表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EQ @バランサー  作者: 院田一平
第3章
57/71

第4話 鳩の血と仕組み

挿絵(By みてみん)





順子の機嫌が直らない・・と言うより、

仕事の重圧に潰されそうな順子を

サイゴンに残して、俺は独りでルビー鉱床の

在るYên Bái (イエンバイ)省に向かった。


この山もやはり軍人さんが管理しており、

ハノイの空港からはイエンバイの軍事空港まで

ヘリに乗り、行きも帰りもミリタリーな車で

ミリタリーな方々が案内してくれた。


ケツガ痛くなる山道を2時間ほど登った所は、

更に大きな山だったのだろう山が無く、

大きなブルトーザーが切り開いていた。



「Có thể hái hồng ngọc ở đây không?

(こんな所でルビーが採れるのですか?)」


2人のミリタリーマンは大笑いしながら、

そのポケットから取り出した。


「Nếu là độ lớn này thì có rất nhiều.

(これ位のだったらゴロゴロ出るぜ)」


と、手の上にはライターサイズの

赤い石が4つ5つ乗っていた。


「Cái đó bao nhiêu tiền?

(それで幾ら位するの?)」


「こっちが50USD位かなぁ。ほら、

色がわるいだろう。これは200USDでも安いぜぇ。

この色がいいんだよ」

※ベトナム語省略


「・・あんまり分からないなぁ・・黒っぽいのが

高いのですね?」


「事務所にいっぱい有るから、そこで聞きなよ」



荷の確保は出来そうだ。

でも品定めと値が分からない・・

とにかく情報を詰め込んで帰ろうとした。



くどいほど聞き直しながらメモにしたのは、

ここの鉱床は最高級とされるミャンマー産の

モノに匹敵する品質を持つものも存在しており、

その鑑別は宝石学者の

太鼓判が押されているほどだという。


データによると、コランダム51点で、

内訳は青色系30点、赤色系21点。

宝石学的検査とLA–ICP–MS分析を行い、

ここのコランダムは非玄武岩起源のコランダムに

分類され、青色系はLA–ICP–MS分析による

Ga vs. Vプロット、赤色系はFe vs. Vプロットが

同じ非玄武岩起源のコランダムと区別する際の

指標となること。


と書いた・・


訳は解らなかったが、「持ってけぇ」とくれた

サンプルと原石の写真などと共に持ち帰った。



「えー!大きいわねぇー 幾らぁ?」


「こっちが200ドルで、これが50ドルだって」


「えぇぇー!これってピジョンでしょう。

そうねぇまぁ、こっちはライトだわぁ。チェリーよ」


「はぃ?・・ピジョン?チェリー?」


「もうぉ・・怒・・2日間もルビーを見て来て、

そんな事も聞かなかったのぉ?」


「いえ・・メモ・・このメモを・・」


「なぁにぃこれぇー・・

ベトナム語じゃん・・怒怒」


「あ・・はぃ・・」


「なんて書いてあるのよぉ」


写真やデータと共に俺のメモの内容を順子に説明した。


「凄いじゃん!本物のピジョンって事じゃないぃ。

このボリュームで200ドルなら安いわぁー!」


「順子さん・・そのピジョンって・・」


「pigeonよ。鳩。ピジョンブラッドって色、

そうね色と言うよりピジョンブラッドルビー

というランクのことなのよぉ」


「ああ!なるほど!鳩の血ですかぁー 

色ね色かぁ」


「ピジョンが有ればお父様もご商売になるわぁ。

よくできましたぁ はなまるぅ」


「あのぉ・・それって・・お褒めの言葉?」


「そうよぉ。よく見つけて来たねぇ」


「そうか!じゃぁーチューしてよ」



約2週間ぶりのチュー・・

意識した機嫌取りじゃ無かったのがなおよ良しだった。


すっかりご機嫌になった様子の順子、


「ねぇソォン、わたしぃ会計が好きじゃ無いわぁ。

病院の会計業務ってねぇ・・お勉強すればするほどぉ

複雑なのぅ・・もうホント嫌だわぁー」


「うん・・俺、手伝うからさぁ。具体的に教えてよ」


その後ミッチリと順子から聞いたのだが・・


仮称サイゴン国際病院の会計業務の仕組みを任されて

いた順子なのだが、日本の病院データを基に組み立て

を図っていた順子には、ハノイの国際病院の会計基準

が理解できないと言い、法的な知識を得る

必要があると。


Maiが参加して弁護士も混ざり、

長い時間を要したが前進した。


「順子さぁん・・全部さぁ、自分一人で

抱えちゃダメだよぉ。

松田さんもいつもそう言ってるしさぁ」


「そうねぇ。ソンに相談して良かったぁわぁー」


「こう言っちゃなんだけど・・ここじゃさぁ、

日本のモノなんて、日本の仕組み何てさぁ、

