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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第3章
58/71

第5話 フフゥンの間に

挿絵(By みてみん)





ベトナム戦争終結25年という事で、各地で様々な

記念式典が"例"の如く

どこも派手に行われた2000年。

以上3年目で順子と共にホーチミンで

サービスアパートメントで暮らしていた。


ナイト(Lam)さんの号令で、内外装の建築素材

やらをカタログに収め、ショールームを設ける

準備に走り回っていた。

唐さん経由、陳さんから丁度、中国でも同じ目的

で同じ作業を繰り返しているという情報を受け、

俺とヒンは広州⇒深圳と入っていた。


「在这里可以买到日本的基础产业。但是,

材料不多。材料最多的地方是上海近郊。

(ここでは日本から裾野産業が広がったのよ。

でも、ここでは材料は少ないわ。

資材も工場も一番多く在るのは上海近郊よ)」


「是吗?但是这个小册子做得很好!ハハハハハあ

(そうか。にしてもこのパンフレットは上手に

できとるやん!)」


広州からずっとアテンドをしてくれている露々

(ルル)は、陳さんの会社、深圳医药から

出向いてくれていた。

その程度の中国語までは俺でも何とかなるのだが、

深くは理解できない。ここはヒンに任せていた。


「マジいいよね。こっちの方が日本のより高級感

があるわ。でもさぁ、問題はこのパンフに載って

ある材料を洗い出す事なんだぜ・・」


「おう。わかっとるがなぁー。任せなさぁぃ!」


「んでルル、ここに載ってとる資材は何業者分の

モノやぁ? この写真の通りの素材かぁ? 

大丈夫かぁ?」

※中国語省略


「大丈夫よー。今はもう日本と比べても品質は

劣らないよ。これが各業者のリスト。

幾つか行ってみる?」


「おう!行こうやぁ。なぁソン」


「うん。ついでにその、上海近郊にも行って

おきたいんだけど、ルルさんは大丈夫?」


「OK!行こうよ」



乗っけは日本頼りで進めたのだったが、

やれJISだのJAS規格だのと、知れば知るほど

堅苦しく、美しく着飾ってはいるが、

厳しいルールの中で大きい企業しか

"作れない"材料ばかりで、仕組みは欲しかったが、

日本の素材は不要と感じていた。

日本のメーカーと官僚の悪だくみなんぞ、

ベトナムには持ち込みたくなかったし、

まさにそんなモノを欲しがる国でも無かった。


この頃の笑い話だが、ベトナムには日本から、

様々な団体や個人から"ゴミ"が送られていた。

梯子が上がらなくなった消防車は領事館の庭の

水撒き用に置かれていたし、クソ暑いのに

背広姿で"贈答式"を派手にした、

上下に緑と赤の信号機は、試験的に使われた

交差点で"事故率"を大幅に上げた。


そんな"不要の長物"を、ベトナム人はもう、

誰もが理解し始めていた。




「那是好事。我们也可以参加吗?投资一半。

(それはいい!俺らも参加させろよ。

半々でどうだ)」


上海から杭州へと向かう途中に立ち寄った

建設会社で、ベトナムでの仕組みを任せれる

出逢いがあり、ナイトさんはその資金も受け、

彼らとパートナーシップを結んだ。


色んな事が着々と進む中、ラベンダー社も

パープル社にも、また、仮称サイゴン国際病院

プロジェクトにも、新たな顔が日に日に増えていた。


「Boss Son, Chúng ta không thể tham

gia vào công việc IT sao?

(ねえボス、

うちの会社はIT部門を設けませんか?)」


「Hm,.. Vui lòng cho tôi biết suy nghĩ cụ thể.

(具体案はあるの?)」


「はい。Q.12.(第12区)で来年にIT特区が

出来るのです。その中では、投資保護も

税金免除もまた、政府機関との結びつきも

強固になれます。私はプランを考えました」

※ベトナム語省略


「へぇー。なんだか面白そうだね。

どんなプラン?」


「はい。フェーズ1として、ラベンダーと

パープルの合弁で、このIT特区に自社ビルを建てます。

ここの家賃を8年で消化する計算です。

リスクはありません。そして、そのビス内では

テナント賃料は受けません。なぜならば、

全てを自社運営するからです」



「うん・・8年分の家賃でビルが建つのかなぁ?

あと、自社運営って・・何をするの?」



「はい。私のプランは5階建てで総工費が25万ドルです。

いま家賃は一か月2800ドルです。つまり8年です。

4階と5階はこのままを移しますので、1~3階を使って、

学校を開設します」


「ほう・・8年268,800ドルかぁ・・家賃・・

高いなぁ。

学校ってどうなの?何を教えるんだよ?」


「はい。語学とスキルアップ、それに文化です」


「へー。んでさぁ、その学校に生徒って来るの?

