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EQ @バランサー  作者: 院田一平
第1章
15/71

第15話 縁故交渉

挿絵(By みてみん)




幅広く長い通路をいくつか曲がった先に

ひと際大きな扉があり銃を腰に持つ凛々しい

二人の警備員が立っている。


彼らに開けられた部屋から大柄のスキンヘッドの

軍服をまとった人物が迎えてくれる。



「アルトゥール!お元気でしたか!」



赤石さんがそう呼ぶこの人は、国家新鋭軍連邦長官

だと紹介を受ける。赤石さんと同じ年でアルトゥール

さんが若き日を赤石家の鹿児島で過ごした様だ。


また丸十さんとも親しくアルトゥールさんは

Вася(ワーシャ)と丸十さんの事を敬っていた。

今回の彼らの訪問の目的は丸十製作所がGuam

(グアム島)のラボで研究を進める大麻草から作る

薬品のことだと言う。


「あなたたちはRispro(リスプロ:インスリン)

買うね!わたしも糖尿病よー」


華人系の日本語とはやはり違う。子音がロシア風なの

だろうでもしっかりとした日本語だ。


「日本語すばらしいです!はい。私たちは

インスリンあ・・リスプロの契約に来ました」


<感じたことはとりあえず言葉にする俺>


「私の日本語先生ですケン(憲)は。だから

下手ですね ハハハハハあぁ」


<ええっ 笑い声・・そっちぃー・・>


「失礼なー 毎晩焼酎飲んで勉強もしなかった

くせに俺のせいにするなよ」



「ハハハハハあぁ」

「ハハハハハあぁ」

「ハハハハハあぁ」


笑い声は染するものだとこの時にはもう解っていた。



「ハハハハハあぁ皆様は仲がいいのですね。

私たちの契約はどこで?」


意外と冷静なテイさん。


「そうですそうです ハハハハハあぁ 行きましょう。

Васяにも紹介なければー。イワノーフ

(保健省長官)は軍時代の私の部下です」


<色々と繋がりつつある・・>


また長い廊下を今度は反対へ向かって歩き始めた。


「赤石さん、丸十さんのその薬品ってすごく価値が

あるのですか?なんかそんな気がして・・」


「おうソンくん解るかい?そう癌から精神病まで

全部治してしまうくらい凄い!」


<ガン・・精神病・・とにかくやはり価値がある>

松田さんだ!・・つまり、ロシアのリスプロのTopは

イワノーフさんであり、そこへのお土産みたいな形が

丸十製作所の薬なんだ!give&take,win:winってこれ?

そんないろいろな情報から赤石さんを経由して・・

あっ・・あの時?そうだ間違いない。おやじが

ヒンの親父さんを連れてハマに赤石さんに会いに

行ったのもこの為だ!でも1週間も経っていない・・

この推測が正しければ凄すぎる・・松田さん・・



「すごい!」


口に出ていた。



「おぉ?」


「いえ・・すみません・・その・・

癌とか治っちゃう薬とか・・」


「大きな声では言えないけどね。

西側ではタブーさ」


赤石さんが俺の耳元でほんとうに小声でそういう。


<俺の中の好奇心がメラめく>


「教えてください。お願いします」


「今晩、一緒に食事をしましょう。そのときにね」


そンの時、


「ax,.. немедленно для・・」


向かえの大きな扉が開いたとき、


「Привет. Как ты?」


たぶんイワノーフさんだ。想像より紳士で

スーツ姿に赤石さんたちと同じピンバッジを

つけている。


「彼がイワノーフ。さあなかにどうぞ」


たぶんイワノーフさんの部屋だがズカズカと中へ

誘導するアルトゥールさん。


部屋の4つのデスクに合わない数の人々。日本語で

の挨拶があったりロシア語での歓喜的な笑い声で

雑雑とした数分が過ぎた。


「それでは先にRisproどうぞ。Ok? Ивано́в」


「дадада(ダ ダーダー)」


<yesだ!ダーは知っている>


多くの人だまりの中から一人に歩み寄ったテイさん

が話をしている。あの人だ!あの時の人。テイさん

いこっぴどく怒られてた。でも様子が違う。

テイさんは大笑いして彼は照れくさそうに手を指し

伸ばして。そう言えばここの人には違いが無いのだ。

あの人も居るわね。



ペンの、例の万年筆から出たと思われる青い

インクで俺のシャツが真っ青になっていたり、

松田さんの名前を書き違ってもう1枚の用紙を

用意させたり諸々あったが無事に契約を終え俺

と担当官、それにイワノーフさんも入って写真

を撮った。丸十さんたちの用には俺たちは参加

しなかった。テイさんがディナーをと、

レストランホビスに招待して解散した。



「帰ってシャツ着替えなきゃ・・」



「ハハハハハあぁ」


「ハハハハハあぁ あの赤いさん凄ですね

日本人なのに。ソ連ときから・・

できないよあれ」


<・・赤いじゃなく赤石・・>


テイさんが続ける。


「前(昔)あったですよ。日本商社は

強かったです。今の日本を創った人たちね。

香港人みんな彼たちから勉強しました。

でも残念ですね今彼たちはお金使えない。

それは大変ですよー それは

勝てないですよ。赤いさん強いねー」


<いやだから・・赤石・・>


さておき、テイさんが言うほど

凄いのだろうとは解る。


「周りを見てたら判りますがやっぱ偉い人

なんですねアルトゥールさんもイワノフさんも?

