第49話 モブ商人は人魚の国を出発する
「皆さんお世話になりました。行ってきます」
「うむ、達者でな。アクアよ、ヘンソン君たちをしっかり送り届けるんだぞ」
「うん任せて♪エメ様よろしく♪」
トリトンたちに見送られヘンソンたちはアトランティスを出発する。
「あは♪エメ様新しい姿になるのすっかり気に入ってるね♪」
エメ様はアトランティスを出発すると早々にスキルを使用し、その姿はメカメカしいフォルムへと変貌していた。
エメ様が新たに得たスキルは『トランスフォーム』。文字通り姿を変えることができるスキルだ。
ヘンソンがエメ様に勧めたこのスキルは騎獣や聖獣が習得できる限定スキルとなっている。
この『トランスフォーム』は身体強化に分類されており、ただ姿が変わるだけでなくステータスも大幅強化されている。
変形できる姿は騎獣や聖獣によって決まっており、ウミガメであるエメ様は機械化するタイプとなっていた。
この機械化タイプは姿がメカっぽくなるだけでなく、オプションパーツや武器といった装備を内蔵できる拡張機能が付いている。
もちろん一通りのものは既にエメ様に装着済みである。
エメ様はこのスキルを大変気に入ったようで、早く試したくてウズウズしていたようだ。
遠くにモンスターが見える度に体内に搭載された自慢の武器で攻撃していた。
本来は物静かな性格だったというエメ様とはまるで違う変貌を遂げてしまっていたが、おそらく一時的なものだろうから問題ないはずだ。
ヘンソンにも同じような経験がある。
新しいガジェットを手に入れた時は今のエメ様みたいな感じになっていた。
エメ様も自分と同じ男の子なんだなと思うと親近感が湧いたヘンソンだった。
ちなみにエメ様から報酬を聞かれたが特に欲しいものはないので、報酬はいつも通り地上の危機に助けてもらうようにお願いしておいた。
それから数日。エメ様の張り切りにより航海は順調に進み、いよいよヒノモトの到着を翌日に控えていた。
ついにヘンソンは記憶を取り戻してからの目標であるヒノモトにたどり着くことになる。




