戦闘 1
戦闘を書くのって難しい。
てか、文考えるのって難しい…
日本語破綻してないだろうか…
奴は遠くから攻撃できるのに対して俺の武器は拳しかない。
やるなら接近戦。相手の能力もわからないのに突っ込むのは愚行かもしれない。
だが、あいつを倒すなら近づくしかない。離れていればいるほど奴の方が有利になる。
だから、短期戦で決める!
俺は足で大地を強く蹴って、全速力で駆ける。
俺とあいつの距離はおよそ20m。全力で突っ込んでも数秒はかかる。
おそらくその間に一度は攻撃されるだろう。その瞬間が勝負の分かれ目。
俺が全速力で突っ込んでいる間も男は動かず腰に巻きつけている小バッグを弄っていた。
何か取り出すつもりなのか?
ここは一度、様子を見るために止まるべきか?
いや、やつは遠距離からも攻撃できる。動きを止めれば狙い撃ちされるに違いない。
それに、ここで引いたら二度と前に進めないかもしれない。
一瞬でも男から目を離すな、そして臆せず進め!
男が手に取りだしたのは、何の変哲もなさそうな小さな黒い球体だった。
一体、その球をどうするつもりなんだ。
…考えるんだ。さっきの遠距離による攻撃とこの球が関係がしているはずだ。
そして、男はその球を握って大きく振りかぶった。
この瞬間ある一つの仮説が脳内に閃く。俺は咄嗟に腰を落としてしゃがみこんだ。
空気が切れる音が聞こえた後に――――轟音。俺の後ろから何かが砕け落ちる音があがる。
男は手に持っていた物体を投げつけたのだ。
後ろから聞こえた音は建物の壁が粉々に崩れ落ちたためだろう。
廃墟だから壁が脆くなっていたのは確かだ。しかし、それでも、壁を破壊するのはそう容易くはない。
こいつの攻撃は純粋に破壊力が高い。殺傷力があると言ってもいい。生身の人間が食らったら間違いなくただでは済まないはずだ。
こいつが投げる際に事前に投げる体勢を構えなかったらまず避けれなかった。
こいつの能力は腕力の増加か、物体の加速、その他色々な予測があるが攻撃パターンは事前の構えから物体を投げつけての遠距離攻撃のみと考えられた。ならば、注意するべくは奴が物体を投げる瞬間だけでいい。その瞬間に体を動かせば避けられる。もし、こいつが上半身ではなく下半身を狙っていたら俺は攻撃を受けていたが、その点においてはまさに偶然であった。
こいつも自分の能力を過信しすぎたのだろう。攻撃が外れたことに狼狽えている。
当てれば倒せる…一撃必殺というと聞こえがいいが、当たらなければなんの意味もない。
また、己の能力に頼り切った戦い方しかできなかったが故に動きが単調になり読みやすい。
そして、攻撃し終わったこの瞬間こそ勝機。俺は残りの間合いを一気に詰めて渾身の一撃を鳩尾に叩きこむ。
「ごはぁ!?」
動きが完全に止まった今、顔面に向かってさらに追撃を加える。
「ぐぅふ!?」
男は痛みのせいかその場に蹲る。
さらに追撃を加えて完膚なきまで叩きのめすべきかもしれないが、その前に聞かなければならないことがある。
「他の仲間は何処だ?」
「…誰が、…てめぇ、に、…言うかよ!」
まぁ、そうだろうな。
たしか、こいつは仲間と連絡を取り合っていると言った。ならば、通信機とかがあるはずだ。
俺は男に近づいて小バックを奪い取る。
…重っ! なんだこの重さ。ただのバックにしては異様な重さだ。
中を見てみると黒い球体がたくさんあった。
球体を一つ手に取り持ってみると、何故こんなにバックが重いのか理解できた。
…これは金属の球だ。一つ一つはそこまで重くないが量があるのでバックが重いわけだ。
球の正体がわかって、こいつの能力も考えがおおよそ検討がついた。
単純に考えて破壊力は速さと重さによっておおよそ決まる。
重い球を使い速い速度で投げればかなりの破壊力になる。
ちらりと、投げられて球の方向を見る。そこには粉々に崩れた壁があった。
重い球を使うだけではあれほどの破壊力はでない。
ではなぜ壁を破壊するほどの破壊力を出せたのか?
