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永久と刹那は紙一重  作者: 崩落人生
一章 ~不幸少女は幸運少女?~
21/23

内容より速度重視で行きます。

動きそうで動かない展開。

ん~進みませんな。

部屋を出た俺を待っていたのは壁に背を付け立っていた雅だった。

雅は組んでいた腕を崩して軽く手を上げる。



「やぁ、そろそろ来るころだと思っていたよ。」


俺が出てくるのを待っててくれてるとはありがたい。呼ぶ手間が省けた。


「どこまで知っている?」



雅がここにいるってことは今の状況を把握しているということだ。

俺と長年一緒に過ごしてきたのだから、俺が記憶を取捨選択していることを知っていたのだろう。

そうでなければ、俺の態度の変化に対応できないはずだ。今日の会話を思い返せば極自然に対応していたことからも俺の体質については知っているのは確実だ。

問題は、雪那さんについてどこまで知っているかということだが…。



「全部、知ってるよ。雪那さんから聞いたから。」


「時間がないこともか?」


「もちろん。何が起きたのか聞いたし、能力だって聞いた。一応説明しようか?」



今はあまり時間がないが、真実はすべて知った上で行動した方がいいし、両者の情報に差異がないとは限らない。だから、一度ここで状況を整理しよう。



「頼む。」


「わかったよ。事の始まりは一昨日の放課後。三人の生徒が雪那さんにいじめてた所から始まった。三人の生徒は雪那さんに無理矢理薬を注入したんだ。この薬は最近出回ってるやつだけど、どのようなものか知ってるよね?」



ここでいう薬って言うのは中毒性があり能力を発現させるという噂があったやつだろう。注入というだけに基本的に注射器に入っている。昨日会った発現者が急に変わったのはこの薬を自分に打ったためだと俺は考えている。打ち終わった注射器を俺に投げつけたため、地面に空の注射器が落ちていたのだろう。

薬による中毒性は人を狂わす。だからあいつはあんな風になったんだ。狂った人間に脳のリミッターはない。だから、限界を超えた肉体の酷使により通常以上の行動をとることができたんだろう。

あの時、雪那さんは注射器を見て知っている素振りをしたことからこの二人はどちらも同じ薬を打ったことになる。

雪那さんも同じ薬を打ったからこそ自らを生徒執行部の監視下においたんだ。

だが、しかしそうするとおかしな事がある。雪那さんが長い時間平常に意識を保っていることだ。

薬の量が少なかったのか? それとも、個人差があるのだろうか。



「能力の発現とそれに伴う高い中毒性だな。だが、なぜ雪那さんは大丈夫だったんだ? 俺が昨日会った奴はすぐに狂ったぞ?」


「それは、恐らく彼女の能力に関係するんだと思うよ。彼女の《根源たる力(―オリジン―)》…《天真爛漫な乱数調整(ラッキー・ガール)》のね。」



天真爛漫な乱数調整(ラッキー・ガール)。それが、彼女の能力。無理矢理に発現させられた、彼女の願い。



「この能力は幸運を引き寄せるらしいよ。本人の意図しない形でね。三人の死体を覚えてる? みんな変な死に方をしていたよね。あれがこの能力を物語っているのさ。焼死体、バラバラな死体、そして謎の血だまり。普通に殺したんじゃこんな風にならない。あれらは、彼女の助かりたいって思いに能力が答えたのさ。三人の《根源たる力(―オリジン―)》を暴走させて自滅させたんだよ。本人の望む望まないも関係なく自分の思い通りに幸運を引き寄せる。まさに、幸運少女ラッキー・ガールだよ。だからこそ、薬の中毒性も今は耐えられているのさ。」



幸運を引き寄せるだって? じゃあ、今の状況も彼女にとっては幸運なことなのだろうか。

いや、そんなことはない。彼女はむしろ不幸な方だ。俺は忘れない彼女の寂しそうな笑顔を。

あんな笑顔をする彼女のどこが幸運なのだろうか。



「もちろん、幸運といっても限度があるから今も薬は体を蝕んでいるよ。それに、能力自体が彼女にとって毒なのさ。人に過ぎたる力は禍を導く。だから、今の彼女に残された時間は少ない。もって一日だって言ってたよ。」



彼女は確かに言っていた。


『…うん。…実は私もう長くないから。』


あの時は冗談だって笑って誤魔化していたけど、やっぱり残された時間は少なかったんだ。

だからこそ、あんなに一生懸命に一日を過ごそうとしてたんだ。



「どうして、俺に言わなかったんだ?」



本当はわかっているのに言わずにいられない。

誰も望んでいなかったからだと分かっているのに言わずにいられない。



「彼女がそれを望んでいなかったのが一つ。君が望んでいなかったのが一つ。だから、言わなかったのさ。」


「でも、それでも――」


「彼女はさ、言ったんだよ。最後のお願いだってね。翔と一日だけでも一緒に日常を送りたいんだって。そんなお願いを破るわけにはいかないでしょ?」



最後の願い…俺と一緒に過ごすだって?

なんだよそれ。安っぽい願いじゃないか。そんな願い俺に言えばいくらだって叶えてやれるのに。



「後は、翔も知っている通り。彼女は今、生徒執行部に捕まっている。残念だけど遅かれ早かれ殺されると思うよ。彼女は時限爆弾みたいなものだからね。」



殺される。俺もそう思う。間違いなく殺されるだろう。それ以前に彼女は薬と能力の副作用で長くない。どのみち助からないのかもしれない。



「それで、どうするの?」



どうするかって?

俺が今行った所で何の意味もないかもしれない。そんなことはわかっている。

彼女に会いに行くことが生徒執行部を敵に回すことも、それが意味することも。

だけど、それでも俺は彼女の傍にいたいって思えた。

例え、学校中を敵に回しても、これからの未来を犠牲にしても彼女の味方でいたいと思えた。

どんなに短い時間でも、俺は――



「彼女を助けに…いや、彼女に会いに行く。―――手伝ってくれるか、雅?」



俺一人で彼女の所までたどり着けるかわからない。

誰かの助力がなければ、ほぼ無理と言っていいだろう。

無茶を言ってるのはわかっている。

雅が戦っても雅には何にも得はない。そして、俺と一緒に戦うということはすなわち生徒執行部を学校中を敵に回すということ。

普通なら断る。デメリットしかない。対価のない人生を賭けた博打。

でも、雅は当たり前のように―――――



「ああ、いいよ。僕達は友達だからね。」



頷いて、答えてくれた。

友達は大切!

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