あの人あのテイさんが怒鳴った人。彼も

あそこでは全然目立たなかったですよね」


「ハハハハハあぁ 彼は小物です。でも

いいやつよ。お金いくら欲しいか?

聞きましたがハハハあ いらないって 

いやついい奴ね」


<たぶん俺も・・断るわ・・>


「ハハハハハあぁ あいつどこにおったぁー?

居るん知っとったらじばぃ(殴る)たったのに」


「やめてください いいやつよ いい奴」


「ハハハハハあぁx2」


大きな噴水の前にはホビスさんが立っていた。


「フフフ 終わりましたか。さあ上がって

休むください」


貝貝さんが気になったが部屋に戻りパンツと

シャツを履き替えた。


と、いつから有った? コンドームがテーブル

の上に123・・5こ・・


<?あったかなぁ・・いつのま・・

てか何のためぇ?>


ドドドォー ガシャ!


<ヤベっ・・>


とりあえず隠す・・ポケットに・・

コンドーム・・


「ソン行こやぁーー早よぉーー」


「おぃおいどこによ・・」


「裏や。裏のあの建てもんなぁー あそこに

ようさん(沢山)女おるんやてぇーー!」


「どゆこと?」


「ええからぁーいくでぇーー」


よく見るとMaiちゃんもいる。


「Mai,. Điều này có nghĩa là gì?(マイちゃん、

どういう事?)」


「Đó là ký túc xá của chúng tôi.Có 50

sinh viên ở đó.Họ đều là phụ nữ.」


そこはMaiちゃん達の学生寮だという。

50人もの子が暮らしていると。


<・・行くのはいいけどコンドーム・・

ポケットにいっぱい・・>


「あらぁー帰ったのー」

<やばい・・さらにドッキリ!?>


「・・貝貝さん・・えと・・

なんか裏の建物が・・その・・」


<なんとかして隠したい・・ポケット・・>


「行ってもええんやろぉー?」


「ええ。いいわよ。じゃ私が案内するわ」


まだ知らない建物がいくつも在るのは知っていた。


「あれとあれはApartmentアパートなの。

こっちが彼女たちの学生寮で向こうがStaffroomよ」


<・・スタッフルーム・・うちの団地なんか

より数段いいじゃん・・>


Mai達が過ごす建物に入るといい香りがして、

1階は正にホテルのロビーの様で奥には

Caféがあり数人の女の子が団欒している。


「なんやぁー ちょっとしか居らへん

やんけっMaiーー」


<何怒ってのよ・・笑い>


「学生って・・あれですかその・・

大学とか?」


「そうみんな Ломоно́сов

(ロモノーソフ:モスクワ大学)

の学生よ。成績がいい子をApartmentや学費も

パパが援助してるの。ここは女性だけ使えるの。

男は郊外に在るわ」


<ホビスさんの趣味?でも・・男もいるんだわ!

 かぁーお金持ち!>


「ほなやっぱり女だけいっぱいおるんやなぁー

ここにぃー ハハハハハあぁ」


ヒンの声に皆が振り向き笑っている。


「おーーかわいいやん あっちいこや」


「そうね。Dinnerまでにはまだ早いから

座りましょ」


俺のポケットに突っ込んであった手を引き抜き

引っ張る貝貝・・さん・・


ポロポロッ・・


<げぇーーーーーー>


「あらなんでこんな物持ち歩いてるのー」


「・・・・いや・・これは・・

俺んじゃないっすーー」


「じゃだれの?」


「・・部屋に・・机の上に・・置いて有って・・

その・・」


「フフフ早く仕舞いなさいよフフフ」


もちろん慌ててポケットに詰め込んだ・・


「今夜は来なくていいわ。今日はわたしが選んであげる。

だから置いたのよ私が。 フフフ」


「ええええー・・えええ?」


<・・俺・・院山龍19歳男・・穴があったら

いつでもどこでも入りたい・・でも・・>


女子寮のカフェで甘いミルクティーを飲んでいると

次々と行き来する女性群にいちいち反応し始めてるが・・


ヒンも満足したのだろう。Maiちゃんに後でレストラン

に来るようにと伝えて部屋に帰って行った。


俺は貝貝に引き回されて川際に在るホビス家のボート

乗り場や別の建物を周り、部屋に戻った。

赤石さんたちが来る19時までまだ一休み出来そうだ。

ハチキレそうだったズボンも落ち着いたし、

何気に考えることはいつも次の場のシュミレーションで、

赤石さんや丸十さんに聞きたい事や松田さんと

の関係なんかを模擬っていた。



ドドドォー バサッ・・




「ソン 靴下かしてくれぇーー」







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