世界創造記
世界創造の逸話をここに記す。
太古の時代、世界は闇のみ存在した。光はなく、ただ闇のみが広がっていた。
だがある時、小さな光が生まれた。闇に消されてしまいそうな本当に小さな、小さな光。
その光は、次第に闇を払い大きく成長していった。
巨大な闇を小さな光が払っていく。次第に闇は押しのけられ、闇は小さくなっていった。
そして闇は光の届かない場所へと姿を隠して、消えることを免れた。
光は人の姿を取り、世界を見渡した。世界には何も存在せず、ただただ何もない世界が存在しているだけだった。
光はこれを良しとせず、己の力を使って世界を作り始めた。
「大海あれ、大空あれ、これから生きしものたちのために大地あれ」
するとまず世界に水が満ち、大海が生まれ大空と世界を分け、その後に大地が大海の中から現れた。
光はそれを見て、よしとした。
次に光は、何も存在しない大地と大海を見てこう言った。
「大地、大海。様々な生き物、実のなる木……あらゆる恵みを生み出せ」
すると大地の幾多なる場所から木や草が生えだした。グングンと成長し、緑色の絨毯が各所で敷かれた。そして大地を駆ける獣や空を駆ける鳥など多くの種類の生き物が生まれた。
大海では、魚が泳ぎだした。さらに少数ながら大海の中に植物が芽生えた。
様々なものが溢れた世界を見て光は良しとされた。
「この全てを支配するモノを大地に作り出そう。それは人間と呼ばれ、知識や言葉を操り意志疎通を行う」
すると人間が大地によって生み出され、姿や形を得た。これをみて光はよしとされた。
こうして出来たモノを光は『世界』と呼んだ。そして最後に光は世界にこう告げた。
「世界よ。時間を作り出し、動き出せ」
すると世界は大空を回した。それを見て光は安堵の表情を浮かべ、天へと登っていった。
こうして世界は出来上がった。光は平和な世界をこのように作り出したのである。