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『先生、あのキスは本気です。 ―元教え子は国民的俳優になって帰ってきた。そして今、秘密の恋が始まる。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
【第三章続編】『先生、あのキスは本気です。―ふたりの時間、未来の約束―』
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第2話「結咲の“好きな人”」



日曜の昼下がり。

部屋に射し込む陽光の中、結咲はリビングのソファに座りながら、何やらもじもじと足を揺らしていた。


「ママ……ちょっと、話があるんだけど」


「ん? 宿題? お小遣い?」


「ちがうの……その……“好きな人”のこと……」


遥香は思わずお茶を吹き出しそうになった。


「す、好きな人!? ちょ、ちょっと結咲、早くない? まだ小学3年生でしょ!?」


「だって……かっこよくて優しくて……図書室で本読んでるとき、声かけてくれて……」


「図書室男子、きたわね……」


真剣な目の結咲に、遥香は少しだけ肩の力を抜いて笑った。


「じゃあ、その子はどんな人なの?」


「名前は斉藤あおいくん。戦国武将が好きで、私と同じく“石田三成推し”。

それに、理科の時間に“静電気は自然の魔法”って言ったの!」


「……詩人系男子だったか……」


結咲は頬を赤らめて小さく言った。


「ママもさ……昔、好きな人いた?」


遥香の心臓が止まりかけた。


(いるどころじゃないわよ……その人、今、夫なのよ)


けれども、真面目な顔を崩さずに、遥香は答えた。


「うん。いたよ。すごく優しくてね……生徒のときに先生だった人」


「え! 先生!? わたしも将来、あおいくんと結婚して先生になろうかなぁ」


「その流れ、どこかで聞いた気がする……」


その夜、湊が帰宅すると、玄関で結咲が抱きついた。


「パパー! 私、将来“先生と結婚”したい!」


「……えっ!? ママ以外に“教師好き”がもう1人!?」


「だってママとパパみたいに、毎朝キスして送り出したいんだもん!」


遥香は慌てて振り向いた。


「ちょ、ちょっと結咲っ!!」


「だって、リビングでこっそりしてるの、私たち気づいてるよ?」


「……おいおい、それバレてたのか……」


奏翔がひょこっと顔を出す。


「もう5歳のときからバレてたよ。ていうか、してない日、ないでしょ?」


「……お説教は君たちが大人になってからにするわ」


遥香はそう言いながらも、どこか照れくさそうに笑っていた。


愛を知った娘。

愛を伝え続ける夫。

そしてその間で、母として、妻として、遥香の毎日は確かに“未来”へ続いていた。



第3話「ドラマの中のキス」

湊の最新ドラマが話題に! けれど、予告編に映った“長いキスシーン”が遥香を不安にさせて――

「……演技って、わかってるのに……胸がチクリとするの」


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