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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第2章
42/71

"The Ethical Horizon"

挿絵(By みてみん)




中村拓海が幼児期を過ごした故郷をSS拠点と決めて

掛ってたのだ、本田の描く図柄に加えて、拓海の

支援者の基盤があるということ、何より、海と山

を共有できるかもしれない魅力に俺も期待を膨ら

ませながら、小倉地区から門司へと移動した。


「本田さん、海はやはり大事なんですね。

魚釣りなんかもできますしね!」


「海路です。いや・・そうですね。それも、

その様な、魚釣りとかの時間の使い方も

大切なのです」


「海路・・ですか・・時間の使い方・・も・・」


「斎藤さんのSS計画書にもあります様に、

第一に暮らしが在ります。

暮らすことが出来るつまり、衣食住です。

我々のSSに充てると、現地調達での衣類、

同じく食、同じく家が揃って暮らせるとなります。

それがパーマカルチャーである必要性は

ありませんが、暮らせるとはそういう事です。

そして、エネルギーが絶対です。我々は何も、

アーミッシュの様な暮らしを追求する訳では

ありませんので。その為には、太陽光も風力など

の再生可能と言われる物、我々が重視する

バイオマス、現地利用で考えられる

自然エネルギーの活用は必至です。

次いで経済でしょう。

集う個々の能力に応じるものの、SSとして提供

できるものを多く示せた方が、

より広い層の招致を可能にします。

これについては、私より松田さんから

お話があると思います。

暮らし→エネルギー→経済が廻ってコミュニティー

社会が成すのです。さて、魚釣りのお話ですが、

まずはここまでの我々のSSコミュニティーが

如何なるモノかがご理解

いただけましたでしょうか?」


「あ・・はぃ・・・・」


本田の深い理解に対し、その言葉を追いかけるのが

やっとの様子の下野は中々飲み込めない様子。


「それって・・いま私たちが普通に暮らしている

東京も大阪も・・同じですよねぇ。

社会ってその様に成り立っているのですものぉ」


「はい。人は暮らせる場で社会を形成しています」


「・・えっとぉ・・差別化というか・・

今の社会とSSの社会とは違うのですよねぇ?

じゃなければぁ・・」


「はい。違う筈です。正確には、違うと感じる筈

と言った方がいいでしょう。誰が?

SSに暮らす人たちがです。

理論上、暮らし⇔エネルギー⇔経済が変われば

社会とそのに居る人々の精神が変わるのです。

SSではそれらすべてが一般社会とは異なる、

質であったり形であったりを提供するからです。

Ethicalエシカルライフの提供です。これこそ、

日本人固有の精神がマッチすると考えています。

精神的社会形成です。魚釣りといった身近な

狩猟本能を擽る時間もエシカルには不可欠です」


「つまり・・魚釣りが本田さんの目的では

無いんだけどぉ、まあそれも要るかぁみたいな

感じなのですねぇ!」


「あ・・はぁ・・まぁそれも大事かと」


「本田は釣りが好きなんだよー。

俺も一度だけ付き合ったが、

こーんなデカいの釣れたよなぁー。

クエよクエ」


「はい。伊豆でしたね。向こうではモロコと呼びます。

でもあれは私の獲物ですよ。私が揚げたのですから」


「あんでだよー 俺の竿に掛ったんだから俺んだろ」


「いいえ。釣りは揚げた者が釣ったと

言っていいんです。なので私のモロコです」


「◎△$♪×¥●&%#?!・・・・」



「やめんねぇ竜ちゃん、おまんはんの負けよ。

それよっか、どっかこの辺りじゃろぅね?」



「はい。あのソーラーパネルが見える先に

左へ上がる道があると思います」


資料のマップのポイントに着くとスーツ姿の人から

農作業中と判る人まで多数の人々が集まっていた。


車が止まり皆が外へ出ると、


「拓海―。遅かねぇー」


「叔父さんすみません。先に紹介させてください」


「んにゃ? 北村くんね !?

