノキ)

 その日はよく晴れた快晴の空模様だった。


 昼寝するには絶好と言えるだろう、高瀬高等学校2年2組、椎名ヒノキは廊下の窓から見える青空を見ながらそう思った。


 昼の休み時間が始まってからそそくさと立ち上がり、用事を済ませようと教室から廊下に出て、

暖かい日の光が包む廊下に一瞬目を奪われる・


「ふぁ~…いい天気」


 しかし、直ぐに他クラスや自クラスの同級生、担任も直ぐに廊下に出てきた事でその気持ちもそがれてしまう。


 兎に角目的を達成せねばともう一度気合いを入れて、ある商品を買いに食堂へ向かった。






 時刻は、数分前に遡る。


2年4組の教室では…


グッ


「ふぁぁ~~~!」


 授業終わりのチャイム音が鳴るのと同時に両腕を上げ、大あくびを嚙ます女子生徒がいた。


 彼女の名前は後光 大地(ごこう だいち)男らしい名前だが、れっきとした女の子である。

 本人は、気付いていないがかなりの美少女で整った顔立ちに先祖帰りの片目エメラルドグリーンが特徴的であった。


 ふわふわのちょっとくせのある金髪に近い琥珀よりの長い黒髪が彼女が動く度に動く。


「やっと終わったかー」


 油断全開にそんな発言をすれば…地獄の底からやって来ました!

と言わんばかりの国語の教師(臨時)である伊見 言葉(いみことは)が睨んでいた。


「おぅ!」


 24歳にして可哀想な程、童顔。

 更にどうやっても五段目の本に手が届かない残念な身長?


 ~~もうちょっとで手が届きそう…んんっ!!

…なんて妄想で高身長のイケメンに、スッとお目当ての本を取ってもらいながら~~これで良かった?

とか声を掛けられてみたい!!!!と憧れている教師だった。(無理だろ?)


ぴょんぴょん!


 ほぼ頭部で一纏めにした長いポニテールを揺らし、今日も残念な身長でまるでバッタが飛び跳ねる伊見先生。


「後光さん!まだ授業は終わってませんよ!

先生の話が終わるまでが遠足です。

…オホン!

 先生のお話が終わるまでが授業ですっ!」


 ちょっと言い間違えたけど、んなこといっってぇませぇぇ~ん!!

とスルーし、キリッと言い直す伊見先生。

 毎度の事だが呆れる生徒達、しかし一生懸命で天然な可愛い現国の教師にあえて突っかかる者は誰もいなかった。


 愛玩キャラという奴だ。


「え~~~、でも伊見ちゃんチャイム鳴ったし、お腹すいたぁ」


 もう一分一秒もムリ!と机に溶けそうな大地。

 それを見て…仕方ないですね~と溜息をつく伊見先生。


 大地の左隣の席から親友である海原 霧花(うなばらきりか)がフフッと口元に手を添えながら笑う。

 大地ほど髪は長くないが少し藍色がかったセミロングで大地と対象的で、スタイルの方も、大地よりグラマーで出るところは、はっきり育っていた。


「大ちゃんが、本当に大地になりそう」


「え?霧花っ余計な事言わないでくれるぅ!」


 名前に多少なりともコンプレクッスがあるのか、大地が不機嫌に霧花を見やる。

 微笑みながらごめんねっと返す霧花、大地も本気で言ったわけではないと分っているので、コクリと頷いた。


「それでは、これで授業を終わりにしますが、次週は頭から小テストしますので各自土日しっかり予習復習してきて下さい!以上でぇ~~~す。」


「ええ!伊見ちゃん嘘でしょ――――!」


 驚く大地に、ニヤッとする伊見先生。

 教室内から生徒のブーイングがそこかしこから沸き起こるが無視一択。


「~~先生の話しをしっかり聞いていれば大丈夫ですよ??」


 んじゃっ、言う事は終わったぜ!とばかりにピョンと教壇を下りて前方扉に駆け出す。


「!」


 ヤバイッ!と何やら慌てて大地も、自分の席から近い後方扉に走った。

 

――――――金具部分の取っ手に手をかける。



「私のグラタンパン!」



 購買部で大人気数量限定、一日5つしか並ばない限定ザ☆キング五芒星グラタンパン。

定価555円…


 

その時だった。





『勇者様!どうぞ我らにお応えください!』





 大地の背後から謎の声が聞こえた。


――――――フォン!


 教室の中心から突然、球体状のピンポン玉サイズの圧縮された光りの球が出現し、教室内を明るく照らした。


 一瞬唖然と動きを止める一同……突然ブワッと大量の術語が光の中から帯状に羅列し、球体が拡大し始め、風圧と眩しい光が教室にいた人間に襲いかかり阿鼻叫喚状態に変わる。

 

 次々と球体に近い生徒達が飲み込まれ、大地の傍にいた霧花も光に飲み込まれていった。

謎の声と球体が現れてから僅か数秒の出来事だった。


 しかし


 大地はそんな騒動の中…何故か別の方向に目がいっていた。


「………。」


 ――――――開かれたドア。


 その先に、ほんの少し開いた廊下に……丁度ヒノキがいた。

 そして、手には今まさに買いに行こうと思っていた購買限定のグラタンパンを持っていた。


「…え」


 ヒノキの視線と大地の視線が重なる。


「私のグラタンパン!!!!!!」


 グイッと大地の手がヒノキに延ばされて――――――ガシッ


 手を掴まれた。


「はっ!?」


 眩しい教室内の光。

 大地に引っ張られ、タンッと地面を踏み鳴らすヒノキ…


 ヒノキが教室に踏み込んでしまう。


 

カッ!!!


 と次の瞬間――――――大地とヒノキも光に飲み込まれた。



 残されたのは、誰もいなくなった静かな教室と片付ける最中だった筆記用具類等……そして、少し開かれた扉だけだった。

挿絵(By みてみん)


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