第54話 モブ商人は観光を楽しむ
時は少し遡る。
トモエの案内のもと、ヘンソンたちはエビスの街を観光していた。
「流石はヒノモトの玄関口。この街には様々なお店が並んでいますね」
露店や屋台が道にずらりと並び、まるでお祭りがあるのかと思うほどの賑わいだが、ここエビスの街ではこの光景は日常的なものだ。
エビスの街はいわゆるヒノモトの外交拠点の面もあり、ヒノモトを象徴するような店が並ぶことでヒノモトの文化を積極的にアピールしている。
要は観光に特化した街なのだ。
「見てヘンソン君、雲みたいなお菓子があるよ!」
「クラーケン焼き!?ヘンソンさん、クラーケンって食べられるのですか!?」
ビビとミーナは王国では見ることのない珍しい屋台や露店に大興奮の様子だ。
「ビビもミーナさんも落ち着いて。お店は逃げないから1つずつ見ていこうか」
一見平静を装っている風のヘンソンだが、内心ワクワクしていた。
元日本人として縁日の屋台にワクワクしない訳がない。
「トモエさん、2人をお願いします」
「承知した」
ヘンソンはビビとミーナをトモエに任せ別行動をすることに。
別にトモエに2人を押し付けて自分だけで観光を楽しみたいとかそういう訳では決してない。多分。
ヒノモトのことを知っているとはいえそれはあくまでゲーム時代の話。
そうこれは知識をアップデートするためにも必要な行動なのだ。
「マルコ、どこから行こうか?」
寡黙なお供のマルコにどこから回るか相談するヘンソン。
「ん?あっちが気になるの?」
マルコはとある方向に視線を向ける。
ヘンソンもそちらへ目を向けると、
「射的?いや違う、銭投げ屋?」
看板に銭投げ屋と掲げられた屋台を発見する。




