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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第1章
29/71

第29話 商縁架橋

挿絵(By みてみん)




変わらず電話の前が忙しい松田さんに、

俺はmyコーヒーを淹れた。


「おうありがとうな。順子が居ねえと

お茶も出ねえや。

あいつ達はいつ帰るんだったかな?」


「今晩に東京へ飛んで明日、順子さんの

車で新大阪に迎えに行きます」


「そうか。たのむわ」


「あの・・松田さん、

貝貝さんはどんな話で来たんですか?」


俺は先生が大事な話というそれが気になっていた。


「おう。ポイポイは東京からそのまま帰るのか?」


「はい。貝貝さんは明日の東京からの便で

モスクワって言ってました」


「そうか。おおポイポイの話しだな。そのことも

ヴェトナムにもフィックスしようと思ってな」


「はあ・・それって・・どんな・・

どんな話なんですか?」


「おお・・そうだな。ポイポイがモデルの

エージェントをやっててな、

日本のプロダクションの反応待ちだ」


「貝貝さんのそれとベトナムが

関係するんですか?」


「おう。それを調べたんだがよ、ヴェトナムと

こっちじゃVISAの種類が違えんだ。

だから、レストランなり何なりに投資をするを

運営会社を作ってな、

そこの従業員として登録しながら

モデルなりの活動をさせようかと考えてんだ」


<あちゃ・・またわかんねぇ・・>


「・・複雑そうですね・・」


「レストランがいいのか何がいいのかは考えるとして、

投資会社を創ることは決めたぜ。

そん中でお前さん達も向こうでの銭を稼げばいい」


「はい。何だってやります」



先生もちゃんと自分の仕事の事も考えてやっている

のだと改めて感心したし、

負けられないという感情を強く抱いた。


もしかしたら何かの役に立つかもと、近況ベトナム

情報と題したメモを松田さんに渡した。



次の日、順子さんを迎えに出ようとした時、


「ソン、このメモのKhaさん×光一社長ってのは

あれか?椿原さんの事か?」


「あ、はい。そうです。

シドニーで意気投合されてまして・・あ・・

Khaさんってヒンの彼女のオヤジさんなんです」


「そうか。わかった。気を付けてな」


俺のあんなメモをちゃんと見てくれてるんだと

嬉しかったと同時に、何故にメモの末尾のそれが

気になったのかとも思ったが、その他は松田さん

には百も承知の事だったのだろうと言う答えを出した。



「ただいまぁー」


新大阪の約束の場に赤い文字で551と書かれた

袋を持って出て来た順子さんを乗せた。


「それって沖縄の土産っすか?」


「えぇー知らないのぉ?豚まん。

食べたことないぃ?」


「いや豚まんは知ってますが・・

有名なんすかぁそれ?」


「お父様の一押しなのよぉー」


「へぇーそんなに美味(うまい)んすかぁー!」


「ううん・・私は老祥記(ろうしょうき)のが好きぃ。

お父様もそうなんだけどぉ・・

私なんかぁ馬鹿にしてたのぉ・・

こんなの豚まんじゃないってぇ・・

神戸の人は多いのぉ・・

この551を馬鹿にする人がねぇ・・」


「はぁ?どゆことっすかぁ?」


「うん・・理由が在るのよぉ。

お父様がホウライを推すねぇ」


「は・・あ・・?」


「あそこはまだまだ伸びるってぇ。

豚まん屋さんよぉ・・

伸びるとかってどうなのぅって

思ってたんだけどぅ・・」


「そう言やぁどこかでもで見ましたよーその袋。

店がいっぱい在るってことですかねぇ?」


SOGOそごうって百貨店があるのは

知ってるぅ?」


<?どっかで見たな・・>


「三宮の駅前にもあるんだけどぉ・・

今は建物がダメなんでやってないけどねぇ。

そのそごうの役員さんとかとお友達なのぅお父様」


「あー!あそこの角の!? 知ってます!・・

んでそのSOGOが豚まんとどう関係すんすかぁ?」


「うん。その人たちの誰かからホウライさんを

ご紹介されてねぇお父様。

工場とかをご見学させていただいたそうで、

それからぁホウライさんのファンになったみたいなのぉ」


「はぁ・・よっぽど立派な工場だったんすかねぇ?

