第36話 モブ商人は水着に着替える
「よし、こんなものかな」
砂浜でビーチパラソルを立てるヘンソン。
砂浜はクラーケン騒ぎのため人っ子一人もおらず貸し切り状態だ。
準備を終えヘンソンが一休みしていると、
「ヘンソン君お待たせ」
着替えを終えたビビたちがやってくる。
「どう?似合ってるかな?」
ビビは胸にフリルが付いた白のワンピースタイプの水着姿でその場をクルリと一回転する。
「うん、よく似合ってるよ」
「ホント、やったぁ」
ピョンピョン跳ねるビビ。フリルと一緒に別の部分も揺れている。ゲーム時代に見た時程ではないが、今の時点でもビビの身体は十分に育っていた。
なるべく視線を下げないように気を付けつつヘンソンは隣に目を向ける。
「ヘンソンさん、自分のはどうでしょうか?」
ミーナはビキニとショートパンツを組み合わせたスポーティな水着姿で、ミーナの健康的な身体によくマッチしていた。
「ミーナさんによく合った良い水着だと思います」
「ありがとうございます!」
「最後は私めです。ヘンソン様、お目汚し失礼します」
ビビとミーナの後ろから現れたシノブの水着は黒の競泳水着だった。
本人は謙遜しているが細身のシノブに競泳水着はジャストフィットしていて、その姿は他の2人にも見劣りしていない。
「シノブさんに合った素晴らしいチョイスだと思います」
「お褒めいただき恐縮です」
ヘンソンは普段と変わらない態度で感想を述べているが、心の中では叫びたいほど興奮していた。
美少女たちの水着姿に喜ばない男子などいない。
しかしこれまで紳士的に装ってきた自身のイメージを守るために、それを表に出すことなく心の中に押しとどめておく。
自分の生存を第一に考えて行動しているが、ヘンソンだって普通の青春を謳歌したい気持ちはある。
このあとのクラーケン討伐を考えると気が滅入るが、今はこの瞬間を楽しむことにしよう。
「それじゃあこの姿に慣れるためにしばらく遊びましょうか」
ヘンソンたちが水着に着替えたのにはもちろん理由がある。
海などの水上水中フィールド専用の装備がこの水着なのである。
そのためオケアノスではこうした水着装備が普通に販売されており、ヘンソンたちはクラーケンの討伐を決めた後水着を購入した。
水上水中フィールドでの戦闘はシノブ以外は未経験のためと、慣れない水着装備に慣れるためにもまずは砂浜で遊ぶことにしたのだ。
「…ねぇミーナさん。ヘンソン君って意外と筋肉あるんだね」
「はい普段は服の上からはわかりにくいですが、毎日欠かさずトレーニングをしていますからね」
「あの身体つきは一般的な騎士たちと遜色ありません。戦闘スキルがあればきっと私めたちがいなくても十分戦えていたことでしょう」
ヘンソンはトランスタイプの海パン姿で、上半身の鍛え上げられた身体が露わになっていた。
ヘンソンは戦闘スキルが無くても普段からトレーニングを欠かさず続けており、商人とは思えない無駄のない肉体をしていた。
この世界ではいくら鍛えても強くなることはないが、ヘンソンはトレーニングを欠かすことは決してなかった。
いつか役に立つときが来るかもしれないと続けていた成果は、ヘンソンは知らずの内に女子たちの好感度を上げていた。
「えいっ」
「ミーナさんお願いします」
「お任せください。ヘンソンさん行きますよ、それっ」
「これでフィニッシュ、だっ!」
「させません」
「やった!シノブさん凄い」
ヘンソンの渾身のアタックをシノブが見事ブロックする。
ヘンソンたちはビーチバレーで汗を流していた。砂浜でやるスポーツといったらやはりビーチバレーが定番だろう。
「ふう、一休みしましょうか」
ヘンソンたちは休憩のためにビーチパラソルに戻ると、
「やっほー、待ちくたびれたよヘンソン君♪」
青髪の少女がそこにいた。




