第40話 モブ商人は人魚をプロデュースする
ヘンソンたちがクラーケン討伐に参加することを決めてから一週間後。
いよいよクラーケン討伐当日を迎える。
「野郎共、気合い入れて行くぞ!」
「「「おー!」」」
アラヤの号令で船を動かす船員たち。
オケアノスからはアラヤ率いるオケアノスの精鋭たちが船に乗り込み、クラーケンがいる海域まで向かう。
アクアたち人魚とはその手前辺りで合流する予定だ。
「ヘンソン君、クラーケンって私たちが乗っているこの船よりも大きいんだよね?」
「うん、クラーケンは小さな島くらいの大きさの個体がほとんどだって言われているね」
ヘンソンたちが乗っているのは大きなガレオン船だが、クラーケンはそれよりも大きい。
「そんな大きなモンスターを本当に倒せるのでしょうか?」
「ミーナさんには大変な役を任せてしまいますがよろしくお願いします」
「はい、精一杯努めさせていただきます」
「マルコもよろしくね」
「乗るのが自分で申し訳ありませんが一緒に頑張りましょう!」
マルコは任せろと言わんばかりに頷く。
ミーナにはマルコに乗ってもらい、クラーケンの囮をやってもらうことになっている。
「私めも微力ながら尽力してまいります」
「はい、シノブさんもよろしくお願いします」
今回の作戦ではクラーケンの注意を引く必要があり、機動力のある二人に囮と牽制をしてもらう。
ミーナとシノブには危険な任務を任せることになってしまうが、いざという時の保険はかけてあるので問題ないはずだ。
「あっ、あそこに見えるのってアクアちゃんたちじゃないかな?」
ビビがアクアたち人魚の姿を見つける。
「ヤッホー皆、待ってたよ♪」
待っていたのはアクアの他数人の人魚たち。オケアノスの面々に比べると人数が少ないが、ヘンソンの指定したスキルの所持者がこれだけだったので仕方がない。
それにこの作戦で重要なのは人数ではないので問題ない。
「皆さん、準備をお願いします」
「うんわかった♪みんな、行こっ♪」
ヘンソンはアクアたち人魚に準備を呼びかけるとアクアたちは船に乗る。
「アクアちゃん、はいこれ」
「わぁ~、カワイイ♪見て見て、みんなもお揃い♪」
ビビはアクアに衣装を渡す。他の人魚たちにもアクアと同じ衣装が渡される。
「ヘンソン、こっちはこんな感じでいいか?」
「はいアラヤさん、バッチリです」
一方、船の甲板ではアラヤたちが何やら準備を始めており、甲板にはライブ会場のようなセットが組まれていた。
「すごーい、ここでアクアたちが歌うんだね♪」
アイドル衣装に身を包んだアクアたち。アクアを筆頭に皆美少女揃いなのでトップアイドル顔負けのオーラを放っていた。
「アクアさんたちにはここでライブをしてもらいます。大変かと思いますがよろしくお願いします」
「うん、頑張るね♪」
ヘンソンはアクアたちのために衣装とステージを用意した。これはアクアたちのスキルに関わっている。
アクアたちのスキルは歌魔法と呼ばれるもので、主にバフデバフを中心とした効果のものが多く、その効果を最大限に発揮するために必要なのがこのアイドル衣装とステージなのだ。
更に同じスキルを持つ者たちでユニットを組むことで効果は倍増する。
ヘンソンがアクアたち人魚の海上ライブのプロデュースをすることになったのは決して自分が見たいからではなく、ちゃんとした理由があるのだ。
「で、俺たちはこれを着ればいいんだな?」
「はいそうです」
アラヤたちオケアノスの面々はアイドルライブでよく見られる応援用法被を身に着ける。
「そろそろクラーケンのいる海域に近づきます。皆さん準備をお願いします」
そしてヘンソンたちはクラーケンのいる海域へと入って行く。




