第二十回 メタと普及率の関係
第十二回で、メタについてちょこっと触れました。で、ラストの一文で「小説はフィクションであるという前提がまずあります。だからOK。」と〆ました。
意味が解からない人が多数出たことと思います。(笑
これを詳しく解説して、四章を終えたいと思います。
えー、メタは普及率に関連します。多くの人が知っているという、認知度のことですね、小説の場合は。
消費者は大きく4タイプに分けられます。
「スキミング層(4~5%)」……新しいモノ好き、価格は気にせず飛び付く人々
「イノベーター層(15%)」……革新的価値観で、新しい中での上質のモノを求める
「フォロワー層(35%)」……現状に満足していて、流行には敏感だがすぐには飛び付かない
「ペネトレーション層(45~46%)」……安物買いの人々、ブランドはどうでもいい
新しいモノが出たらまず、新しいモノ好きの層が食いつき、次にしっかりした層が価値の高い所を求め、続く平均的な層が市場を広げ、最終的には普及率が上がりきった時点でなんでもいいという層が食いつくという事です。
小説などの場合は、無関心だった層が遅ればせで手に取る現象とでも言いますか。(苦笑
無関心だったので、細かなところはどうでもいいという事で、流行であればいいという人々です。
ラノベの新人賞あたりを狙う人には特に重要だと思うので、覚えて損はないです。この構造。
普及率が上がるということは、需要が増えるということで、その需要を見込んで供給も増えるって事です。
そうすると、品質も幅広く受け入れられていきます。イノベーター辺りまでの普及なら、質の高いものしか受け入れられませんでしたが、ペネトレーションが参加してくるともう何でもいいという事になります。
最初の頃の高品質さは、その頃には求められなくなるという事です。ムーブメントに飛び付いているだけですから。流行に乗り遅れないように、という事が主題の人々と言い換えてくれればすっきり納得いくでしょう。
細かなことはどうでも良くなります。
頂いた感想で、お二人ほど、SAOとログホラはぜんぜん違うジャンルと指摘をくださいました。
いやぁ、それは解かってますが、問題にしてるのは「読者」の方でして、彼らは区別してませんよ、と。
その理由が、上記に挙げた構造によるものなんです。ご理解いただけたでしょうか。
メタは普及率が上がることで実存となっていく要素です。
VRMMOという作品群のルール、「ゲームの世界観が舞台である、そこではゲームならではの色々と説明が面倒な設定とかも実現している」が、メタです。
あと、どうやって生身の人間がゲームに入ったかとか、残された肉体はどうなってるのかとか、どういう技術で作られたかとか、そう言った、SFなどでは苦心して解説入れなきゃいけない部分スベテ、メタと化して、「そういう事は置いておいて楽しむ物語ジャンル」というルールが確立します。
つまり、「フィクションであるという前提がまずあります。だからOK。」なのです。
普及率の問題ですんで、これはまだ世間に通じるメタじゃないです。
もちろん、ジャンルとして確立もしていないでしょう。なろうだけの事なんです。
で、一人称で「見慣れた天井だ、」というのはメタですと以前に言いましたが、これは恐らくラノベという限られた界隈だけでのメタという事で、だから一般には受け入れられていないんです。
他にも、『俺は○○○○(名前)、普通の男子高校生だ。』という文章も、メタです。
使っちゃいけないってのは、厳密には一般向け作品だけのことです。ラノベじゃ気にしないと思います。
ただ、最初に目にした時ならインパクト抜群のメタ文章ですが、ここまで普及してしまうと、大バーゲンの安物っぽいフレーズにまで価値が暴落してしまったので、そういう意味で使うべきではない一文になりましたね。
少なくとも、インパクト狙いで使うべきじゃあ、ない。
とまぁ、使うなというならここまで解説しましょう、と皮肉を最後に投げてみる。
ダテに解析魔なわけじゃないんだよ、と。(笑
注意:
消費者層というのは、小説でいうところの、実際の読者となる人々です。
潜在消費者とは区別してください。
小説を読む人の全体を指しているわけではなく、VRMMO関連の実際のユーザーとなる一群だけを指します。