何んごとよ?お前ゃ中村君の親戚な?」


「ああ!桜井会長ぉー! ですよぉ。

拓海は姉ちゃんが子ですたい。

会長こそ何ごとですかぁ?」




門司の役場を上がり、レトロ商店振興組合など複数の

門司市民団体の役員を兼務する北村正一さんは、

拓海が言う支援者の一人であり、叔父でもあった。

漁港とも深く関係する叔父さんが桜井会長と

知り合いである事は不思議ではない。


そんな身内を中心に幼馴染から大学関係、

仕事である弁護士とクライアントという信頼感

のある方々と、次々に紹介を受けた。

中には斎藤とも共通の応援者も居り、

世間の様さを皆で語った。



北九州でのもう一カ所の候補地には行かず、丸一日

をこの門司に集中することとなり、斎藤を囲んだ。




「難しか話しば、

一つ一つ決めて始めんといかんたい。

我々がやる事を投げてくれんや。

順番に責任を持って進めるけん」



「皆様ありがとうございます。

何卒のご支援、ご協力をお願いいたします」




拓海はこの後に熊本と宮崎を周り、大阪での弁護士活動

にケジメをつけ、門司へ入るとし、その間も、

大手M&Aコンサル会社に勤める、拓海と斎藤の共通の

友人であった田中史郎が進行役を買って出てくれた。



熊本へと向かう前には、

誰彼では無く皆に、エリア共通アカウントや

コミュニケーションツールのアカウントを預けた。




「拓海、仲間っていいよな」



「私は・・1年前までは正直、

仕事だと考えていました・・竜司さん達の近く

に居れば、様々な人に出会えて・・

その人たちの顧問にでもなれればみたいな・・

去年のお盆と年末年始、

こっちで過ごしたんですよ。

その時に・・あぁやって皆と話をしていて、

みんな良くならないと。

悲しい顔してもうこの国はダメだって。

お前の言う事は正しい。

お前らが考えてることは正しいんだって・・」



「おう!やったろやないかぁ!

正しいとかアカンとかどうでもええわぃ。

信じたモンへ、行ったろうやないかぃなぁ!」



「えぇ? そんな大声を挙げなくても私はやりますし、

仲間はいいよなって話しだけで・・

そんなに熱くならなくても・・

それになんで関西弁なんですかぁ」



爆笑の嵐・・




「桜井会長、運転代わりますわ」


「ヨカとぉ。竜ちゃんはそげんに

笑わせっくれんねぇ ぷっ ガハハハぁ」




照れ隠しに携帯をイジッた訳じゃ無いが、

溜まっていたメッセージを拾った。


目立って分刻みに送られている池野に電話して、


「なんだぃ5分刻みでよ。暇かぁ」


「いやぁ・・みみみ・・見てますかード円」


「ああ見て無ぇなぁ。どうなってるよ?」


「おととい(一昨日)2円伸びましたよぉ。

今日は更に2円ですわぁー」


「154.56か。まあそんなもんだ。

Mrs.ワタナベは殺されたな」


「ははは・・はぃ?ミス?渡辺?ですかぁ?」


「・・ミセスだ」


「ははは・・はぃ? ままま・・

まだキープですかねぇ?