単純だ。こいつの投げる球は速すぎた。
それは人の力の出せる物ではなかった。つまり、そこにこいつの能力が関わっている。
おそらくこいつの能力は腕力を上げるものか…いや、物体を投げることで発動するタイプ。
腕力を上げる能力だったならこいつのようなタイプの人間は遠くから攻撃せずに接近戦で殴った方がいいと考えるはずだ。だが、こいつは遠距離攻撃のみ考えていたように見える。つまり、物体を投げることに意義があると考えられる。
バッグの中を探したが結局通信機らしきものは見つからず、再度男に尋ねる。
「お前の仲間は何処だ?」
「さあな。俺に聞いたって無駄だぜ。俺には通信を受け取ることしかできないからな。」
俺には受け取ることしかできない…か。
最後の仲間の能力なのか? 気絶してなかったのか。
だがこいつらが三人で行動しているわけがわかった。
それはつまり役割の細分化という理由があったからだ。
一人が位置感知し、一人が連絡を取りそれを仲間に伝え、一人が戦う。
一人一人の力は脅威でなくても三人合わされば脅威になる。
だが、戦闘要員を倒せば後の戦力は大したことはないはずだ。
こいつらの仲間もこいつがやられたと知ったら諦めるだろう。
「そうか。もうお前に用はない。お前は負けたんだ。さっさと仲間の元に戻れ。そして、二度と雪那さんに近づくな。」
「負けた? この俺が負けた…? こんな非発現者に奴に? 俺が負け…」
ぶつぶつと呟き始める。軽くホラーだ。
負けたのが悔しかったのだろう。なんて言ったて、俺は世間では出来損ないの非発現者だからな。
それを知っているからこそこいつは自分が負けたことを認識しようとしないのだ。
さて、こいつがこんな状態じゃ仲間の所に戻らせて他の仲間に雪那さんを諦めさせることができない。
…しょうがない。とりあえずは元の場所に戻って探してみるか。
まずは、ここがどこだかわからないとな。一度人通りの多い所に出よう。
そう考えていると雪那さんが俺の方に慌てて近づいてくる。
「翔君! だ、だ、大丈夫!? 怪我とかしてない?」
どうやら、俺の心配をしてくれたらしい。だが、俺は怪我なんてしていないのでその意思を微笑みながら伝える。
「大丈夫だ。怪我はない。それより、一度ここから移動しよう。」
そう言うと彼女は安心した顔をしてから小さくうなずく。
そして俺達は人通りの多そうな方向に向かって歩き出す。
残り二人か…恐らく単純な喧嘩になる。今彼女を一人にするのは危険なため、連れて行くしかない。
雪那さんを守りながら戦うことになるはずだ。気を引き締めていかないと。
彼女を安心させる言葉を今の内に言っておこう。そうした方が安心しながら一緒に行動してくれるはずだ。
「雪那さん。大丈夫だから。俺が守…」
俺が守るからと言おうとしたが、その言葉を続けることはできなかった。
それは、悪魔的な直感なのか、はたまた運命の導きか。
いずれにせよ、俺は半ば無意識に彼女を守るように一直線上に並び後ろから飛んでくる物から彼女を庇った。
「ぐはっ!? 」
左肩に何かが衝突した。そう理解するとともに、俺が彼女の後ろに移動しなかったら危なかったことを想像し何とか彼女を守れたことに安心した。
「どうしたの!?」
「わからない。ただ何かが左肩にぶつかった。」
あまりの痛みに膝を着く。くっ、一体何が起きたんだ。
そして、俺は下に奇妙な物が落ちてることに気づく。
「これは、一体なんだ。」
落ちてるものを手に取りよく見てみる。
これは、注射器…なのか?
中身の入ってない注射器がなんでこんなところに…
俺が注射器を見ていると予想外の所から声があがる。
「そんな…それは、まさか…」
声を震わせてながらわなわなと呟く。…彼女はこれを知っているのか?
だが、この震えようはなんだ。これはそんなに恐ろしいものなのか。
「か、翔君…に、逃げよう。」
逃げるって、何から?
それは、単純だ。彼女は今どこを見ている?
俺の方向だ。じゃあ、一体なぜ彼女はこんなに震えている。
俺の後ろには何がある?
それは―――――
俺は後ろを振り返る。
「負けてない、負けてない、負けてない、負けてない、俺は! 負けてないんだよぉぉ!」
そこには、咆哮を上げる怪物がいた。