クソの役にも立たないんだからさぁ」


「そうね。そうよね。カッコよく創ろうとしたのが

間違いだったわぁ。泥臭く紙ベースで、都度伝票切る

って感じがいいのよぉ。もう分ったわぁ。そうそう。

それよりさぁ、今晩ねぇ、Lam叔父様と会食よぉ。

台湾人が参加するそうよぉ」


「へー。えっ?俺も参加?もしかして?」


「うんそうよぉ。連れて来いってぇ」


Lamナイトさんには挨拶程度しか面識が無かった。

あのホビスさんが認める人で、貝貝師匠が

頭が上がらないと言う・・


ラフな飯会だという事で、普段着ながら

背筋が伸びて緊張していたことを覚えている。



「Ok,. Let me introduce you.

This is Lin and that's Zhu.

(紹介するよ。こっちが林、あちらが朱だ)」


「I'm Junko. This is my fiance, Son.

(私は順子。こっちは婚約者のソンよ)」


「ほう。順子さん、優二さんはお元気ですか?

私たちは優二さんに大変お世話になりました。

もう何年もお会いできていません・・」

※英語省略


「あらぁそうなのですかぁ。林さんも朱さんも

お父様を知っているのですねぇ。

お仕事関係ですかぁ?」


「はい。私も朱も、若い頃に福建省で石の買付を

していました。物量はあったのですが、薄利で

苦しい事業でした・・そんな時、優二さんと

出逢ったのです。彼のアイディアは強引でしたが、

私たちはそれに便乗して、業績を上げる事が

出来たのです。今の私たちが在るのは彼のお陰です」


「那是花岗岩吗?

(それって御影石のことですか?)」


「Oh!? 対対!你会说中文吧!

(そうそう!中国語を話すんだね!)」


「はい少しですが。という事は、鄭瑞強さんを

ご存じでは?香港の・・」


「Oh! 鄭先生をご存じですかぁ!はい。

優二さんと同じく、私たちは彼にも頭があがりませんよ」


「私もです。テイさんには色々とお世話になっています」


「OK,.じゃ今日の本題に移ろう」


「本題ぃ?叔父様ぁ、なにそれぇ?」


「Fufun,.俺たちの病院はDistrict.7.に建つのだが、

台湾との合弁会社が、このエリアで大規模開発を

しているんだ。その商業施設の部門に林と朱が資金を

入れているんだよ。そこでだ、俺らもその

ショッピングモールなり、とにかく商業部門に

ファンドを立ち上げると決めたんだ。

もう優さんにも話は通してある」


「ふぅーん。それでぇ?私たちが何か関係しますのぉ

叔父様ぁ」


「Fufun,.手伝って欲しいことがあるんだ。

あそこには将来、5万の人が暮らすようになる。

今はまだ・・あんな感じだけどな。

間違いなくホーチミンで一番の高級住宅街に成るのさ。

そこでだ。住居や店舗の建築素材を世界から集めて、

求める者が一目瞭然にそれらを手にする仕組みを

創って欲しいのよ。わかるかい? 

日本人の順子なら簡単な筈なんだけどな」


「えぇー・・簡単じゃないわよぉー・・

仕組みってぇ言うのぅ・・

ここでは意味が無いのよぉ叔父様ぁ・・」


「いや待ってぇ順子さん・・ナイトさん、

それって日本には在る、モデルハウスとかショールーム

とかってイメージでいいのですよね?」


「Fufun,.そうだよソン君。キッチンからバスルームまで。

ベッドからカーペットまで。

木製だのステンレス製だのと、

細かい素材をその場で選べるんだよな。日本は」


「たしかに!そうなんです。ここじゃ、欲しいものが

見つからないんですヨ。無いモノは無いのに・・

見つけるのに時間が掛るんです!」


「Fufun,.どうだいソン君。

順子をフォローしてあげれるかぃ?」


「はい。日本の仕組みを取り入れれば何とかなると

イメージできています。やりますよ!」


「えぇーー・・ソぉンったらぁ、日本の仕組み何てぇ

ここじゃ役立たずぅってぇ 言ってたクセにぃー」


「あ・・あれはぁ・・・・」



確かに当時でも、日本の可視化モデルは、

一つのガラパゴスであり、先進国でもズバ抜けて

丁寧に仕上げられたモノだった。

"おもてなし精神"無くしてはたどり着かないモノだ。


話しの最中にイメージは出来ていた。

日本のあの仕組みに中国やインドネシア、

あの国この国の素材や商品をFixさせれば出来ると。


この事がその後、大化けするビジネスモデルへと

なるのだが、これからの2~3年はまた・・

大変だった・・



俺らが人材集めに力を入れ始めた掛かりの出来事では

あったのだが、その人材を求める内にはまた・・


新たな仕事へと繋がるのであった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