第24話 モブ商人の騎獣は対抗心を燃やす
レオンハート領へエリカたちと同行することになったヘンソンたち。
「さぁ皆さま馬車にお乗りになって、ですわ!」
ヘンソンたちはエリカに馬車に乗るよう促される。
エリカが用意した馬車は一際大きな馬車でおそらく貴族用の特注品だろう。
ビビたちが馬車に次々と乗り込んでいく。
最後にヘンソンが馬車に乗り込もうとすると、
「ん?どうしたのマルコ?」
マルコがヘンソンのズボンを引っ張る。
「もしかして自分に乗れって言ってる?」
マルコは肯定するように頷く。
「すみません、エリカ様。僕は自分の騎獣に乗ります」
「あら、可愛らしい騎獣ですわね。わかりましたわ。そ・れ・と、わたくしのことは普通に呼んでいただいて構いません、ですわ!」
「わかりました、エリカさん」
マルコにまたがるヘンソン。
「あれ?エリカさんは馬車に乗らないんですか?」
「わたくしにはこの子がおりまして、ですわ!」
そう言うとエリカは大きな白い馬にまたがった。
エリカの騎獣はエンペラーホースと呼ばれるモンスターで、騎獣の中でもトップクラスの強さを誇る。
「さぁ皆さま、しゅっぱーつ、ですわ!」
エリカの号令で出発する一同。
先頭を進むのはエリカとヘンソン、その後ろをビビたちを乗せた馬車、最後尾に騎士たちが続く。
「それでマルコさんはテイムスキル無しでテイムされたんですの?」
「はい、僕は『鑑定』スキルしか持っていませんので」
「わたくしフレイムボアの亜種を初めてご覧になりましたが、こんなに可愛らしいだなんて知りませんでしたわ」
「可愛い、ですかね?」
マルコを可愛いと評するエリカに疑問を浮かべるヘンソン。
何故かマルコは女性陣に可愛いと人気だが、ヘンソンには気取ったダンディな豚にしか見えないので、その可愛さがイマイチ理解できなかった。
「でもわたくしのヴァイスも魅力では負けておりません、ですわ!」
ヴァイスはエリカの言葉に呼応するかのようにいななき走るペースを上げる。
「エリカさん、ちょっと待ってください。えっ、マルコ?うわっ!」
急にペースを上げたヴァイスを追うようにマルコも走るペースを上げる。ヘンソンは慌ててマルコにしがみつく。
「あら、ヴァイスに追いつけるなんて中々やりますの、ですわ!」
その後もヴァイスとマルコは競い合うように並走する。
後方にいるビビたちを乗せた馬車を置き去りにして。
「ヘンソン君たち見えなくなっちゃたね」
「この辺りは比較的安全ですし、後ろには親衛隊の方々もひかえております。私めたちはゆるりと行きましょう。ヘンソン様たちも問題ないでしょう」
「あのエンペラーホース相手に走りで引けを取らないなんてマルコは凄いです。流石はヘンソンさんが連れてきた騎獣です」
「ヴァイスに遅れを取らない騎獣なんて初めてですわ!」
エリカは嬉しそうに話しているが、ヘンソンはマルコにしがみつくので必死で応えることができない。
しばらく走り続けていたヴァイスとマルコだが、徐々にスピードを落とし止まる。
「こんなに楽しそうに走ったヴァイスは初めてですわ!ヘンソンさん、マルコさん、ありがとうございます、ですわ」
満足した様子のヴァイスを見てヘンソンとマルコにお礼を言うエリカ。
「ど、どういたしまして…」
ずっとマルコにしがみつき、息も絶え絶えのヘンソンはなんとか返事をする。
マルコとヴァイスはお互いを認め合うかのように鼻先をこすりつける。
ヘンソンたちがしばらく休んでいると、ビビたちを乗せた馬車が追いついてくる。
「さぁ、我がレオンハート領まであと少し、ですわ!」
その後は全員でゆっくりとレオンハート領までの道を進む。
「皆さま、着きましたわ。ようこそレオンハート領へ、ですわ!」
そしてヘンソンたちはレオンハート領に到着したのだった。




