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再開

 それから、カズキが知っている事を全て話して情報共有した。そして、三人で色々な案を出し合い、よく話し合って、魔王を倒す作戦を決めた。

 はっきり言って、敵頼みの運任せで、百回やって一回成功すればいいほうだろう。


 今回二回目だが、三回目があるなんて甘い考えは捨てて、この一回に全てを賭けるしかない。人生が一回しかないのは当たり前の事なのだから、言うまでもないかもしれないが。

 まず前回の流れをなぞるように行動する。そうしないと、せっかくカズキ達が掴んでいる情報が無駄になるかもしれないからだ。


 でも、数箇所変更する。前回はアリス達を戦場に連れて行ったが、今回は連れて行かない。別に安全なところに居てほしいというわけではない。負ければ終わりなのだから、そんなことはもう言わない。

 作戦のタイミングを計る意味と、連携を取りやすくするために、念話ができる指輪型の魔道具を付けてもらうことにした。


 文句があるわけではないが、詩織が左手の薬指に指輪をつけて喜んでいた。そして、不思議に思ったアリスが詩織に聞いて、同じ指に指輪をつけていた。

 気恥ずかしいので、中指につけようとしたら、二人がかりで止められた。みんな同じ指につけようと言われたので、まあ、渋々といったていでつけた。

 前回と違う事をしたら、変わってしまうかもしれない可能性はあるが、小さい変化だ。たぶん大丈夫だろう。


 行動方針が決まったので、行動を開始する。

 前回ならもう作戦が決まって動き出している時間なので、急いで作戦会議に参加する。幸い会議はまだ行われていた。というか作戦が決まらず混迷としていた。爺さんに発言の許可を得て、前回と同じ作戦を伝えた。会議が困窮していた事もあって、前回よりは早くカズキの案が通った。

 帝国軍が魔王を誘導するまで時間があるので、その間にアリスと詩織の戦力増強をする。


 そのために神を狩る。

 魔王が攻めてきてから傍観を決め込んで何もしない役立たずの神には死んでその力だけをもらう。アリスと詩織が強いのは神の力を取り込んでいるからだ。詩織の場合は加護で少し弱めだが。


 身の丈に合わない力は身を滅ぼすだけだが、一日くらいの短い間だけなら何とか保つだろう。

 さっさと隠れている神を捕捉し、襲撃した。

 今さら魔王に怯え何もしない臆病者に聞くこともないのでパパッと片づけた。

 何体かいたけど魔王と比べて弱かったので、瞬殺だった。それも当然のことで、強い神は全て前回の魔王との戦いで死に、逃げ隠れした弱い神だけが生き残ったからだ。


 こんな弱い奴らが魔王の領域から第四位魔王の死体を取ってくることは不可能だ。今、過去に戻っていることからみて、第一位が何かしたのかは明らかだ。

 誰が何を企んでいようが僕のやることには変わりはない。アリスと詩織と生きるために、全ての魔王を滅ぼす。


 アリスと詩織に戦力が均等になるように神の力を与えて準備は済んだ。後はソールが離れるのを前回通り近くで隠れ潜み待つだけだ。

 戦場に着くと、炎が吹き荒れ帝国軍の大半が壊滅していくところだった。帝国軍が撤退していき、それをソールが追う。途中、町へ向かうが人がいない事を理解し怒り、帝国軍を燃やし尽くした。


 ソールが避難民を発見し飛ぶ。ヴァリティスはソールが蹂躙していく様をただ傍観するだけだ。距離が離れていき、避難民の頭上に追いついた時には十分な距離が開いた。


 隠れるのをやめてソールへ手を向け、空間消滅でソールの身体の大半を消す。


『な、なんで、手前ぇが生きてる!?』

『お前が知る必要はない』


 言うと同時にソールを消滅させた。

 ここまでは前回通りに進んでいる。

こちらに向かってくるヴァリティスを見る。前回少し会話をしたはずだけど、何を言ったのかあまり覚えてない。まあ、会話の内容なんて大事じゃないし、適当でもいいだろう。


『トライシオン王、貴様が下位の魔王達を倒した裏切り者ということか』

『そうだ。……次はお前の番だ、ヴァリティス王』

『クッハハハ。下位の分際で俺を倒すだと?』

『ごたくはいい。死ね!』


 カズキは手を手刀の形にし、空間切断を放つ。ヴァリティスに当たる前に重力球に衝突し、相殺される。

 確か、ここから転移を繰り返しての全方位からの攻撃をしたっけ? 一度戦った経験があるため、癖やどのような攻撃をしてくるかわかっている。その分僕の方が有利だ。やろうと思えば、前回より早く倒すことはできる。だが、その場合あまり魔力の消耗がない。


 弱ってない状態の僕がわざと隙を見せたところで、アヴニールが姿を現すかはわからない。正面から戦っても勝てるとか言ってたはずだけど、正面から来られても困るし、前回と同じじゃないと困る。

 だから、ある程度消耗した状態でヴァリティスに勝たないといけない。


『………………』

『どうした? まさかその程度で終わりか?』


 空間切断を防がれて以後攻撃してこないカズキを嘲るようにヴァリティスが言う。

 見当違いの台詞に呆れるが、表には出さない。あまり待たせても前回との違いが生じてしまうから転移を繰り返して攻撃をする。


当てないように絶妙に手加減した攻撃は全て防がれる。とにかくこれを続けて魔力を使い、前回と同じぐらいまで消耗したら、一気に決着をつける。

全ての攻撃を防げている事から油断してくれれば、奇襲もうまくいく。

魔力の消耗がいい具合になる。ここで空間転移を使いあるものを転移させる。これで準備はできた。

ヴァリティスのすぐ背後に姿を現す。


『――――っ!』


 ヴァリティスは振り返りながら、周囲に浮かぶ重力球を一斉に放ってくる。全弾カズキの虚像に命中し、その姿を掻き消す。

 隙だらけのヴァリティスの正面に現れたカズキが腕を振り下ろす。


『ガァァアアアアアアア!』


 縦に両断されたヴァリティスの身体が崩れ落ちていく。


『トライシオン王、愚かな裏切り者が……誰もあの王に勝てるわけがないというのに……』

『いや、僕達は絶対に勝つさ』


ヴァリティスは滅びたのを確認する。

ここまでは前回もできたから、問題はない。……問題はここからだ。


前回の苦い経験からアヴニールの能力についてある程度どういうものかわかった。攻撃が当たるまでの過程を飛ばして、攻撃が当たったという結果を得る能力だと思われる。だから、アヴニールの攻撃は防御も回避もできない。とても厄介な能力だがわかっているなら、戦い方はある。


念話でタイミングを見計らい人間の姿に戻り、地上に下りる。アヴニールの存在が気になるが隙を見せるためにも、余計な事はしない。


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