そろそろ介入とか・・」


「うちの喰いポイントは157くれぇだったよな?」


「ははは・・はい。157.56ですわ」


「155円てのが不気味だがそのまま

で行ってみなよ。

流石にもう買い入りは出来ねえが、

また今か今かと売りが増えてるだろうよ。

160円もあり得るぜ」



「はぁぃ!見守っときまぁーす」



「不要だ。時間の無駄よ。

チャートばっかり見て無ぇで、

ランの手伝いをしろやぁー」


「ははは・・はぃ・・」




「例の池野さんですか?」


「おうよ。見て見ろよこれ・・

他のメッセージを見落としちまうぜ・・

まあ奴に取っちゃ銭が大事なんよ」


「いやぁー それはみんなそうでしょう」


「なんでぇ下野も給料じゃ足り無えかぃ?」


「・・いえ・・満足しています・・が・・」


「が? なんだぃ」


「いや・・お金は幾ら有っても・・その・・」


「あぁー松田さぁん、SSでの経済的な核となる

ビジネスって、外貨稼ぎって

おっしゃってましたよねぇ?」


「おう。そうなる予定だよ。

美鈴にも手伝ってもらうかんよ。

ああお前さんも京大卒だったなぁ?」


「違いますぅ。学院で外部進学して、

モスクワで修士の順です。

だからモスクワ大修士号って言ってくださぁい」


「・・いやな・・

この馬鹿が京大出だったんでよ・・

美鈴に押し付けようかとよ・・」


「はい。残念でしたぁ」


「だよな・・まあ俺が構うしかないか。

はいはい」


「池野さん、京大の学部は?」


「ああ。農学の筈だ。なんかあるかぃ?拓海」


「ほう。面白いかもですよ。

大阪に帰ったら合わせてください。

実は温めてるビジネスがありまして、

それも去年のお盆に小倉に帰った時に

いただいた話なんですが。

九州大学の研究からアルツハイマーに働きかける・・」


「拓海くぅん、そのお話はその池野君と

ご一緒に大阪でゆっくりとしてくださぁい。

今は、SSの外貨稼ぎが知りたいわ。

まさか松田さんが海外の株とか先物とかって

投資をこのSSに広げようみたいな事を

言い出すんじゃ無いかって心配でねぇ」


「おっ!? 広めようとは思っちゃ無えが

運用は考えてるぜ。ダメかぃ?」


「ううん。いい悪いじゃ無く、大事な事でしょうぉ。

お金が稼げないと暮らせないわぁ」


「違ぇ無えよ。結局よ、着る物も喰う物も

住む物にも、人には欲が付いて廻るからな。

なあ下野。普通に暮れせても、

もっといい暮らししたいモンなぁ」



「いや・・は・・はぃ・・」




「SSでよ、普通の暮らす為に必要な時間を

売ってくれる人にはそれを買う。

必要なものを作ってくれる人からは物を買う。

そんな事はプランの範囲でそれだけで暮らしは成り立つ

計算だがよ、俺が用意する仕事は100はあるぜ。

時間を売る人には翻訳からミシン縫い。

物を作る人にはノンワクチンの豚から純鉄の鍋とかな。

小説が書きたい人にはテンセントで大きく

売って出させるし、AIのプロント創りに翻訳修正、

外国ドラマの日本語字幕。

普通に世界中で飛び交う情報を誰もが覗けるモニターを

置くだけで、自分に合った仕事なんて

山ほど拾えるはずよ。今の日本じゃ、

今の日本人ではそこに壁が在るだけだろ?

それを取っ払ってやるだけで、まるで別世界だぜ。

それでな、今の銀行に預けるか?

金が余ったらようお?

下手な政府お墨付きのNISAを買うかぃ?

互助目的の無尽講もよし、頼母子講もよし、

みんなで話し合って先物でも株でも、

それこそ為替でもいいじゃねえかぃ。

ルールが固まるまでは当面は

俺の責任下で転がしてやっからよ!」



「ホント貝貝さんの言う通りね。

大したこと言って無いのにぃ・・

人を魅了するわねぇ。松田さんは」


「責任だと思いますよ。

腹が座ってる人独特の説得力です。

この人に任せておけば心配いらないって」


「そう?・・皆さんはそう考えますか?」



「あんだよ斎藤。まあまあ熱込めて話してんのによぉ」


「ハァはぁはぁ・・わかってるよ。ただ、俺の見方

とは違うからなぁ。俺は、こんなバカな奴、

俺がホローしてやんなきゃなぁってよ。

ねえ桜井会長」


「おん。竜ちゃんには何んをしてもらった記憶に

無かばってん、頭を下げられるっと、

ツイツイ吞んでしまう。オヤジ垂らしじゃけんのぉ」


爆笑中の車内・・



<・・イジラれてる? 俺?>




下野や近松が知らないだろう俺の側面を曝したが、

それもいい事だろうと自分を宥めた。


でも調子こいて一緒になって笑ってやがる下野の

顔を見て、


池野が悪いと結論付けた。・・俺・・






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