収支ってさぁ。事業収支ってやつも作ってみてよ」


「わかりました。私に100ドルください。あと、

来週は自宅で仕事をしてもいいですか?」


「・・100ドルって何に使うのよー・・」


「正しい数字を知るにはお金を使います。

Caféやご飯も私が払いますよ」


「へぇーそうかぁ。OK。いいよ」



確か彼の月給は300ドルくらいだった。

ただ、カフェや気の利いたレストランで飯を喰うなら

100ドルは要るだろうと金を預けた。



その夜も順子と、ヒンやMaiが一緒にうちのアパートに

来て火鍋を食べていた。

順子にナイトさんから電話が入り、

うちに来ると言う。



「I will return next week. Next time I will come in

3 months.(来週帰るわ。次回は3か月後かな。)」


「OK,. Do we have to do anything else in

the meantime?

(そう。んで?ほかにしとく事ってある?)」


「Fufun,.いや充分だ。来週には優二さんも

来る筈だしさ」



「えっ?お父様がホーチミンにぃ?

聞いてなぁぃ・・」



「確認してみなよ。そう言ってたよ」



順子が神戸に電話をしている間、俺は今日の

スタッフからの提案をナイトさんに相談してみた。



「ナイトさん、俺・・ITってよく解んないん

ですけど、その特区の開発とか・・

ITの人材の学校とかって、

どう思われます?」



事業プランと収支は来週に届くことを前提で詳しく、

まんまを話した。


「Fufun,.ほう。それは面白いかもな。

明日にでもその12区の開発を調べてみるわ。

本当ならいいんじゃないかな。

その彼のプランは別として、

仕込むことには賛成だ」


「そうですか。なんでもベトナムのシリコンバレーを

目指す開発だって・・

ITってそんなに面白いんですか?」


「Fufun,.もう世界中で似たような開発をやってるよ。

遅いくらいだが、人材を含めての話しだからな。

いいと思うよ。まあ明日、調べるわ」


ナイトさんは1つ1つ、言葉や仕草がカッコよかった。

松田のオヤジの笑い方がそっくりで、

この頃から俺も・・


それを真似始めていた。フフゥン・・



"弁当期限を消化した"という松田のオヤジの・・

出来立てホヤホヤなパスポートが順子の

パソコンに送られてきて、マジで

サイゴン入りするとのこと。


家も事務所も"乱尺と汚れ"を嫌うオヤジが

来るという事で、次の日からは

掃除掃除に時間を割いた。



ナイトさんを見送りに空港へ出た折り、


「ソン君、あの12区の開発の件だが、

昨日の夜に優二さんにも共有しといたからよ。

やんなよ」


「あっ・・はい。でもまだ・・」


丁度その空港からの帰りに、


「Bản kế hoạch đã hoàn thành! Hãy nhìn xem.

(できた!見てー)」


40ページを綴じたプランには12区のIT特区の

概要もしっかりと記載されていた。

政府が推し進める一大プロジェクトと

位置付けされ、既に公にもなっていた。


ピカピカに磨き上げられたオフィスに全員を集め

、この企画書を踏み台に、みんなで添削や

予備資料を整えて、英語と日本語

バージョンも作成した。



もちろん、松田のオヤジに見せる資料作りだった。



順子も俺も、オヤジのホーチミン入り時の

シュミレーションをしていたので、

言われることが分かっていたからだ。



最終のプレゼン資料を見て、


「いいわぁ!パースも数字も完璧よぉ。

これで多分さぁ、この事業も遣る事に成るわよぉ。

まぁ大変。クスクス」



プレゼンの鬼、順子のOKが出た。



俺は資料を何度も何度も見返しながら、

校長先生と呼ばれている自分を想像していた。


悪くない。


人は嫌いじゃ無い。いやむしろ好きだ。

色んな奴らが俺らが創った学校に集まって、

色んな所に巣立っていく。


悪くない。


あっ!中には可愛い子ちゃんも来るだろうなぁ!


悪くない。

いやぁ、いい。いいが過ぎるかもと。




「ソーン。ソンてばぁー。何ニヤけてるのぅ?」




「あっ・・いや・・その・・」




間も無くオヤジがやって来た。



ホテルに入る事も無くニャーベの養殖場へ行き、

その後も順を追って、7区の病院建設予定地や

事務所を廻って、IT特区の資料を渡すことも

無くその日を終えた。


ホテルに送り別れ際、


「ソン、明後日からの予定を調整して、

2~3日の間付き合えや。

明日は適当に任せるわ」



「お父様ぁ、私はぁ?」



「あぁ、順子は自分の仕事を頼むわ。

俺らはKLに行って来っからよ」



???






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