鬼の休暇2/2
この物語に登場する人物名やそれに関する地名関係は作者のびみょーな知識によってつけられています。
登場人物の名前は(あ~あれを参考にしてるんだなぁ~)くらいの軽い気持ちで見ていただければ幸いです。
現世へと昇ると言ったがどういう事かというと、天国・現世・地獄へと移動する際私たちは3つの世界に連なるように出来ているビルにあるエレベーターを使って移動するのだ。
昔は自力で登るしかなかったのだが便利になったものだ。
ふとエレベーターに掛けられている鏡を見てみる。
赤い肌。亡者を震え上がらせる恐ろしい顔に口元に生えた牙。頭から伸びる2つの角。
まさしく鬼と呼べる姿。私だ。
「現世にいくなら姿を変えるべきだな」
この姿で歩けば騒ぎになるのは間違いないだろう。
「これでいいか」
もう一度鏡を見てみるとそこには40歳前後にみえる人間の姿映っていた。肌は少し赤みがかっているが不自然ではい肌色。髪は年齢に見合うように白髪交じりの黒髪。服はスーツでいいだろう。私たちいわゆる妖怪と呼ばれる部類のものたちはほとんどが変化する術を持っており、私達の持つ妖力によって皮膚を服へと変化させることが出来るのだ。それを使い現世へとまぎれるのだ。
『ゲンセです』
そうこうしていると現世に着いたようだ。ひとまずビルから出てみるとしようか。
「ここもずいぶん変わったな」
私たちが使うビルは現世の京都の四条にある。街中に立ち並ぶビルに混じっているので誰もここが他の世界につながってるとは主は無いだろう。
今は14時頃か。まだ日は高く外に出てみるとたくさんの人が往来してる。せっかく現世に来たのだし、少し歩き回ってみよう。しかし何を見に行けばよいのだろう?現世にいる知り合いは・・・
「そうだ。大江山に行ってみるか、あそこには酒呑が居たはずだが・・・まだいるだろうか」
ここからは少し遠いが明日中にはつくだろう。
・・・・3時間後・・・・
「車は便利だな。まさかこんなに直ぐ着くとは。地獄で作るのもよいかもしれないな」
歩けば20時間ほどかかると思っていたがまさか日が暮れる前につくとは思っても見なかった。まさに革命的な発明と言うやつだな。
さて、大江山に着いたのはいいが酒呑の気配は感じられないな。まぁ昔あってから2,300年経ってるので仕方ないか。どこか他の山へでも移動したのかもしれないな。誰か現世の妖怪事情に詳しい者が居たらいいんだが。
「なんと!!!!こんな所で妖気を持つモノに会うとは!!!」
なんだ?後ろから叫び声がした。こんな山奥に人がいるとは。振り返ると変な奴がいた
顔に白粉をつけ頬紅をつけまるで平安の人間のような格好をしている。
「貴方は何故そんな格好をしているんだ?今は平成の世だぞ。それともその格好が今流行っているのか?しかし街中ではそんな変な格好をした奴は見かけんかったし・・・」
「変な格好!?なーーーんと失礼な妖じゃ!我の名は加茂清行。高名なる我に会ったのだ。妖風情でも礼儀をもって接するがよいぞ?いや妖に礼儀を求めてはならんかの。ほっほっほっほっほ!」
このおかしな男はいったい何を言ってるんだ。しかし俺を妖怪の類と見抜くと言う事は退魔士か?もし退魔士なら彼らは妖怪の専門家だ。彼らなら酒呑がどこにいったかを知っているかもしれないな。
「おい。ここに酒呑童子と名乗る鬼が居ただろう。とはいっても大分昔のはなしだがな。
今、どこにいるかを知らないか?」
すると変な退魔士は大きな変な笑い声をあげながら
「ほっほっほその鬼ならわが祖先とその友たちによって退治されたわ!今頃地獄におるじゃろう!」
(地獄に居たときそんな話は聞いたことが無いので地獄には来てないな。そもそもそんな簡単にやられる奴ではないしな)
「ほっほっほ。何だ?貴様その鬼に会いたいのか?ならば我が送ってやろうぞ!その鬼と共に地獄で苦しむがよいわ!」
(地獄に送り返されても戻ってこれるし構わないが・・・そもそも地獄は鬼を苦しめる場所ではないからなぁ)
「なんじゃ?臆して声も上げられぬか?まぁ構わん!退治してくれる!」
はっ!しまったあまりに急展開過ぎて冷静に突っ込んでしまっていた。
まさかこんな所で退魔士に出会うとは、もし奴がそれなりの力を持ってるなら厄介だな、封印されたりましてや退治されるこのなどは万に一つも無いが相手をしているうちに誰かに見られて騒ぎになっても困る。逃げてしまおうか?
と考え事をしているとどうやら加茂なんちゃらが腰に掛けた刀を抜いて何かしようとしているようだ。
「我が最強の退魔術をくらわせてくれるわ!地獄で仲良くするのじゃな!退魔刀破斬!!」
何やら随分とかっこいい技を放ってきた。しかし・・・
『ぺしっ』
私の体に当たると消えてしまった。仰々しい技の割には弱いな、しかも最強の技と言ってなかったか?逃げる必要もないかもしれないな。
名は何だったか・・・まぁいい。あの変な男を見てみると口を大きく開け目も見開いている。自分の技が効かなかったのがそんなにショックだったのか?
「な・・・な・・・何故!?何故傷すら負っていないのだ!貴様いったい何者だ!我の最強の術で倒せないなどどれほどの力を持っていると言うのだ!?」
(この程度なら地獄にいる奴の半数は耐えられると思うが)
「まさかこんな所でこのような大妖怪に出会うとは、私の使える術では貴様を倒すことは出来ぬようだ!しかーーーーーし!何もせず逃げるような我ではない!我が加茂家に伝わる秘宝!封印玉を使って貴様を封印してやるわ!」
そういうと懐から拳大の白く輝く玉を取り出し私に投げつけてきた。
(封印玉?聞いたことが無いな。まぁたいした力を持つものではないだろうが一応避けておくか)
投げられてきた玉を避けると後ろからパリンと玉が割れる音がした。
「これで終わりか?なら私はもう帰っても「ほっほっほ!残念じゃったな。その封印玉は割れたとき周囲の妖怪を異界へと飛ばす力を持っておる!お前はもう逃げられんぞ!ほっほっほ」
異界へと飛ばす?異界とは地獄や天国のことだろうか。それなら別に困らないが・・・・
!?地面が光りだしドアが現われた。移動しようと思ったがドアから鎖のようなものが現われ足が動かない。無理矢理引きちぎろうと足に力をこめたがその時にはもうドアが開き私は地面に吸い込まれるように落ちてて行った。
意識が朦朧としてきた・・・
「ほっほっほ!この加茂清行が大妖怪を退治してくれたわ!ほっほっほっほっほ・・」
薄ていく意識の中で
「あーそうだそんな名前だった」と呟き、意識を失った
どれ位の量を書けばちょうどよいのかが分からず、探り探り書いていますので意見がありましたらよろしくお願いします。
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