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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第3章
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第8話 俺の激しい妄想

挿絵(By みてみん)





「カオル、今晩うちにメシ喰いにくるよな?」


「ああ。そのつもりやでぇー あかんのかぁ?」


「いやぁ違うんだぁ・・頼みがあんだけどぉ・・」


「おうなんやぁ?」


「明日さぁ・・俺もブンタウに行こうと

思ってんだぁ。んでさぁ・・ほら、順子たちって

今ピークじゃん。

だから遊びに行くなんて言えなくてさぁ・・」


「はぁ、まあなぁ。ワシらじゃ手伝うことも

でけへんしなぁ。ハハハハハあ」


「そこでさぁ・・飯の時にさぁ、

竜司明日手伝ってくれやーとかさ・・

俺に言ってくれないかぁ?」


「はぁ、そんなんでええんかぁ?」


「ああ。あとは俺が適当に応えるからさぁ」



ズルいやつだった・・俺・・


いやズルく無え。 


なんも疚しい事する訳じゃ・・


みたいな・・


まんまと、いや・・何とか・・


ブンタウに同行できる様になり、先にThaiさんの

車で出ていた白雪を追って俺は、高速艇に乗った。


「カオル、今は何処でなに中ぅ?」


「おう。さっき昼飯終わったとこやぁー。

お前どこぉ?」


「今、船に乗ったとこなんよ。2時間くれぇ

だったかなぁ。どこに行けばいい?」


「オトん処(親父:Thaiさんの家)に着いたら

電話してぇー。俺ら家か海かに居るわぁ」



ブンタウの船着き場、

rần Phúには漁港市場が在った。


手ぶらで船に飛び乗ったので、渡り蟹を袋に

詰め込んでもらい、Front Beachの海岸沿えに

在ったMaiの実家に向かった。



Xe ômバイクタクシーに乗り家に着くと、

前にも会った事のある家政婦の

おばさんが出て来てくれた。


「Xin chào. Đây là cua làm quà lưu niệm.

(こんにちは。これ、蟹なんですよ)」


「Xin chào quý khách. Các bậc thầy

đang đi đến vị trí của hình ảnh của Chúa Kitô.

Mai và những người khác đã đi biển.

(いらっしゃい。ご主人はキリスト像に、Mai

ちゃんは海にいきましたよ)」



「カオルどこよ?」


「おぉ着いたんかぁ?ワシら海やぁー。来いや」


「いまぁ・・俺も海に降りて来たんだけど・・

どこ?見え無ぇなぁ・・」


「あー、家の下かぁ? そっちチャうねん。

こっちやぁー」


「そっちって・・こっちってどこよ?」


「ハハハハハあ。すまんすまん、Thuy Vanの

方やぁー。わかるかぁ?」


「Thuy Van って言うビーチね?」


「そや。山の反対側やぁー」


「OK。たぶん行けるわ。分からなきゃまた

電話するわ」



ブンタウには通称、フロントビーチと

バックビーチと言う2つの浜辺が在った。

今じゃ整備されてリゾート化されているが

当時は自然豊かな"海"だった。


そこに着くとカオルたちはThai邸から連れ

出した馬に乗って、4Km程ある海岸を探索していた。


Maiにシガミ付くカオルも滑稽だったが、あの大男を

背にした馬の息の荒さに指を指して爆笑した。


東から暮れだした海面を幾つもの漁船が帰って来る

のが見える。


向こうの先から駆けて来る馬には・・


白雪がその長い髪を揺らしながら近づいて来た。



「哥哥,你来了!这匹马很聪明。你也骑马吗?

(お兄ちゃん!来たの!馬に乗る?)」



「乗ったことが無いからなぁ・・乗れるかなぁ・・」

※中国語省略



内蒙古と"内"は付くがモンゴルで生まれ育った白雪

(パイシェ)は、初めて乗る馬も手懐けていた。

あの揺れ髪で走る姿の残像と、目の前にいる、今まで

見たことのない笑顔の白雪・・


疚しい事が・・頭に再来・・


漁船も見えなくなった海面は、濃い紫から順に

赤や朱や黄色とその落ちそうな太陽に輝いていた。



白雪の腰に手を添えて後ろに乗る。



馬が深い砂を踏む度に、その手も深まる。



あの時と変わらない白雪の香り・・



「パイシェ・・今晚就两个人过吧・・我・・面」


「・・好・・好、Son哥」



・・誘ってしまっていた・・




何も無かった様にカオルたちと合流して

Thai邸へ戻る途中も、こっそりと繋ぐ手に詫びていた・・


<スマ無え・・白雪・・

俺たぶん・・俺、愛してるのでは無くって・・

欲しいだけなんだ・・ほんとごめん・・>


俺が無意識に強く握った返しだったのか・・

時折ギュッと強く握る白雪の手からは・・


「わかってるわよ。あなたは順子を愛してるんでしょう。

いいじゃん。それはそれ」


って、都合のいい俺だった。そう頭ん中が指示した途端

、下が熱くなりやがる・・苦笑


<よし。Thai邸で飯の後に抜け出すぞー!>



馬で海岸線から山際を辿って帰り着くと、多くの人が

海に向かって広く横に伸びた庭で集っていた。


「カオル、めちゃ人が多くねぇ?何事よぉ?」


「なぁ・・知らんけんど、何やぁあの上のキリスト

像をなぁ、建てた人ら(達)が集まるんやぁー

言うとったからぁ・・その人ら(達)ちゃうかぁ」


「そうです。パパはキリスト像に沢山のお金を

使いました。Họ cũng là những người có

cùng mục đích.

