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第2話 フラン

私は男爵家の娘、フラン。


田舎に住んでいるけれど、こんなところ大嫌い。


学園でお父様に恋をして、家族の反対をふりきって嫁いできたお母様。

お母様のお姉様は王都の伯爵家に嫁いでいるのに、なんで、こんな田舎の貧乏な男爵家に嫁いできたんだろう?

私だったら、絶対に嫌。


なのに、お父様は私をロバートと婚約させると言いだした。


ロバートは隣の領地で子爵家の息子。

優しいだけで容姿も普通のロバート。しかも、田舎の子爵家の跡継ぎなんて、冗談じゃないわ。

私は王都に住むお金持ちの貴族と結婚して優雅に暮らすんだもん!


だって、私はすごくかわいい。田舎にうもれるなんてもったいない。


そんなことを考えていた時だった。


「ねえねえ、あそぼ」


どこからか、小さな男の子の声が聞こえてきた。

まわりを見た。誰もいない。


なんだ、聞き間違いか……。



 ◇ ◇ ◇ 



ある日、買い物をしに町へでると、また、あの男の子の声がした。


「ねえ、そこに落ちてるハンカチをひろって」


見ると、私の足元に白いハンカチが落ちていた。


びっくりして、また周りを見回したけど、やっぱり、誰もいない。

ぞっとした。


私は聞こえないふりをして、ハンカチから遠ざかろうとしたら、また男の子の声が聞こえた。


「ぼくの言うとおりにしたら、いいことあるよ」


いいこと……?


その言葉に、おそるおそる、ハンカチを拾ってみた。

下手な刺繍がしてあるハンカチ。


「それをもって、すぐそこの角を右に曲がって。いそいで」


言われるままに、私はかけだして角を曲がった。


すると、何かを探しながら、私とは反対方向へ歩いていく男の人が見えた。


「あの人をおいかけて、ハンカチを見せて」

と、男の子の声。


私は言われたとおりにした。


男の人はハンカチを見た瞬間、「あ、このハンカチ! 探してたんです。ありがとうございます!」と喜んだ。


男の人が仕えている奥様が、旅の途中でこの町に寄った時、孫が刺繍したこのハンカチを落としてしまったそう。

だから、男の人だけが戻ってきて探していたとのこと。


後日、私へのお礼として流行のドレスが届いた。

その奥様は王都で人気のドレスのお店を経営している人だったみたい。


「うわあ! 素敵なドレス!」


喜ぶ私の耳に、また、あの男の子の声が聞こえた。


「ね、ぼくの言ったとおり、いいことがあったでしょ? だから、ぼくとあそぼ」


「じゃあ、もっと沢山、私にいいことがおこるようにしてよ。そうしたら、遊んであげる」


私は姿の見えない声に向かって、そう言った。



それから、毎日、男の子の声が聞こえてくるようになった。

 

男の子の声が教えてくれるとおりにしたら、全部うまくいく。

苦手な勉強だって、しなくても大丈夫。だって、男の子の声が答えを教えてくれるから。

言われたとおりに書いて、聞こえたように答えるだけ。


私の評判はどんどん上がった。


この男の子の声が聞こえれば、私の願いはなんでも叶うってことよね。

だから、私は男の子の声にお願いをした。


「私ね、お金持ちでかっこいい貴族と結婚して、王都に住みたい。どうすればいい?」


「ふーん、それっていいこと……?」


「すごく、いいことよ!」


「じゃあ、今日は出かけないで」


「なんで?」


「なんでも」


男の子の声はクスクスと笑った。



その日、私は両親と一緒にロバートの家で開かれるパーティーに行く予定だった。

でも、私は調子が悪いと言って屋敷に残った。


パーティーの後、お父様は病気になった。どうやら、参加していた誰かから、うつったみたい。完全に治るまでには時間がかかるよう。


子どもの頃にかかったことがあったお母様は大丈夫だったけれど、私もうつる可能性があったみたい。


私は男の子の声が教えてくれたとおりに、「お父様が治るまで、叔母様のところに行きたい」と言ってみた。

最初は渋っていたお母様も、お父様の看病で疲れたのか、叔母様に私を頼んだ。


叔母様はすぐに迎えをよこしてくれた。


やった! これで王都に行ける!  


あの男の子の声は神様の声なのかも。

つまり、声が聞こえる私は特別ってことだよね。

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