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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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第37話 モブ商人は人魚に待ち伏せされる



「やっほー、待ちくたびれたよヘンソン君♪」



 ビーチパラソルの下でヘンソンの名を呼ぶ青髪の少女。この世界で会うのは初めてだが彼女のことはよく知っている。


 チューブトップと腰にパレオを巻いた青髪の少女の名前はアクア。クラーケンイベントで出会う隠しヒロインだ。


 通称、人魚姫と呼ばれる彼女は歌で戦闘をサポートするスキルを持つ。


 隠しヒロインのためか後衛職でありながらもステータスが高く、豊富な補助スキルを持つ。



「はじめまして。僕のことをご存知のようですが、まずはあなたのお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」


「アクアの名前はね、アクアっていうの。よろしくね♪」


 無邪気な笑顔で答えるアクア。


「アクアさん、それで何故僕のことを待っていたのでしょうか?」


「えーとね、フェリスちゃんから聞いたの。なんか面白そうな人がそっちに行くって♪」


 そういえばエルフと人魚は交流があり、その中でフェリスとアクアは親交があるのだった。



 ニコニコと子供っぽい仕草で話すアクア。少し身長が低く見た目も少し幼く見えるが、ヘンソンたちと同年代で、一部はたわわに育っており、チューブトップからこぼれ落ちそうになっていた。


 この見た目と子供っぽい言動からアクアには一部の熱狂的なファンが存在していた。


 ヘンソンは耐えることができるが、普通の健全な男子ではアクアの魅力にイチコロになっていただろう。



「それでアクアさんはただ僕に会いに来たわけではないですよね?」


「うん、実はねお願いがあって来たの♪」


 アクアは今海を騒がせているクラーケンのことを話す。


 クラーケンの存在は海に出る人間だけでなく、海の中で生活する人魚たちも困っているようだ。


「それでね、陸の人たちと一緒なんとかしようってお願いしに来たの♪」


 アクアは人魚たちの代表としてここにやってきたそうだ。



「そうなんですね。でも僕たちはここの人間ではないのでこの街の偉い人に話を聞いてもらいましょうか」


 アクアのお願いはオケアノスの人間ではないヘンソンたちでは判断できない案件なので、アクアをオケアノスを管理する組合に連れて行くことにした。



「うんわかった♪それじゃあ、はい♪」


 アクアはヘンソンに両手を差し出す。


「えっと、それはどういう意味でしょうか?」


「むー、抱っこだよ。抱っこして。ほら、アクア歩けないよ♪」


 パレオの下から人魚である証の尾びれが覗く。


「…確かアクアさんは魔法で浮くことができますよね?」


 確かアクアたち人魚は陸上では浮遊魔法で移動ができるはずだ。


「あれ疲れるから嫌〜。だからヘンソン君、抱っこ♪」


 再び抱っこをせがむアクア。


「ヘンソン君どうするの?」


「自分が代わりにやりましょうか?」


 ビビとミーナがヘンソンに尋ねる。


「そうですね…」






「あはっ、豚さん力持ちだね♪」


 マルコに乗るアクア。上機嫌のようで良かった。


 ヘンソンはアクアの移動をマルコに頼むことにしたが、どうやらその作戦は上手くいったようだ。


 豚に乗るのが新鮮らしくアクアはとても楽しそうにしている。




 ヘンソンたちはオケアノス組合に向かっている。


 アクアのお願いは部外者であるヘンソンたちでは荷が重いので、オケアノスの代表に話を持って行くことにしたのだ。




「ねぇねぇ、あれ食べたい♪」


 通りに並ぶ屋台に興味津々のアクアの寄り道に付き合いながらヘンソンたちはゆっくりと進む。


 この街の人間たちは人魚に慣れているのかアクアの姿を見て驚く者はいない。




「アクアさん、着きましたよ」


 ヘンソンたちはオケアノスの中でも一際大きな建物の前までやってきた。


 他の領主の館に比べると質素な見た目で、館というよりも砦のような印象を受ける。


 ここが目的地のオケアノス組合の建物だ。



「さて、これからどうしましょうか。シノブさんから話を通してもらったほうが早いですかね?」


 自分たちの中でオケアノスの人と交流のあるシノブに頼もうとすると、


「ヘンソン様、その必要はなさそうですよ」


 建物の扉が開かれ、


「ガハハ、待ってたぞ!」


 1人の大男がヘンソンたちを出迎えてくれた。




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