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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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35/60

第35話 モブ商人は水都に到着する



 あれからヘンソンたちは大森林を出発し先を進んだ。あれ以降トラブルはなく順調に進み、無事水都まで到着した。


 この水都は大陸の端に位置し、ここから『ヒノモト』へ向かう船が出ている。ヘンソンたちはここで船に乗り『ヒノモト』に行く予定だ。


 流石に他国に行くのに魔導船を使用するのは確実に騒ぎになるので使わない。そもそも海を渡るとなると魔導船では距離が長すぎて渡り切れない。なので元々海路を使う予定だったので問題はない。



「流石水都です。凄く賑わっていますね。それにいい匂いがたくさんします」


「なんだか王都より色んな人がたくさんいるね」


「ここは王国の海の玄関と呼ばれている場所です。王国以外の方々もたくさんいらしております」



 水都『オケアノス』。ここは王国の海の玄関口で重要な要所の1つである。ここには海から他国から使者などが多くの人々がやってくる。当然人族以外の種族もおり、王都では見られないような者も見かける。




 水都『オケアノス』に無事入ったヘンソンたちは宿をとると早速街中の観光に出た。


「見て見てヘンソン君。魚がいっぱいだよ」


「えっ、ここですぐに食べられるのですか!すみません1つください!」


 市場に並ぶ魚を見て興奮するビビとミーナ。特に大好物が魚であるミーナは普段では見られない表情を見せていた。


「おや、以前より魚の値段が上がっていますね。それに並んでいる魚の数が少ないようですね。何かあったのでしょうか?」


 一方、市場の様子が以前と違うことに気付いたシノブ。


「ヘンソン様、私めは少し席を外します」


「情報収集ですね。わかりました、シノブさんお願いします」


「ありがとうございます。ではまた後ほど」


 シノブは情報収集のためヘンソンたちとは別行動することになった。ヘンソンはオケアノスについて詳しいシノブに調査を任せることにした。



「ヘンソン君、私たちはどうする?」


「ここはシノブさんに任せて僕たちは食事をしようか」


「でしたら自分はお魚料理のあるお店に行きたいです!」


 シノブと別れたヘンソンたちはひとまず食事をすることに決め、ミーナの希望で魚料理を出す店を探すことにした。



「お魚料理を食べるの初めてたけどおいしいね、ヘンソン君。」


「すみません!もう一皿おかわりください!」


 この世界では魚を遠くまで運ぶ手段が確立されていないので、王都では魚が出回っていない。


 ビビは初めての魚料理を楽しみ、ミーナは久しぶりの魚料理を夢中で食べる。


「なるほど、船を出せなくて市場に並ぶ魚の量が減っているんですね」


 ヘンソンは店員に話を聞き、海に異変が起きていることを知る。この情報を聞きヘンソンはあることを思い出した。





「皆様戻りました」


 ヘンソンたちは宿に戻りしばらくするとシノブが帰ってきた。


「それでどうでしたか?」


 ヘンソンはシノブにオケアノスの様子を聞く。


「はい、どうやらここ最近海の様子がおかしいようです」


 シノブが調査した結果、数週間前から海に大型のモンスターが現れるようになり船が出せなくなったという。


 そのモンスターの名はクラーケン、イカの姿をしたモンスターだ。


「クラーケンか…」


 クラーケンの名前を聞いたヘンソンは難しい顔をする。


 海のモンスターが出ることはそう珍しいことではない。しかし現れたモンスターが問題だった。


 クラーケン。こいつ出たということはとあるイベントが発生したことになるからだ。


 このイベントはある隠しヒロインと出会うためのイベントで、本来なら回避したいのだが『ヒノモト』に行くにはクラーケンを倒さなければならない。



「ヘンソン様、いかがいたしますか?」


「数週間経っても解決していないということは、ここで待っていてもきっと事態は変わらないでしょう。僕はクラーケンをなんとかしたいと思っています」


 ヘンソンはクラーケンを倒すことに決めた。もうすでに何人かのメインヒロインに接触しているのだ。今更気にしても仕方がない。それにこれさえ乗り切れば『ヒノモト』は目の前だ。きっとこれが最後の山場だろう。



「私めも協力いたします。ここには故郷に帰れず困っている同胞がおりますので」


「自分も手伝います!魚が食べられなくなるのは困りますからね」


「ヘンソン君、私にもできることがあったら言ってね」


 シノブ、ミーナ、ビビもヘンソンの意見に賛成のようだ。



 こうしてヘンソンたちはクラーケンの討伐をすることに決めたのだった。






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