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モブ商人は生き残りたい  作者: わたがし名人


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第13話 モブ商人は見習い錬金術師のスキル上げを手伝う



 マーリンの依頼でビビのスキル上げをすることになったヘンソン。


「ビビ、まずはこれを合成していこうか」


 ヘンソンが用意したのは大量の雑草と石ころ。


「あのヘンソン君、これだと失敗しちゃうよ」


 ビビの言う通りこの組み合わせはゴミしかできない。だがそれでいいのだ。


「ああ、それで構わないんだ。まずは1つ合成してみてくれないか?」


「う、うん。わかった」


 ビビが錬金釜に雑草と石ころを入れ、スキルを発動させる。


「あっ、やっぱり…」


 錬金釜から出てきたのは石と草が混ざり合ったようなもので、何にも使えない失敗作だ。



「うん、次いこうか」


「え?まだやるの?」


「そうだよ、とりあえずここにある全部やろうか」


 ヘンソンは気にすることなくビビにどんどん合成するよう指示する。



 そして2時間後。


「はぁはぁ、これで最後」


 休むことなく作業を続け、息も絶え絶えのビビ。


 山のように合った雑草と石ころはなくなり、代わりにゴミの山が新たに積み上げられていた。


「ビビ、お疲れ様」


「ねぇヘンソン君、これって意味あることなの?」


「ああ、もちろん。ここからが本番だよ」


「え、まだやるの…」


 ヘンソンの言葉にビビは絶望する。


「あ、でも準備があるからビビは休憩してていいよ」


 そう言うとヘンソンはゴミの山をおもむろに漁り始めた。



 しばらくしてゴミの山を2つに分けたヘンソン。


 見た目に違いはないようだが、


「ビビお待たせ。次はこれを分解してみようか」


 分けた片方のゴミを分解するように指示するヘンソン。


「ヘンソン君、これを分解すればいいの?」


「そうだよ」



 分解は2つの要素を持つアイテムや素材を分けることができるが、合成に失敗したものにやっても効果はないはずだ。


 ヘンソンの指示にはきっと意味があるのだろう。ビビはそう信じて錬金釜に失敗したゴミを入れる。


「それじゃあやるね」


 ビビがスキルを発動させる。すると、


「あれ、成功してる…」


 錬金釜から出てきたものは緑色のビー玉のようなものと黒い燃えカスのような残骸だった。


「よし成功だ!」


「ヘンソン君、これはどういうこと?」


「ああ、これはね…」



 ヘンソンがビビに指示していたのは、ゲーム時代使用していたスキルアップ術。


 錬金術師は錬金することでスキルレベルが上がるのだが、レベルがある程度に達してしまうと難易度の高い錬金でないと経験値が入りにくくなってしまう。


 かといって適性レベルに見合わない錬金を行なうと当然失敗し、希少な素材を失ってしまう。


 そんな中編み出されたのが、低素材を使ったスキルアップ術だった。


 これの利点は素材に使うのがその辺で拾える雑草と石ころなのでお金がかからないこと。


 作成されるのはただのゴミだがそれは前準備に過ぎず、このスキルアップ術のキモはその後にあった。


 この失敗作の中には一定の確率でとある素材が生まれることがあり、それが先程の緑のビー玉である。


 この緑のビー玉の正体は魔具などの彩色に使われる素材で、この素材自体はさほど珍しいものではない。


 しかしこの緑のビー玉が失敗作の含まれているかどうかは見た目ではわからず、一定以上の鑑定スキルのレベルがないと見つけられない。


 低ランクの素材を得るための方法としては手間がかかるこの方法だが、その分得られる経験値の量は段違いに多かった。



 その後もビビはひたすら分解をし全てを終える頃にはスキルレベルが2つも上がっていた。


「凄い…、1日でスキルレベルが2つも上がるなんて…」


 この結果にビビはとても驚いていた。


「これは僕が知る中で1番効率の良いスキルレベル上げの方法なんだ」


「ありがとうヘンソン君。これならお願いされてたもの全部作れるかも」


 確かな手応えを感じたビビはヘンソンにそう告げる。




 それから1週間後。


「それじゃあビビ、後はよろしくね」


「うん任せて」


 毎日行なった結果ビビは無事目標としていたスキルレベルまで達することができ、リストの魔具作成に取りかかる。




「まさかここまでとはね…」


 半信半疑でもしかしたらとヘンソンにビビのスキル上げを依頼してみたが、結果は予想以上だった。


 ビビにその方法を聞いてみたが、それはマーリンも知らない方法で衝撃的だった。


 彼には自分たちの知らない特別な知識があると確信したマーリンだが、それは胸に秘めることに決めた。


 彼が例の『予言の子』なのかはわからないが、マーリンにとってそれは些細なことだった。


 ヘンソンはビビにとって大事な存在となりつつあり、マーリンはその関係が続くことを願っていた。





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