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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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第45話 モブ商人は人魚の国から歓迎を受ける



 アトランティスの人々の出迎えを受けるヘンソンたち。


 その中にはアトランティスの国王トリトンもいた。



「さぁお客人たちよ、我が王宮へ案内するぞ」


 どうやら国王であるトリトン直々に案内してくれるようだ。



 トリトン先導の下、アトランティスの街を進むヘンソンたち一行。


「ところでヘンソン君、アクアさんたちは水の中じゃないのにどうして宙を泳いでいるの?」


「確か中央にある巨大なサンゴのおかげで人魚たちは自由に動けるって聞いたことがあるよ」


 アトランティスの中は巨大なサンゴの力により特殊な空間となっており、そのおかげで人魚たちは魔法を使うことなく水中と同じように自由が活動できる。


「あの、ヘンソンさん。マルコが浮いているのも同じ理由なのでしょうか?」


 ミーナに指摘されマルコを見ると確かに僅かだが浮かんでいる。


「え、なんで?」


 これにはヘンソンも思わず声に出して驚く。


 巨大なサンゴによる恩恵は人魚にしか適用されないはず。一体何故?


 ゲーム時代では街中フィールドに騎獣を入れることができなかったので、もしかしたら騎獣も人魚たちと同じ恩恵を受けられるのかもしれない。が、


「ほう、そなたが例の騎獣か。…なるほど、確かにクラーケンを倒すだけのことはあるな」


 マルコを見たトリトンは何やら意味深なことを言う。


 やはりマルコはただの変異種ではないようだ。しかしヘンソンは特に気にしてなかった。


 ヘンソンにとってマルコは大切な仲間で家族同然ともいえる存在だ。その出自がどうであろうと今更気にならない。




 アトランティスはギリシャの街がモデルとなっており、白い建物が立ち並ぶ。


 王国とはまた違った街の風景に目を奪われつつ進むヘンソンたち一行。




「お客人たちよ、あれが我が王宮だ」


 巨大サンゴの麓に見える立派なギリシャ神殿の建物。トリトンたち王族が暮らすアトランティスの王宮だ。



 王宮の中へ案内されるヘンソンたち一行。


 大広間のような場所に着くと、


「「ようこそアトランティスへ!!」」


 豪華な料理とたくさんの使用人たちが出迎えてくれた。



 広間の会場は立食パーティーの形式となっており、ヘンソンたちはそれぞれ用意された席に着く。


「陸の英雄たちよ存分に楽しんでくれ!」


 壇上に上がったトリトンの挨拶で宴会が始まる。



「君たち陸の人なのにあのクラーケンと対等に渡り合えるなんて凄いよ」


「オケアノスの人間じゃないって聞いたが本当かい?」


「陸の生き物はその子みたいにみんな空を飛べるのかい?」


 集まった人魚たちから質問攻めにあうヘンソンたち。


 どうやらオケアノス同様アトランティスでもクラーケンとの戦いは中継されていたようだ。



 しばらく質問攻めは続くかと思われたが、


「イエーイ♪みんな、いっくよー♪」


 いつの間にかアイドル衣装に着替えたアクアたちがステージでライブを披露する。


 クラーケン討伐でアクアたちが使用した衣装含むアイテム類は全てプレゼントした。ヘンソンたちには使い道がないし、元々プレゼントするつもりだったので問題ない。


 アクアは使う機会をうかがっていたのか、王宮に到着するやいなやいつの間にか姿を消しライブの準備をしていたようだ。



 ライブは大盛り上がりでステージの周りには多くの人々が集まりその観客の中には、


「ハイッ!ハイッ!」


「アクアー!最高だぞー!」


 ヘンソンとトリトンが熱いコールを送っていた。



「みんなー、ありがとー♪」


 ライブが一段落すると、


「ところでヘンソン君といったか」


「はい」


 トリトンから声をかけられるヘンソン。


「アクアに最高の贈り物をしてくれて感謝する」


 アクアにプレゼントしたアイテムについてお礼を言われる。


「とんでもございません。いくら道具が良くても使い手がいなければ意味がありません。あれらはアクアさんたちが使ってこそ価値があるのです」


「確かにその通りであるが、それを理解し行えるのはそう簡単なことではないぞ」


「恐縮です」


「あー、あとそれとは別件になるのだがいいかね?」


「はい何でしょうか?」


「その装いについて詳しく教えてはくれないだろうか?」


 トリトンはヘンソンの着ている衣装について尋ねる。


 ヘンソンはいつの間にかライブ鑑賞フル装備に着替えアクアたちのライブを鑑賞していた。どうやらトリトンはこの衣装に興味があるらしい。


(これはもしかして…)


 トリトンからの質問を受けヘンソンはクラーケン討伐ではできなかったあることを思い出す。


 アトランティスには歌スキルの所持者も少なからずいる。そして先程のライブの様子を見る限り観客の彼らには素質があると見た。


(チャンスなのでは)


 ヘンソンの目が輝く。


「はい喜んで。では込み入った話になりますのでどこか落ち着いて話せる場所に移動しましょうか」


 ヘンソンはトリトンと共に広場を離れ別室へと移動する。





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