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第二十八回 一定のリズムで

 小説文章は、最初から最後まで一定のリズムを刻まなければいけません。

 基本として一定のリズムを持つべきという事なんで、曲の調子とまったく同じですから途中でアクセントを付けて変調させるのはOKです。あくまで「計算でやれ」というだけの事なんで。


 戦闘描写が苦手、あるいは迫力ある戦闘シーンが書けないって人がいます。


 えー。

 読者にも、リズム感があります。ニブイ人も鋭い人も。それを「読み取る能力」と言います。

 ニブイ人だと「空白」が読めなかったりします。いや、これはギャンブル勘の領域かも知れないですね、作者・作品との駆け引きで、額面通りに受け止める人ってことです。詐欺被害に遭いやすい人です。

 リズム感で解かるのは、テンポの良さとかですね。

 この場合、何が問題かといえば、両者のそれぞれの事情で起きてくる現象だったりします。

 「駆け引き」と「リズム感」で引き起こされる齟齬です。


 主観描写ってのは、くどくどと「~のような」という感じに比喩とかを使い倒して表現する方法です。

 これは、本当に「くどい!」です。過ぎるとうっとうしいです。

 スピードが命の戦闘シーンで、これをやらかされた日には、その小説を投げ出すこと請け合い。

 この主観描写がお気に入りの作者に多いのが、「空白」を使いこなせない人です。読み取らせることが苦手なんでしょう。種明かししたら簡単なことなんですけどね。

 主観描写を使い倒す人は、多くが読者を念頭に置いていません。それがキーワード。(笑


 読者には「読み取る能力」があるので、多少すっぽ抜いた表現でも、「感覚」で埋め合わせてきます。

 「リズム感」はこの際に、一定のリズムを刻むことで読者にも「すっぽ抜いた部分がどこか」を共有させる事が出来ます。阿吽の呼吸ってヤツは、以心伝心、なのです。

 リズムというのは、ルールです。「こういうのはすっぽ抜くよ」という取り決めです。このルールがしっかり守られている時、リズムは一定します。ルールなので、他者は理解すればそのルールに則ることが可能です。……解かります? 極限までシンプルにした文章でも、読者は空白を読み取れます。場面を想像するのは、深読みした独自の捕捉情報です。

 もちろん、駆け引きは能力ですから、個人差があります。優劣があります。平均値をキープして書くようにしましょう。想像の足がかりとなる情報は過不足なく、です。


 んでは本題。


 Q:なぜ、迫力ある戦闘シーンの描写が出来ないのですか?

 A:リズムがそこだけ崩れているからです。


 戦闘シーンは、シンプルな文体でスピード感を表現せねば、マヌケになります。

 間延びしたスローテンポの戦闘描写が迫力あるわけないですから。

 くどくどと細かく指定するところを全て削り、削った部分を読者に読み取ってもらうべき場面なのです。空白を駆使できねば、戦闘シーンは書けません。想像を超える描写などないのです。


 小説は一定のテンポで文章を綴っていくものですから、戦闘シーンも同じ調子で書きましょう。

 描写がチグハグで一定しないから、読者はスムーズな捕捉が出来なかったんです。

 背景を装飾過多で細かく描き、戦闘を客観描写でシンプルにするから、その場面だけがスカスカの印象を与えてしまうのです。読者にとっては戦闘場面「だけ」が情報不足に陥っています。

 読者には空白や不足を読み取る力がありますが、作者の都合に合わせてコロコロと発揮できるモンじゃないってことです。

 あるいは、心情をやたら丁寧になぞっておきながら、戦闘だけシンプルに書いたからです。

 そこだけ別人が書いたような事になっているんです。


 ~のような○○で、距離は■mほど離れ、⇒ 一閃、刃がキラリと光った。一呼吸おき、敵がどうと倒れた。


 それまでの描写方法からガラリと変わってしまったら、そりゃ読者は付いていけませんって事です。

 これを避けるには、すべて戦闘シーン同様のシンプルさで書けばいいのです。

 常に一定のリズムを刻めばいいんですよ。(笑


 装飾過多の文体の作者さん。戦闘場面を入れるのは諦めましょう。向いてないです。(きっぱり


 それから、装飾過多の作者さんは、多くが、バランス感覚に無頓着です。由々しきことです。(苦笑

 描写のばらつきがあったりしますが、気付かないのはバランスに疎いからです。

 具体的には、装飾の加減が、物語の最初と最後で減っていたり増えてたり、文章の印象が違っていたり、装飾の種類が違っていたりですね。

 装飾過多な文体、主観描写中心の作風だと、これは致命傷になりかねません。スローテンポは誤魔化しが利かない、と肝に銘じておいてください。そういう作品を好む読者は、一文一文をじっくりと読んでいる、という事だからです。そういうタイプの作者ほど一文一文をじっくり試行錯誤せねば、読者とつり合いが取れません。


*小説例文で、~のような○○で、距離は■mほど離れ、という感じに書いていますが、私は小説の中での距離感ってのは、よほどでなければ数値など書きません。カッコ良さげに見える、という理由でなら使いますが。

 これもバランスが関係します。他のパーツでは距離など使いませんから。近代戦争ものなんぞは数字が普段使いですからね、だから距離○メートルとかを出しても様になるんですよ。


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