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『先生、あのキスは本気です。 ―元教え子は国民的俳優になって帰ってきた。そして今、秘密の恋が始まる。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
【第三章続編】『先生、あのキスは本気です。―ふたりの時間、未来の約束―』
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第7話「パパ、人気投票1位」



ある金曜日、結咲がにこにこしながら紙を差し出した。


「ママ〜! 今日学校で“理想のパパ投票”やったんだよ!」


「へぇ〜。それって、全学年で?」


「そう! でね……なんと! パパ、1位だったの!」


「……え、ちょっと待って。投票対象、保護者でしょ? 湊が1位って……!」


「ふふっ、だってクラスのみんな、“かっこいい!”“ドラマ出てる!”“送り迎えしてるの見た!”って大騒ぎだったんだもん!」


(うわ……完全にバレてる……)


後日、保護者会のプリントにもそれとなく記載された“理想のパパ結果発表”。

《第1位:一之瀬湊さん(双子・結咲&奏翔の父)》

《2位以下省略》の文字に、思わず吹き出した遥香。


保護者会の雑談でも、何人かの母親がさりげなく話を振ってくる。


「一之瀬さんって……あの一之瀬湊さんですよね?

お迎えのとき、サングラスしててもオーラが違うなって思ってました〜」


「いつも笑顔で、お子さんの靴脱がせてあげてて、優しそうですよね〜」


(……褒められてるのに、なんか、複雑……)


ある夜、リビングで湊にぽつりとこぼした。


「ねぇ……あなた、理想のパパ1位らしいわよ。おめでとう」


「えっ、ほんとに? やったぁ〜! …って、顔が全然おめでたくなさそうだけど?」


「……だって、うちの夫がモテすぎるんだもん。正直ちょっと、落ち着かない」


湊はにやりと笑って、遥香の肩を引き寄せた。


「……じゃあ、証明する? 君だけのパパだって」


「証明って何を――」


言い終わる前に、唇を塞がれる。

キッチンの電気がまだついたままの、いつものリビング。

それでも、確かに愛を伝える“ふたりだけの時間”。


「……ほんと、ズルい男ね。そんなキスされたら、何も言えなくなるじゃない」


「でしょ? 理想のパパって、そういうもんなんだよ」


遥香はあきれつつも微笑んだ。


「……まったく、しょうがない夫ね。でも、それが私の夫だから」


その夜、寝室で交わされたキスは、

いつもより少しだけ長く、ちょっとだけ誇らしげだった。



次回:

第8話「朝のキスがない朝」

いつもの“行ってらっしゃいキス”がなかった、ある朝――

それだけで遥香の心が乱れてしまう。

「毎朝のキスって、ただの習慣じゃない。……心の約束なんだよ」



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