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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第3章
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第15話 心身一体(ルーシーダットン)

挿絵(By みてみん)




病院リハビリがいろいろと調べてくれてが、当時の

ホーチミンには未だ、それに特化した施設は無く、

Thaiさんが勧めてくれたチョロンの針灸医院と

Nguyễn Thị Nghĩa公園のウォーキングを日課にして

いたのだが、Mr.Kritが週一で通う、泰国式治療院を

紹介してくれてからは時より吐き気がした針を止め、

2人がセットで俺の身体をストレッチしてくれる

4handマッサージとฤาษีดัดตน(ルーシーダットン)

というストレッチというか、タイ式ヨガの様な

レッスンに毎日通った。


これが俺の身体にはフィットした。


毎日の凡その時間を費やしたとはいえ、ひと月程で

身体の可動域が戻る感覚を得たし、柔軟性が

以前より増し、背筋が伸びて猫背も改善した。


このルーシタイムには、いつの間にやら順子も

Maiも参加するようになっていた。




「Em Ryuji, tôi đã biết nhóm nào sẽ cản

trở anh rồi đấy.

(あなた達の邪魔ものが見つかったよ)」



このルーシーダットンの教室では見たことが無かった

Kritさんが、そう言いながら入って来た。



「Người đó là cấp dưới của anh à?

Hay đó là những người không liên quan đến bạn?

(あなたの配下でしたか?それとも・・)」


「ははは。全く関係が無い。しかし厄介な連中だが、

懲らしめてやろう」

※ベトナム語省略


「そうですか・・あの・・Kritさん、懲らしめる

というかその・・」


「ははは、分かっているさ。どうだい?

今晩食事を一緒に?」



「ソン、この方ねぇ?」



「あっ。そうそうKritさんだよ」



「I've heard a lot about you.Tanks,.

My husband is taking care of you.

I’m Junko,. his wife・・(お世話になります。

順子です。よろしく)」


「ああ!奥さんですね。あなたもお食事にご一緒

しましょうよ」

※英語省略



Kritさんが招待してくれたタイ料理の海鮮レストラン

には、その後も度々行った。タイ飯もベトナムに

等しく、甘い辛い酸っぱいが根本にある。


近代的なベトナム料理は間違いなくタイ方向からいや、

インドが在ってタイを経て、食材が少し変わり、

旧食文化と混ざり合って・・みたいな・・

勝手にそう答えを持っている俺。



「農業マフィアだよ。ギリシャやイタリア、

スペイン辺りで昔から悪さをしているのさ」

※ベトナム語省略


「農業マフィア・・ですか・・」


「そうだ。Oilでもオリーブ油に混ぜ物をして捌く

連中だ。粗悪品の流通は世界をマタに掛けている」


「世界中ですか・・それでジャトロファに?」


「品質にこだわりが無いから、土地も人件費も安い

ベトナムに入り込んだことは容易に考えられる。

この連中は既にタイで永く、廃油を扱っている様子だ。

農業農村開発も毒されていたのさ。担当官にはもう

接触させているから、間もなく報告が届く筈だ」


「ねぇソン、大丈夫?あの話しでしょうぉ?」


「うんそうだよ。Kritさんが相手を見つけて

くれたんだ。ベトナムの農村系官僚も関係して

るそうなんだわ・・」


「えぇー・・ナマズの件も農業農村よねぇ。

あの時のほらぁ、ズンさんって南の農業農村省の

Topでしょうぉ?ソンに、

私たちにそんなことするかしらぁ?」


「あぁ、Dungさんね。あの人はもう引退されたよ。

それに、誰でも彼でも関係するような狭い話しじゃ

・・あっ

・・いや・・そうか!

そうかもよ順子。大虎は、あの爺さんかも・・」


「Em Ryuji、何を話してるんだい?

何かあったのかい?」


「はいKritさん、その農業省の担当官とは、南の方

ですよね?ホーチミン支局の農業農村開発省

ですよね?」


「そうだよ。あなたの言う通り、ハノイでは無く

ホーチミンです」


「やはり・・Kritさん、前局長のDungさんは

ご存じですか?」


「ああ。何度かパーティーで一緒に吞んでる。

彼は確か・・

Ninh Thuận(ニントゥアン省)の出身だったよな」


「そうなんですよ!実はあのお爺さんとは因縁が

ありまして・・。うちのニャーベの工場が

あるのですが、当初はナマズを扱うという事で、

水産省と計画を進めていました。ところが、

工場用地が水田の広域指定地内だったので、

農業開発省が出て来て、管轄はうちだと言い出した

のです。まあ、我々にはどちらでもいい事だったので

、水産省に筋を通して1年程、"色んな付き合い"を

しながら過ぎたのでしたが・・」


「喧嘩したのかい?無理難題の"付き合い"

