光、そして知らない場所へ
突然、目の前が真っ白になった。
訳もわからず目を閉じ、次に目を開けた瞬間に飛び込んできたのは、同い年くらいの男の子三人、女の子一人であった。
ここは、どこだろう?見たことのない場所だ。どこかの部屋の中だろうか。ずいぶんと広い。
そんなことを考えていると、赤みがかった茶色の髪をもった少女が私に向かって言った。
「…あ、あの、大丈夫ですか?」
見たことのない子である。
あなたは誰ですか。というか、私は今さっきまで家にいたはずで、一軒家の二階上の屋根裏部屋に入ろうとドアを開けただけで。
「えぇっと…」
頭が混乱していて処理が追い付かない。尚且つ、普段あまり人と話すことがないせいか、無意味な言葉しか出てこない。
「わたしも気付いたらこんなところにいたんです。あなたと一緒で」
少女は安心させるように続けた。
「わたし、東田愛莉って言います。困惑してて、しどろもどろしていた時に、また、突然光ったと思ったらあなたがここにいたんです」
「長谷川まどか。そう、一緒ね。貴方たちも?」
私は先程から黙ってこちらを見ていた三人の少年に呼び掛けた。
「あぁ、俺は千葉克之。克之でいいよ。そうそう、俺が一番最初に来たっぽいんだよね。愛莉ちゃんが言ったように、それぞれ突然光ったところから出てきたよ」
背の高い、派手な金色の髪をした少年が真っ先に答える。
「ふぅん、そっちは?」
適当にあしらうと、まどかちゃん会ったばかりなのに辛辣~、という言葉が聞こえた気がしたが無視することにした。
「オレは高坂太一っス!オレもそんな感じッスね!こっちのメガネは五木治彦!オレらも呼び捨てでいいっスよ~!」
茶髪の癖っ毛と人懐っこい笑顔が特徴的な少年が答えると「僕はそんなこと言っていない」と隣にいた黒髪で落ち着いている少年が素早く訂正した。
「まぁまぁ、ここから出る方法もわかんないんだし堅いこといわないの!」
克之がそう言うと、治彦は諦めたようにひとつため息をした。
「じゃあ、ここにいる人たちはそれぞれみんな初対面なんだ?」
自己紹介から次の話題は状況分析に切り替わる。
「うん。まどかちゃんが来る数分前に一回自己紹介したんだよね。ちなみに俺がここに来てから今までで15分ほどしか経ってないと思うよ」
最も時計なんてないから体感だけど、と克之は付け足した。
「一般的な学校の体育館程度の広さで、アンティーク調の家具が置いてある。窓もドアもあるがこちらはすべて開かなかった。しかも、窓から見える空の雲は動いていない。本当に、一体ここはなんなのだろうか」
治彦がこの謎の世界について話し出す。
「机の上に見たことのないお菓子も置いてあるよね~。食べれるのかな?」
愛莉が小袋に入ったクッキーに似ているお菓子をつまみながら言った。
「食べるのはやめといた方がいいっスよ…?とりあえず、一旦みんなでこの部屋の探索してみるっスかね?」
太一の提案に皆が頷き、何故だか突然来てしまった謎の世界の謎の部屋の探索が始まった。