(彼らも同じ様な人たちです)」


「お!Mai、上手じょぉーず!

キレイな日本語だったよ」



「ありがとう。我也开始学习中文了。

(中国語も勉強してるわ)」



「お!流石カオルの奥さんだ!」




多くの客人の中心にはThaiさんと白軍さんが見えた。

白軍さんの顔がまともに見れない俺・・


買い増しをしたのだろう渡り蟹や海鮮が並んだ

夕食会は、ネップモイを進ませた。



今も昔もそうだが、ベトナムでのこういう集まりで

酒が進むと必ず"小話"や"ダジャレ"が始り出す。



「おいおい、ウサギと亀が競争したら、なぜ?

ウサギが勝つか?わかるかぁ?」

※ベトナム語省略


「簡単ジャン。ウサギの足が速いからぁ」


「違えよー。・・・・・・・・」


この小話(笑い話)の落ちは、交尾時間。

カメが10分程が平均に対してウサギは10秒・・




などなど、誰かが必ず話始める・・と、

止まらない。次から次へと・・




流石に途中で白雪を連れてフケるとバレると・・

長い宴会を覚悟も、後の楽しみが増し増しで・・


注がれるネップモイを飲んだフリは特技。


2時間は過ぎた。せいぜいあと1時間。


白雪の体を見る度に時計も見ながら・・


と、Thaiさんが立ち上がって、


「Oh,Youji-san, You were so late.

Come on, please sit down here!

(・・おそかったね。さあさあお座り下さい)」


<!!!・・・・>


「ソーン、ごめーん遅くなったわぁー」


<・・・・>


21:13・・何度も何度も時計を見ていたので

分るその時間・・


「順子・・どうしたの・・こんな時間に・・」


「そうなのぅ・・会議がのびのびぃでぇ・・

車も混んでたのぅ・・」


「なに?ソンあなたもしかして、白雪とまた」


「いや・・んな、何もないっすよ・・」


貝貝はやっぱり鋭かった・・

いつもながら敵わない・・


「来るって・・聞いて無かったし・・その・・」



パイシェ(白雪)の顔を見ると、俺の困惑を他所に

普通に笑っている・・




あんなこんなの俺の妄想はTHE END・・





でもあの時・・また白雪を抱いていたらと思うと・・


良かったのだ。あれで・・




自分たちで手配をしていた丸十グループを除き、

翌日の送迎車は6台が必要だった。


神戸グループに松田のオヤジと光一社長、ナイト

さんにホビス(貝貝)グループ、それに白雪と

その親父さんが揃って帰国したのだった。



「病院はどうなの?建設は未だ

始められそうに無いの?」


「ねぇ・・ベトナム側のパートナーがまた

変わったのよぉ。でもぉ、今度は出資金も

入れて来たわぁ。多分、本気みたぃ」


「3回目じゃん・・まぁ、それがここなのよね。

ルールも法律も只の飾り物だしね・・」


「そっちわぁ?あれでしょぉ。光一社長とか

西郷さんとかぁ、仕事をくれるって言ってたけどぉ」


「うん。光一社長ん処は簡単なんだぁ。

今のスタッフで充分にこなせる程度だからさぁ。

あとは・・育てないとね。今日さぁ、工科大学に

行って来るんだけど、大学の中にもうちの

エンジニア部を置いてくれるそうなんだ」



「へぇー大学にぃ!? どういうコネぇ?」



「うん。元は陳さんなんだけど、ほら、前回に

陳さんが来た時にさ、あれやっぱさぁ、陳さんの

そのスキルって半端ないみたいで、ラベンダーも

パープルの連中も、陳さんのPCに釘付けになっててさあ。

ほらぁ、

うちらの連中って90%くらい工科大出じゃん。

やつらが学校に申し入れたみたいなんだぁ」


「そっかぁ。でもそれって一石二鳥よねぇ?

だってぇ、そこのエンジニア部で教えてぇ、

その教え子を雇っちゃえばぁ人材の

確保にもなるしねぇ」


「うんそうなんだぁ。うちの学校で教えるか大学の

中で教えるかの違いだけだしね」


「うん? そういえば誰が教えるのぅ?」


「あぁー、陳さんがコンサル級の人を2人、

寄越してくれたんだぁ。その2人は中国人なんだけど、

あと、オヤジがトヨタの下請けの組込み系の会社か

何かから、日本人のそのクラスを

連れて来てくれるって」


「あらぁお父様ったら、

やっぱり気にかけていたのねぇ」


「うん。全部解かってるよオヤジは・・

全部をハナッからね・・」




『なる様になるのよ。でもよ、

成る様に考えて仕組まないとそうは成ら無え。

何もかもが必然よ』




あのオヤジの言葉がいつまで経っても上辺しか

解っちゃいないのだろうな・・



俺は・・







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