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第十四回 どこまで読者に任せるか?

 古典ハードボイルド、神視点三人称は見えること以外は一切書きません。

 登場人物の心情だとか作者の感情、ときにはテーマすらも、読者に投げっぱなしています。

 その潔さがわたしなんぞは好きなわけですが。

 好きなように感じてくれていい、というメッセージはしかし、読者の、作者の思いを知りたいという欲求とぶつかります。小説は双方向のコミュニケーションです、なのでこの手法は根源で問題がある、という事です。

 読者の負担が大きすぎるという点ですね。

 だから、小説が発展するごとにハードボイルドの形態が変容していったのは、必然だったと言えましょう。


 しかし今、逆に、過保護ともいえるほどに読者に対して過干渉な小説形態というものが登場していると思えるのです。親切過ぎると言いますか。

 誰にでも意味が通じる単語選び、懇切丁寧な状況説明、事細かに場面を描写し、解説書のように読者の手を引いて誘導する。読者は完全な受け身です。


 古典ハードボイルドが、作者の意図が隠されすぎていて全てを読者が予測で埋めねばならない、捕捉が大量に必要だとするなら、昨今の過保護小説は読者に至れり尽くせりに見えて、実は注文が多すぎる状態です。

 こう見ろ、ここはこうなんだ、この場面はこう感じて欲しいんだ、……なんと自由度が低いことか。


 ショートショートの分類ですが、文字数制限のあるお題小説というものは、この自由度との戦いです。


 作者は、限られた文字数の為になんだかんだと注文を付けることが難しくなります。

 あれこれの装飾は一切削り取ることを要求されるでしょう。でなくては、まともな作品になりません。

 ショートというのはそもそも、通常作品の枝葉をすべて刈り取り、根幹だけを見せて、元の枝葉の茂った様を予測させる、そういう手法だからです。

 第十三回で見せた例文をもう一度上げます。

『優雅に広がる白い翼と青い海のコントラストが(以下略)』

『鴎が海面すれすれに飛んでいく。』

 文字数制限があるのですから、上の文章が使えないことは一目瞭然です。

 物語のキーワードでない限り、装飾している余裕がないからです。

 根幹に関係ないならそもそも全部削ってしまいましょう、てくらいの枝葉の一本です。


 象徴派の作家は、おそらく文字数制限に批判的でしょう。(笑

 正しい、正しくない、の問題ではありませんが、単に嫌いだというだけの事を正当化しないようにね。(笑


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