それは終わりか、始まりか
[ピーピーピー ピーピーピー]
という無機質な電子音がこの不思議な部屋に響いた。
「なんの音だ……?」
真っ先に肩を震わせて反応したのは、探索をしようと言い出した克之である。
「今まで、こんな音がしたことなかったッスよね?」
と、太一が続く。
正直、窓もドアも開かず、机やイスを動かすことすら固定されていてままならなかったのだから、変化が起こると少し希望が見えてきた。
[ピーピーピー ピーピーピー]
電子音は、ずっと鳴り続いている。
「この音、もう少しまっすぐ進んだところから聴こえてきませんか?」
「あのモニターの当たりか?」
治彦が、愛莉の言う天井から吊るされているモニターの辺りへと歩みを進めながら言った。
[ピーピーピー ピーピーピー]
「何も見当たらないが、音は確かにこの辺りから聴こえてきているな」
のんびりと後をついてきたわたしたちも周りを探ってみるが、目ぼしいものは見つからない。
「本当に何もない……」
「あぁ、一体この音は」
私の呟きに克之が言葉を返している途中、先程まで鳴り続いていた電子音が消え、ブチッという音と共にモニターの画面が青色に光った。
しばらくすると、灰色の画面に変わり、[SOUND ONLY]という白字が表示され、点滅を始めた。
[ピーピーピー ピーピーピー]
[接続完了 接続完了]
[被験者、5名揃いました]
[ただちに、実験を開始します]
「な、なんだ…?これは……」
いきなり動き出したモニターの前に固まっていた5人の中で、最初に口を開いたのは克之だった。
「被験者が5名って言ってませんでしたか?わたしたちが、被験者……?」
「そんなこと聞いてないッスよ~!なんなんスか~!!家に帰らせてくれよ~~っ!」
愛莉や太一は怯えながら言った。
「突然、こんなところに来たかと思えば、実験…?一体僕たちに何をさせる気なんだ。わけがわからない」
治彦は静かに、しかし瞳を揺らせて問うた。