材料がいいとか?」


「know-howよぉ。お父様いわく、生地も悪くないし

具も悪くない何よりあのノウハウは

そこいらのお店では真似ができないってぇ」


「へぇー松田さんが言う位だから凄いんでしょうね。

ホウライさん」


「でも私はロウショウキが1番だわぁーやっぱりぃ」


「ろうしょうきってどんな字、書くんすかぁ?」


「ロウは老いるにショウはネに羊ねぇ。

キは記号のキ」


「Lǎo xiáng Jǐですね。ハマにも有名な老舗が

いっぱいあるんすよー。俺ら昔っから話してて、

日本の豚まんも和製中華ですよねぇ。

大陸にはあんなの無いって」


「そうなのぉ?あっ・・

香港SOGOに551あるのかなぁ?」


「香港にもそごうが在るんすかぁ?」


「うん。香港SOGOはお父様が関係してるのよぉ。

そうね。帰ったら551が在るのか

聞いてみようっとぉ」


松田さんがその香港のそごうにどう関係している

のかも気にはなったがもう驚くことも無く、

貝貝先生との沖縄話しをする事もなく

豚まんの話しだけで神戸に入った。


駐車場には先週も停まっていた光一社長の車があった。


「光一社長ぅーこれお土産ですぅー」


順子さんが551の袋を差し出したテーブルの上には

既に小さな豚まんとビールが並んでいる。


「あれ?ぶたまんでっかぁー ホホホォー。

ワシも買うて来ましてん」


「あらぁ!老祥記ねぇ~!」


<ほぉこれがその!?>


「順子はん沖縄行ってましたんとちゃいますん?

何でぶたまんを買うて来ましたん?」


「えへっ・・クスクス・・

新幹線降りたら目に入ったのでぇ」


「ホホホぉー!豚の角煮やったら分かりまっけどなぁー 

ホホホぉー」


<たしかに・・笑>


「おうソン、お前さんはヴェトナム国籍か

日本国籍かどっちだぃ?」


「あっ・・オヤジらと同じで俺もベトナムの

パスポートをもう3回更新しました」


「なるほど。よしわかった。あとはシャオヒンだな」


「なんかベトナム行きが・・具体化できましたか?」


「おう。年内に1―2回飛んでこいや。

来年にはスタートさせよう」


「1―2回行くんは調べごととかっすか?」


「返事待ちだが、Khaさんのチカラを借りようと

思ってな。彼がヴェトナム入りする時に

合わせて行ってこいや」


自分に近い人の中でヴェトナム事を頼んだ時、

100%政府系の人物を紹介されたという松田さん。

それはそれ、これはこれと、別にうちの親父や

ヒンのオヤジやその他にも多くのコネを

考えたといい、今回Khaさんに頼ることにした

理由は、『縁』だと。


光一社長とKhaさんの『旬』なご縁に俺らも

相乗りして、皆が互いにより深く強い絆を

結ぶためだと言った。


その後1回目のベトナムはハノイに行き、

Khaさんご自身やそのネットワークの協力で、

投資登録を得るための手順から事業ライセンス

の仕組みまで、松田さんの指示のもと必要だと

思われる全てをいつでもGOが

掛けれるようにした。

「あとは何をメインに事業化するか?」だと、

クリスマスを前に2回目のベトナムへは

久しぶりのサイゴン(ホーチミン)だった。


Khaさんの勧める案件は不動産や生産工場など

への投資が多く、その自由度から南に来たのだが、

オヤジの親戚は誰も居ないベトナムだが、

おふくろの身内はこのサイゴン周りに多くいる。

具体的な事業調査はその意味を理解できていなかった

俺には厳しかった。

レポートの用のメモもまとめきれず悩んでみては、

そんな親戚を訪ねていった。



「Chú ơi, cháu lại đến rồi.

Tôi có chuyện muốn nhờ anh chỉ,

bây giờ anh có thời gian không?

(叔父さん、また来ちゃったよ・・

教えて欲しいことがあんだけど・・)」



「ăn cơm chưa ・・(おつかれぇー)」



いつ行っても叔父さんは家に居ておばさんは外に

働きに出ていなかった。こんな家が多いベトナム。

そのおばさんが帰って来て

「大きな大きなヒント」が生れる。



おばさんの仕事で扱うチャー(パンガシウス)

というナマズがチャイナマネーで高騰しているという。


ノートが埋まらなかった俺は、

そんな事を詳しく綴った。


クリスマスをサイゴンで迎えた夜はMaiも

帰っておりKhaさんが大掛かりな

パーティーを開催した。


その際に紹介を受けた333ビールのSabeco社の

Thi会長さんの大きな目と耳に尖ったアゴが、

しばらくの間、宇宙人に連れ去られたり、

街中が宇宙人だったりの夢を

見させたほど印象的だった。




ダラット高原でMaiと年を越すというヒンを残して、

俺は先に日本に戻り、四国に滞在中だった松田さんへ、

報告書をテーブルに置き、ハマの団地で親父の注ぐ

ネップモイで1996年の新年を迎えた。











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