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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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33/60

第33話 モブ商人は精霊王に補足される



 ヘンソンたちがレオンハート領を出発してから一週間。


 空の旅はトラブルもなく順調に進み、遠くに大森林が見えてきた。


「ヘンソン君、大森林が近づいて来たね」


「森には入らずこのまま上空から通り過ぎるんですよね」


「はい、それがよろしいかと。大森林は深く迷いやすい場所です。それに大森林の中にはエルフが住んでいますし、無用に踏み込んで刺激しないに越したことはありません」



 大森林の中にはエルフの里があり、そこにヘンソンの目的の人物がいたがマルコのおかげでそこに立ち寄る必要はなくなった。


 ちなみにこの先を進むには大森林を抜ける他に迂回するルートもあるのだが、大森林に入らずに通過できるし近道なのでそのまま空から進むことにした。



 しかしその判断は後に間違いだったとヘンソンは後悔する。




 大森林の上を進むヘンソンたち。


 問題なく進んでいると思っていたが、とある地点を通過した時、ヘンソンは何か違和感を覚えた。


「ミーナさん、シノブさん。今何か感じませんでしたか?」


「上手く説明できませんが確かに。シノブさん、わかりますか?」


「これは…、結界でしょうか?」


 ミーナとシノブに確認するとやはり何かが起こっているようだ。


 ヘンソンは周囲を鑑定する。そして自分のミスに気付く。


「しまった!結界の効果範囲は空の上まであったんだった」



 大森林にあるエルフの里。その周囲はエルフたちによる結界が施されており、そこに近づくと方向感覚が狂いぐるぐる回ってしまう。


 その範囲は空の上まで及び、ヘンソンたちはうっかりそこに入ってしまったようだ。


 一応エルフの里を避けるように進んでいたのだが、どうやら近くを通ってしまっていたらしい。



「ヘンソン君、もしかして私たち閉じ込められちゃったの?」


 不安そうに尋ねるビビ。


「大丈夫だよビビ。この結界は害を及ぼさなければすぐに出られるものだから。マルコ、一度下に降りようか」


 エルフたちが施したこの結界はエルフに敵対行為をせず、しばらく時間が経てば外に出られるようになっている。


 ヘンソンは地上に降り時間が経つのを待とうとした。


 魔導船が降りられる位の開けた場所に降りるヘンソンたち。


「ひとまずここで待機しましょうか」


 ヘンソンたちが一休みしようとすると、


「ヘンソンさん、誰か近づいて来ます」


「敵意はないようですね。ヘンソン様いかが致しましょうか?」


 ヘンソンたちの元へ何者かが近づいてくる。



「あっ、いたいた!」


 木々の奥からやってきたのはエルフの少女。


「ゴメンね。いつもは里以外の場所には結界を張らないんだけどココ様がどうしてもっていうからさ」


 そう話すエルフの少女にヘンソンは見覚えがあった。


 彼女の名前はフィーナ。メインヒロインの1人で、ヘンソンが避けたかった人物だ。


 というか今聞き捨てならないことをフィーナは言っていた。


 ヘンソンは里の近くを通ったために結界に近づいてしまったと思っていたが違ったのだ。


 ココ様とは確かエルフの里を守護する精霊王の名前だ。


 その精霊王はどうやらヘンソンたちに用があり、そのために結界の場所の変更を指示した。いったい何故なのか?ヘンソンには心当たりがない。



「それで悪いんだけど、ボクについてきてくれないかな?」


 フィーナはヘンソンたちの道案内のためにやってきたらしい。


「ヘンソンさんどうしましょうか?」


 警戒するミーナがヘンソンに指示を仰ぐ。


「ここにいても解決しなそうですし、ついていきましょうか」


 ヘンソンはフィーナについていくことに決めた。おそらくここでじっとしていても状況は変わらないだろう。それに何か用があるというのなら危険なことはないはずだ。



「それじゃあ皆、ボクについてきて!」


 魔導船を一度収納してヘンソンたちはフィーナのあとに続く。


 道案内があるため深い森の中でも迷うことなく進むことができる。


 軽やかに先を進むフィーナ。長身のスレンダーな後ろ姿はまるでモデルのようだ。


 フィーナは一見するとクール系な美少女に見えるが、口を開くと人懐っこいボクっ娘でそのギャップにやられたプレイヤーは多い。


 フィーナは他のメインヒロインと違いトラブルを起こすタイプではないが、警戒するに越したことはない。そのため接触を避けようとしたのだが、結局失敗に終わってしまった。


 過ぎたことは仕方ない。気持ちを切り替えヘンソンは精霊王との謁見に備えることにした。




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