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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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16/22

第16話 モブ商人は兄たちに引き継ぎをする



「おかえりニールソン兄さん」


「おかえりニールソン」


「ハリソン兄さん、ヘンソン。ただいま」



 ヘンソンが記憶を取り戻してから3年後。


 次男ニールソンが学園を卒業し家に戻ってきた。



 ジムサンド家次男、ニールソン。


 肉体労働が苦手だが、その分学業は成績優秀で博識である。ルックスは細身の美男子で学園内では随分モテていたと聞く。アクティブ系のハリソンや地味なヘンソンとはまた違ったタイプの人物だ。




「ミーナさん、マルコ。改めてよろしくね」


「はい、よろしくお願いしますニールソンさん」


 ニールソンと挨拶するミーナとマルコ。


 ニールソンは学園の寮にずっといた訳ではなく、長期休暇などの機会に何度か家に帰ってきており、ミーナやマルコとはすでに面識がある。




「ニールソン兄さん、帰って早々で悪いんだけど仕事の話をしてもいいかな?」


 挨拶もそこそこにヘンソンはニールソンに仕事の引き継ぎについての話を始める。


「ハリソン兄さんや学園の噂では聞いていたけど、改めて本人から直接話を聞くと凄いね」



 これまでのヘンソンの行動は露店で希少アイテム探しに始まり、孤児院に農園を作り専属契約したり、大手魔具店とジムサンド商会との仲介役として立ち回ったり、傭兵ギルドから優秀な傭兵を引き抜き、果てはスキル無しで騎獣を手懐ける。


「やっぱりそうだよな。ヘンソンとずっと一緒にいるからさ、それがだんだん普通に思えてきてたけどやっぱり違うよな!」


 ニールソンの言葉にハリソンが同意する。


「うーん、確かにちょっとはやり過ぎた自覚はあるけどそこまでかなぁ」


「そうです。おふたりの言う通りですよヘンソンさん。もっと自分のやらかしたことをちゃんと理解した方がいいですよ」


 ミーナからも注意された。


 ミーナはこの中で1番近くでヘンソンを見ていた1人であり、やらかしの体験者もとい被害者の1人でもあった。


「今だってそうです。私は素材を集めるだけなのでいいですが、ビビさんにあまり無茶なことをさせないで下さいね」



 ミーナには現在ビビの魔具作成に必要な素材集めを頼んでいた。


 ビビのレベル上げは終わっており今はヘンソンが渡したリストの作成に入っている。


 1つ1つの魔具の作成の難易度もさることながら、とにかく量が多い。


 戦闘職のミーナと違いビビは生産職。いくらスキルのレベルが高くなったからといっても体力は普通の女の子と変わらない。


 ヘンソンのたちの悪いところはその人間の能力限界手前までを見極めた上で仕事を振るのだ。


 それを知っているミーナはビビに無茶なことをさせないようヘンソンに釘を刺す。


「はい気を付けます」


「ヘンソンは実力があると判断した人間には遠慮しないところがあるからな。ミーナさん、ヘンソンがまた無茶言うようなら俺に言ってくれ」


 ハリソンがミーナにそう言うがヘンソンに効果があるかは不明だ。


「ヘンソン、僕もあまり体力ないからお手柔らかに頼むよ」


 次にヘンソンから無茶振りされる予定のニールソンが苦笑しながら言う。






「ところでヘンソン、『アイテム屋マーリン』についてはどうするつもりなんだ?」


 ニールソンに一通り説明を終えたヘンソンにハリソンが質問する。


「僕がいなくなるのでおそらく今後交流は無くなるでしょうね」


 マーリンと面識のあるヘンソン以外では『アイテム屋マーリン』を利用することはできないだろうとヘンソンは考えていた。


「やっぱりそうか。ま、仕方ないな」


 ハリソンは予想がついていたのかあっさり納得したようだ。



「それでヘンソン、残りの仕事は全部僕が引き継ぐことになるのかい?」


 ニールソンが引き継ぐのは、露店でのアイテム探し、孤児院もとい『カール農園』と魔具店との取引など。


「基本的にはそうですね。もし難しいようでしたらハリソン兄さんと協力して上手くやって下さい」


「な、ミーナさん。ヘンソンはこういう奴なんだよ」


「ハリソン兄さんそれは違います。これらは僕でもできたことです。なのでニールソン兄さんなら問題なくやれるはずです」


「いえ、ヘンソンさんの普通は普通ではないと思いますが…」


 ヘンソンには自覚がないが、ヘンソンが今までやってきたことは12、3歳の子供がこなす仕事量ではない。


「はは、ヘンソンにそれだけ評価されてるってことだよね。うん、僕もできるだけ頑張るよ」



 こうしてヘンソンの仕事の引き継ぎは順調?に進んでいった。




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