だったのだろう?」


「はい・・争う事もしていませんが・・唐と言う

工場長が"毛嫌い"していました・・それから間もなく、

設備の再投資をしたのですが、その際に唐さんは

計画投資省とガッツリと組んで、新事業特区に

仕立てたのです」


「ははは。その唐?と言う人、中々やり手だね。

上納金を取れる一方から、逆に計画投資省なら資金

調達も得やすい方にシフトしたんだね」


「はい。唐さんは広東人でして、普段は温和で心も広く、

とても優しい方なのですが、仕事に関しては冷静に

周到な計画を実行する人です。その時のDungさんの

事を"愁眉苦脸"(苦虫を嚙み潰したよう顔)と

いっていました」


「なるほど。顔を潰されていたという事か・・

彼らはプライドで生きている様な者だからね・・」


「はい。その折にもDungさんから俺に、このままで

いいのか?お前が何とかしなさい。と、

連絡がありました。

もとは俺の親戚からの紹介だったもので・・ただ、

その時は唐さん(シェアホルダー)が決めたことだし。

みたいな曖昧にして逃げてました・・」


「あらすじが視えましたね。つまり、ユーロ流れの

農業マフィアがタイのグループを抱き込んで、

ベトナムの農地をアサっていた背後には農業省がいた。

そんな時に日本の大手企業が甘味料の調達用にと

サトウキビ畑用地を探していた。そのことは当然、

ズン氏の耳にも入っていた。それまでも度々

Ryujiが邪魔をしていた。トドメに

サトウキビ用地もカッさらっていった。

ズン氏がどうこうじゃ無いかもしれないが、

邪魔者は排除することにした。

こういうことだな」


「Kritさん俺、Dungさんが俺にあんな事をさせた

なんて考えれないんです。でも、背景は全部知っている

とは思うんです。なので俺、Dungさんに会って全部、

一から話して、落し所をDungさんに教えてもらいます。

Kritさんが接触してくれている担当官からも、

間違ってもDungさんの名前が出る事は無いでしょうし」


「それでいいと思うよ。私もね。この話を

和解できるのはズン氏だけだ」




何年振りか・・向こうからの電話以来、引退と

聞いてもいながら労いの声も掛けていない・・

などと、めちゃ連絡することをタメらっていた。



<電話しにくいし・・だからと言って

急に押掛けても・・>



そもそも昔のままの電話番号なのか?

取り敢えず掛けてみた・・



「Em có khỏe không? Lâu lắm không gặp.

(久しぶりじゃないか。元気かい?)」


それは悪ぶる事も無く静かに昔のままの

Dungさんだった。何より俺の番号をまんま

登録してくれてた事が嬉しかった。



「ズンさん、ご無沙汰しました・・ご隠居

されたと聞いてはいたのですが・・」

※ベトナム語省略


「そんなことは気にしなくていい。奥さんは

元気か?子供は出来たか?

今はサイゴンか?・・・・」


長い電話だった。



質問ばかりで、養殖場の竣工式で1度だけ

会った順子の話しだけで30分は喋り続けた。


俺からは、今回の一連の事を全て話した。


簡単に説明して会ってからと考えていたのだが、

時系列から登場人物迄、全部を聞かれた。




「それで今は良くなったのかい?

半身の感覚は戻ったのかい?」


「はい。完全では無いっすけど、

医者も日にち薬だと」


「そうか。それは安心したよ。そうか・・

すまなかったね・・ソン君・・」




「いえ・・ズンさんにそう言われる意味が・・」





「ソン君、来週の月曜日にサイゴンで会おう。

時間と場所はまた連絡します」




やはり関係していた。


どの様に関わったかは分からないが、

詫びられたのだ。



少しのショックはあったが、自分の考えが

正しかった事の方が気を高ぶらせた。


Dungさんを恨む気はサラサラ無く、

できればこれで解決したいと強く願った。



この連絡の報告はThaiさんとKritさんにも、

そして松田のオヤジにも入れた。


翌日となった日曜日に、Dungさんから時間と

場所の指定があり、Thaiさんをはじめ、カオルや

クワンジャニムまでもが一緒に行くと言い出したが、

俺は"一人の方がいい筈"と言い切っていた。




その方がいいと考えていたのだが・・結局、

Kritさん同行することになった。





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